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[SIGGRAPH2015]Vol.01 CGの祭典SIGGRAPH2015開催!

2015-08-19 掲載

会場となったLAコンベンションセンター
txt:安藤幸央 構成:編集部

注目のComputer Animation Festival(SIGGRAPH2015)の受賞作品が明らかに

SIGGRAPHは世界最大のコンピューターグラフィックスとインタラクティブ技術に関する学会・展示会である。第42回となるSIGGRAPH 2015が、8月9日から13日の5日間、米国ロサンゼルスのコンベンションセンターで開催された。ロサンゼルスでのSIGGRAPHは、2012年に開催されて以来となる。映画制作の中心地でもあるハリウッドが近く、映画業界からも多く参加するSIGGRAPHから、まずはCG技術を駆使して制作された映像作品CAF(Computer Animation Festival)の受賞作品から紹介しよう。

今年は全世界から499作品の投稿があり、全部で133の作品が採択された。その中からよりすぐりの33作品が、夜に大会場で2時間にわたって上映するElectronic Theaterで多くの観客を集め上映された。SIGGRAPHでは、一般的な広告賞や映画賞の映像とは異なり、単純に話題になった作品や、巨額な予算の大作とは関係なく、オリジナリティや今までに見たことの無かった映像、短編ならではのストーリーテリングに評価が集まる。もちろん優秀な広告作品や、大作映画のCGも入賞する年もあるが、個人のアーティストや、学生チームによる映像作品にも、素晴らしい作品には入賞のチャンスがあるのだ。またCAFでの優秀賞は毎年アカデミー短編賞にノミネートされるという特典も用意されている。

SIGGRAPH会場内の上映にはスポンサーであるクリスティ・デジタルの最高峰のプロジェクターCP4230、D4K3560が用いられ、最新鋭の映画館と同等か、それ以上の映像クオリティで作品を楽しむことができた。

毎年恒例の目玉となるPixarの短編作品は、今年は活火山のラブストーリーを描いた「Lava(邦題:南の島のラブソング)」が上映された。日本でも「インサイド・ヘッド」と同時上映されている。

Disney Pixar’s Lava Clip1(公式映像)40秒のカットのみ

最近のSIGGRAPHでは、映画の中のCGのみならず、ミュージックビデオやTVCM映像の評価、プログラムによって映像をリアルタイムで描画するデモシーンの映像に注目があつまった。今年は、賞の部門構成が少し変わったとともに、リアルタイム映像作品からも2本予告編が上映された。

日本からは、優れた科学映像に贈られるBest Visualization or Simulation部門にサイアメントの瀬尾氏らが制作した心臓シミュレーション映像「Multi-scale Multi-physics Heart Simulator UT-Heart」が入賞した。

siggraph2015_seo トロフィーを受け取るサイアメントの瀬尾拡史氏(写真中央)、東京大学医学部附属病院 麻酔科の假屋太郎氏(写真左)

また、上映前の待ち時間には、会場内が一体となる演出が用意されていた。それは、Wham City Lightsというスマートフォン画面とフラッシュを一斉にコントロールするアプリの仕組みを使ったもので、上映開始までの待ち時間を退屈せずに、会場内がスマートフォンの光で溢れ、大変な盛り上がりとなった。

siggraph2015_WHAM Wham City Lightsのアプリで投影されるフラッシュライトで盛り上がる会場

美しいCG映像制作に、相当量のコンピューティングパワーが必要であった時代から、ツールの進化、コンピューティングパワーの進化、クラウドコンピューティングの進化によって、少人数や個人アーティストでも、短編であれば驚くべきクオリティの作品が作れるようになってきた。

俳優のパフォーマンスキャプチャを使ったコストや手間のかかった作品、制作物の緻密さに圧倒されるような作品と対峙するようにストーリーテリングとアニメーションの王道をいく学生チームの映像入選も目立っており、観客のウケも大変良かった。さらに、どの作品も環境や背景や文字やセリフに依存せず、内輪ウケなども無いコンテンツのグローバル展開を考えた映像ばかりであったのが印象的だった。

Computer Animation Festival受賞作品

■Best in Show(最優秀賞)

作品名:Citius, Altius, Fortius
監督:Felix Deimann

過去に記録を残したオリンピック選手の動きをキャプチャし、幾何学的な表現で動きを再現した静かで力強い映像作品。初めは不思議に思う映像だが、すぐに何のスポーツなのかに気付くと、次々と描かれる動きが何なのかを想像するのが心地良く、延々と観ていられるような作品。オリジナル映像は、アテネオリンピック、モーショントラッキング、ロトスコーピングの技術を駆使して作られた。


■Jury Award(審査員賞)

作品名:Amir & Amira
監督:Sara Ayoub, Martial Andre, Benjamin Condy, Ariane Dedulle, Cecilia Maturi, Tatiana Tchoumakova, ESMA

フランスの美術学校ESMAの作品。操り人形をモチーフに、アミールとアミラという名前の良く似た男女が、成長するにともなって、男性、女性の役割を演じ、その性別に即した髪型や服装をしなければいけないという、ジェンダーに関する問題を提起した作品。


■Best Student Project(優秀学生プロジェクト賞)

作品名:L3.0
監督:Alexis Decelle, Cyril Declercq, Vincent Defour, Pierre Jury, Isart Digital

世紀末風の環境に取り残されたロボットと、そのロボットが作り出す紙の生き物、動物達を描いた作品。ストーリーのオチが何ともブラックユーモア風だが、現代社会への警告だとも見てとれる。フランスの3Dアニメーション専門学校の学生チームによる作品。


■Best Computer Animated Short(優秀短編アニメーション賞)

作品名:Jinxy Jenkins and Lucky Lou
監督:Michael Bidinger, Michelle Kwon, Ringling College of Art and Design

超不運な男性と、超幸運な女性のラブストーリー。デジタル映像で描かれた、坂道の多いサンフランシスコの街並も見所。コメディ的な笑いに走りがちなストーリーテリングも、最後はちゃんとラブストーリーに落ち着いているところが会場から拍手を浴びていた。SIGGRAPH CAFでは常連の米国フロリダにあるリングリングカレッジのチームによる作品だ。


■Best Animated Feature Film(優秀映画賞)

作品名:HOME
監督:Tim Johnson, DreamWorks Anmation SKG

予告編

地球を住処にしようとやってくる、キュートなタコのような宇宙人を描いたフルCGアニメーション「HOME」の予告編。「HOME」の日本公開は未定。


■Best Visual Efects for Live-Action Feature Film(優秀実写映画賞)

作品名:Paddington
監督:Paul King, Framestone CFC

予告編

日本でも2016年1月に公開予定の「くまのパディントン」の実写合成映像。1950年代からイギリスで読み継がれている、人間のように振る舞う架空のクマが登場する作品。多くの人々が、それぞれのパディントンを思い描いているだけに、映像化が難しい題材だ。クマの表情は、俳優の顔の動きをCG化するフェイシャルキャプチャを駆使して作られた。


■Best Visualization or Simulation(優秀ビジュアライゼーション/シミュレーション賞)

作品名:Multi-scale Multi-physics Heart Simulator UT-Heart
監督:Hirofumi Seo, Sciement

UT-Heartは、スーパーコンピューターで計算を行った本物の心臓と同じ動きを目指して、現在も開発が続けられているマルチスケール、マルチフィジックス心臓シミュレーション。その心臓シミュレーションの結果をサイアメントでCG映像化したものだ。説得力のある映像として、会場内の評価も高かった。


■Best Music Video(優秀ミュージックビデオ賞)

作品名:League of Legends: Curse of the Sad Mummy
監督:Shy the Sun for Riot Games

本作品はオンラインゲームのプロモーション用の音楽作品で、正確に言うとミュージシャンのミュージックビデオ映像ではない。ゲームの世界観が音楽と映像で描きだされており、YouTubeですでに770万回以上再生されている。


■Best Game(優秀ゲーム部門賞)

作品名:Assassin’s Creed Unity(E3 cinematic trailer)
監督:István Zorkóczy, Digic Pictures

ゲームカンファレンスE3で公開された、「アサシン クリード」というゲームの映画のような予告編映像。大規模な舞台環境と、大量の群衆アニメーションを描きながらも、悪役を含め登場人物ひとりひとりの豊かな表情と感情が伝わってくる作品。


■Best Commercial Advertisement(優秀広告部門賞)

作品名:Ikea, ‘T-shirts’
監督:Dougal Wilson, Blink Productions.

SIGGRAPH CAF以外にも広告賞での受賞と、各所で評価されているIKEAのTVCM作品、CGによる特殊効果はハリウッド映画のVFXで活躍中のMPCが担当。Blink ProductionsとMPCによる作品は、昨年も子馬のTVCM映像でSIGGRAPH CAFに入選しており、次回作も気になるところだ。渡り鳥の代わりに、Tシャツが世界を旅して家のクローゼットに収まるまでを映像化した、ニヤッとさせる作品。

MPCによると、現実世界の鳥をリアルにCGで作るのは本物を観察すれば良いが、空飛ぶTシャツは誰も見た事が無く、それでいてリアルに作るのが難しかったとのこと。また、動物や人間のように骨格の無いTシャツにアニメーション用の疑似骨格を作って動きを調整したり、雪の中、雨の中で、空飛ぶTシャツがどのように見えるのか調整するのに苦労したそう。監督のDougal Wilson氏がお気に入りのシーンは、Tシャツ達が犬に追い立てられるシーンとのこと。60秒のCM全編が公開されているので、映像作りの苦労を考えながら、是非ご覧頂きたい。

受賞作以外のCAF注目作品と、リアルタイムグラフィックス作品は、この後のレポートで紹介する。

txt:安藤幸央 構成:編集部
[SIGGRAPH 2015] Vol.02

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[ DATE : 2015-08-19 ]
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