今年も始まるカメラの祭典

CP+2016の初日は夜明け前に雪はパラつき天候が危ぶまれたが、開場が始まる頃には打って変わって快晴となり、招待者やマスコミ関係用に設けられた初日の午前中から多くの来場者で賑わっていた。

今年はニコンやキヤノン、ソニーなどの大御所がデシタル一眼の新製品を事前に発表したこともあり、期待が高まるのも当然と言えるだろう。フィルムカメラがすっかり姿を消し一眼レフからコンパクト機までがデジタルになってしまい、各社とも特色を出すのに苦労しているようである。スマホに搭載されたカメラの性能が向上したことで、特にコンパクト機は難しい時期に来ているようである。

そうした反動もあってか各メーカーともデジタル一眼へシフトしたともいえるかもしれない。デジタル一眼は、ミラーのある一眼レフタイプと、俗に言うミラーレス一眼があるが、いずれもレンズを含め高性能志向の製品がほとんどで、コンパクト機のレンズ交換的な製品はなく、デジタル一眼とコンパクト機の中間でなんとなく中途半端感はなくなってきたといえよう。被写体の一瞬を捉えることに心血を注ぐカメラマンの中にはミラーレスのファインダー(モニター)のタイムラグを嫌う向きもあるが、最近ではそうした欠点もかなり改善されており、レンズのラインナップや周辺機器など作品を作る上で何が必要になるかでチョイスする方向のようだ。そういった意味で、ミラーレスは未だ発展途上で、レンズや周辺機器の充実がこれからのどのように普及して行くかのカギになりそうだ。初日はこうした視点から各社の新製品を見ていこう。

新製品が立ち並ぶ会場から

■キヤノン
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キヤノンは4月下旬発売予定のフラッグシップ機EOS-1D X Mark IIと、3月下旬発売予定の中級機EOS 80Dを出展。両機種ともハンズオンが会場内で行われていた。EOS-1D X Mark IIは、約2020万画素フルサイズCMOSセンサーの搭載や、最高約14コマ/秒(LV時最高約16コマ/秒)の高速連続撮影カメラとしての特長と言えるが、PRONEWS的には4K60p、フルHD120pのEOS MOVIEに注目したい。4096×2160収録時のコーデックはMotion JPEGで、35mmフルサイズのセンサー中央をドットバイドットでクロップするので、広角レンズで広い画角が必要な場合は注意したい。

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EOS 80Dは、APS-Cサイズ約の2420万画素のAPS-CサイズCMOSセンサーを搭載。光学ファインダーによる、オールクロス45点AFセンサーにより、測距点をファインダー内で広範囲かつ高密度に配列し、これにより上下左右の測距点が増えたことで動きのある被写体や小さな被写体での追従性が向上しているという。動画撮影対応はフルHD/60p撮影が可能となっている。

■ニコン
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ニコンも3月発売予定のフラッグシップ機D5と、4月下旬発売予定の中級機D500の2機種のデジタル一眼レフカメラを出展。ハンズオンコーナーにより、実機を手にとって確認できるようになっていた。D5は、最大約12コマ/秒(ミラーアップ時約14コマ/秒)の連続撮影が可能で、35.9×23.9mmサイズ2082万画素のCMOSセンサーを搭載。AF/AE追従で約12コマ/秒(最大200コマ)までの高速連続撮影に対応したほか、153点のフォーカスポイントにより広い範囲を高密度にカバーし、小さな被写体やコントラストが低い被写体に対しても高いAF検出力を可能としている。動画の本体記録のほか、フルHD映像と4K非圧縮映像をHDMI出力し、外部モニターへの表示や外部レコーダーへの同時記録にも対応可能。

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D500は4月下旬発売予定のAPS-Cサイズ相当の有効画素数2088万画素ニコンDXフォーマットセンサーを搭載したモデルで、約10コマ/秒(14ビットロスレス圧縮RAWで200コマ/秒)の連続撮影に対応しているほか、D5同様の153点AFシステムを搭載している。動画記録は1080/60pのほか、4K UHD(3840×2160)30p/25p/24pに対応しているが、4K撮影時はセンサーの中央部分をクロップして撮影するようになっており、画角が異なる。なお、動画の記録時間は最長29分59秒。

ニコン、キヤノンともにフラッグシップ機と中級機のデジタル一眼レフカメラを発表しているが、いずれも連射機能やAFの精度や速度の向上という一見地味な部分が特長となっている。これは、ニコン、キヤノンが報道用途に大きなシェアをもっており、2020年に開催されるオリンピックを視野に入れたものといえよう。もちろん連射やAFの機能向上に対する要求は報道系のカメラマンにとってとどまるところがないところで、オリンピックまでに更なる向上が予想されるところだ。いずれにしても一眼レフカメラはミラーレスとは別の基本的な性能向上という要求項目をメインに進化していくだろう。

一方ミラーレスは、比較的新しく登場したということもあり、その分新しい機能を盛り込みやすい。また、(マイクロ)フォーサーズという規格が存在するもののメーカーによってマウントを始めとして独自の進化をしており、ユニークなカメラを期待したいところだ。ミラーレスはクイックリターンミラーやフォーカルプレーンシャッターといった機構部分が必要ないので、DJIなど従来のカメラメーカー以外からの参入もあり、広がりを見せているが、レンズまで含めると従来のカメラメーカーやレンズメーカーに歩があるようだ。

■ソニー
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3月発売予定のソニーα6300は、新開発の有効約2420万画素APS-CサイズのExmor CMOSセンサーを搭載しており、425点像面位相差AFセンサー採用により、画面のほぼ全域を高密度にAFエリアがカバーしている。レンズマウントはEマウントで、アダプターによりAマウントレンズ装着時でも像面位相差AFに対応可能。高速性と追従性に優れた位相差AFと高精度なコントラストAFを併用する「ファストハイブリッドAF」により、0.05秒のAF速度を実現している。

■リコーイメージング
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4月下旬発売予定のPENTAX K-1は、3640万画素の35ミリフルサイズCMOSセンサーを採用しており、モアレや偽色を抑える一方で解像力に影響を及ぼす光学ローパスフィルターを搭載していないモデルとなっている。また、手ぶれ補正機構を応用し、イメージセンサーを1画素ピッチずつ動かしながら4枚を連続撮影することで、1画素ごとにRGB各色の情報を得ることができ、1枚の超高精細画像を生成するリアルレゾリューションシステムを採用している。動体撮影の場合4枚の画像の差異が生じるため今回新たに連続撮影中に動いた領域を検出し、その影響を低減するよう合成処理を行う動体補正モードを搭載した。

■シグマ
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参考出展のSIGMA sd Quattro Hは、APS-HサイズのFoveon X3ダイレクトイメージセンサー(ジェネレーションネームQuattro)を搭載したデジタル一眼カメラで、シグマSAマウントを採用したContemporary、Art、SportsのSIGMA GLOBAL VISIONレンズシリーズに対応している。センサーサイズ26.6×17.9mmの新開発大型Foveonセンサー採用により5,100万画素相当の高解像を達成し、高精細な描写を実現しているという。

■富士フイルム
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ミラーレス一眼カメラX-Pro2は今月発売になったばかりのカメラで、1630万画素APS-Cサイズセンサーや、光学ファインダーと電子ビューファインダーを切り替えて使用可能。装着レンズの焦点距離に応じてファインダー倍率が変えられるハイブリッドマルチビューファインダー1/8000秒、最速フラッシュ同調速度1/250秒を達成した新型フォーカルプレーンシャッターを搭載している。小型EVFでピントや露出、ホワイトバランスなどを確認しながら撮影でき、利便性がさらに向上している。


[CP+2016] Vol.02