txt:江口靖二 構成:編集部

着実に進化しているライブ配信ソリューション

4K関連やドローンの影に隠れて、地味に進化しているのが4G/LTEなどを利用したライブ配信のためのソリューションだ。これらは個人向けとプロユースの2つの方向性に分かれている。

■Livestream
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Livestreamは、カメラのアクセサリーシューに接続してライブ配信を行うハードウェアである「Broadcaster」2機種と、コンピューター、モバイル機器、Googleグラス向けのライブ配信ソフトウェアである「Producer」を展示した。同社はハードウェアだけではなく、配信ソフトウェアとライブ配信プラットフォームを提供している。

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Broadcaster Proはディスプレイ付き

Broadcaster ProはWiFi、Ethernet、4G LTEにはUSB型データ通信端末で対応しており、コントロールディスプレイ付きで495ドル、Broadcaster miniはWi-Fiのみの対応で295ドルだ。いずれもフルHD対応でHDMIとマイク入力を備える。配信プラットフォームは広告配信なしで、月額42ドルから499ドルまでメニューが用意されている。金額、内容からしても個人ユースではなく、企業の映像配信プラットフォームの位置づけである。

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Producerはスマートフォンやタブレット単体で配信可能

またProducerは、個人ベースで手軽にスマートフォンやタブレットから無料でライブ配信ができるアプリだ。FacebookとTwitterにライブ配信をポストすることもでき、チャット機能もある。また外部カメラとしてGoProにも対応している。実際にアプリをインストールして配信してみると、通信環境にもよると思われるが1分以上の遅延がある。また配信内容は保存することも可能。

■TVU Networks
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6枚のSIMを内蔵できるTVU One

TVU Networksは小型で軽量の新製品「TVU One」を展示した。重さは約700gで、USB型データ通信端末ではなく最大6枚のSIMカードを直接挿すことができる。最大でフルHDを14時間配信可能だ。本体に3.5インチのLCDを内蔵しているので各種操作や映像モニタリングもできる。

■ソリトンシステムズ
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Smart-telecaster Zaoは「ザオー」と読む。データ通信端末を挿すと両サイドに飛び出る

日本のソリトンシステムズのH.265/HEVCに対応したハードウェアエンコーダ「Smart-telecaster Zao」は、USB型データ通信端末を最大7回線を利用して、ライブ配信する製品だ。回線はWi-Fi,Ethernetも利用可能。こちらの重量はバッテリー無しの状態で900g。USB型データ通信端末を筐体の両サイトに差し込む。また中継では、音声が中断することが最も避けるべき自体であり、多少の映像の乱れは犠牲にしても音声は途切れないようにするために、独自の伝送技術である「RASCOW」によって常に音声帯域を確保しながら回線状況に応じて映像の圧縮レートやフレームレートを調整することができる。

また同社の製品には、スマートフォン単体での配信を実現した「Smart-telecaster for Android / iOS」もすでに製品化されている。

ライブ配信ソリューションの未来

ライブ配信ソリューションは、個人利用から企業利用、更には放送現場での利用など、さまざまなシーンが考えられる。こうした製品はそれら利用シーンに応じて、簡易な中継車のような機能から、たまたま居合わせた現場で、手持ちのスマートフォンからとにかく画と音を送り出すという目的まで幅広い。機動性と品質をどう使い分けていくのかがポイントとなる。

txt:江口靖二 構成:編集部


[NAB2015もうひとつの視点] Vol.02