txt:西村 真里子 構成:編集部

大幅に増床したEureka Parkで見えて来た事は?

CESにはEureka Park(エウレカパーク)と言われる世界のスタートアップ企業がソリューションや製品を展示する一角が準備されている。昨年までは文化祭のノリでギュッと中規模ホールに収められていたのだが、Sandsコンベンションセンターに移動し、今年は大手企業ブースと肩を並べるほどのエリア規模で展開されていた。

KickstarterやIndieGoGoなどのクラウドファンディングで資金を募っている企業が展示しているケースが多い。SONYなどの大手メーカーと近しいIoTアプローチをスタートアップ企業が進めておりCESでは双方比較できるのが面白い。これが新しい企業のカタチなのかもしれない。

そして今年はスタートアップ企業の製品のデザイン性が高くなった印象を受けた。ドローンで有名なフランスのParrot社(Vol.05で紹介)の影響かな?そもそもの文化的な背景も大きいと思うがフランスのスタートアップ企業製品はデザイン性に優れていて今すぐ欲しい!と思わせる製品がいくつかあった。

また、Samsungはセンサー技術を使ったスマートなオーブンDUAL DOORを紹介しCESイノベーションアワードを受賞していたが、CES全般として「センサー技術」が注目されていた。スタートアップ企業もセンサー技術を活用した新しい製品を紹介しており“センサー”も時代を読むキーワードとして重要であると感じた。さて、2日目CES2015現地レポートではスタートアップ企業を中心に、以下の切り口で展示を紹介する。

  • 生活を豊かにするIoT
  • デザイン性高い!フランスIoT製品

生活を豊かにするIoT

iHome防犯ソリューションや、哺乳瓶とスマホ連動の赤ちゃん向けソリューションなど日常の「あったらいいな」をCESスタートアップ企業は製品として提示してくれる。その中で筆者が感動したのがペット向けソリューションPETCUBEとモトローラのMotorola MultiCollar by Binatoneだ。

■PETCUBE/Motorola MultiCollar by Binatone

監視カメラ、スピーカーそしてレーザー搭載の小型デバイスを設置しておくと、遠隔地からでもペットに話しかけられるし、一緒に遊ぶことができる。スマホ上の専用アプリで監視カメラ経由の映像にタップをすると、その動きに応じてレーザーが発動し、ペットは気になってレーザーを追っかける。あたかも家庭内で猫ちゃんと一緒に遊んでいる疑似体験が遠隔地からも可能である。

筆者も愛猫をおいてラスベガス出張に来ているので、このソリューションがあれば留守番中の猫ちゃんとも遊べるのに、と今すぐにでも$199払って入手したくなった一品だ。

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また、モトローラMotorola MultiCollar by Binatoneは、犬に装着することによって、飼い主が遠隔で犬の様子を知ることができる首輪型デバイス。カメラやスピーカー、GPSが搭載されており、飼い主はいつでも犬の位置を知ることができ、スピーカーから話しかけることもできる。映像ソリューションがペットと人間の距離を縮めてくれる。IoTありがとう。

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デザイン性が高い!フランスIoT製品

筆者はParrot社の製品が大好きである。それはIoTソリューションとデザインが綺麗に融合している成功例と考えるからだ。CES2015でもParrot社はフィリップスタルクデザインのスポーツ特化型のワイヤレスヘッドセットParrot Zik Sportやキュートな植物向け第2世代の園芸用スマート・システムParrot Pot /Parrot H2Oを提供していたが、CESスタートアップブースでもフランス企業はデザイン性高い製品を紹介していた。

■ゴミ分別デバイス:R3D3 by Green CREATIVE

日本でもコンビニ横にペットボトル、プラスティック、缶の分別ゴミ箱があるが、今回紹介されていたR3D3はセンサー技術で分別ゴミを自動的に仕分けてくれる。一つのゴミ箱で上記3種類のゴミを分別してくれるのでスペースの削除になる、と同時にデザイン性高いので洒落たオブジェを置いているように見える。リンゴなど分別ゴミ以外のものは赤アラートが出て捨てられないので、ちゃんと分別ゴミだけが仕分けられる環境にも優しいデザイン性高いデバイスである。東京にもオリンピックに向けてデザイン性高いゴミ箱が街中に溢れるといいな(形状にあわせてネーミングもスターウォーズR2D2もじりでかわいい)。

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デザイン性も優れているR3D3

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プラカップOK

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リンゴはNG

まとめ

CES2015 Eureka Parkスタートアップ企業の製品群は昨年より展示数の多さだけではなく、レベルアップしていると感じた。一部使用用途不明の製品も展示されている愛嬌あるゾーンだが、クラウドファンディングですでに世間にお披露目している製品も多いだけに見応えあり。CESは大手企業とスタートアップ企業のトレンドが一気に確認できる貴重な展示会である、なぜなら新しいライフスタイルを妄想できるからなのだ。


txt:西村 真里子 構成:編集部


Vol.05 [CES2015] Vol.07