PRONEWS

  • imgABOUT
  • imgTWI
  • imgFB
  • imgYTU

トップ > 特集 > [After Beat NAB SHOW 2016]Vol.02 「VoIP」「VR」新領域で向かう映像の世界

News

[After Beat NAB SHOW 2016]Vol.02 「VoIP」「VR」新領域で向かう映像の世界

2016-05-27 掲載

txt:稲田出 構成:編集部

急速に進むIP化。新しい映像提供のされかた

AfterBeat2016_00541

昨年もIPは話題になっていたが、積極的に推進し、製品化しているメーカーは少なかった。理由の一つとしてパケット落ちや遅延、同期などの問題があったからといえるが、今年はAIMS(Alliance for IP Media Solutions)アライアンスや、ソニーIPライブアライアンスのほか、TICOアライアンス、ASPEN(Adaptive Sample Picture Encapsulation)コミュニティなど、それぞれ一長一短はあるものの、ある程度方向性は決まってきたようである。今後統合されていったり、適材適所で使い分けが進んでいくことと思われる。

いずれにしても4K/8Kでは従来のSDI伝送では難しくなり、HDや4K/8Kが混在するようになればなおのことIP伝送が必要になるだろう。国内ではすでに難視対策とか情報過疎化、災害放送などでCATV局のインフラがIPで整備されているところも多いものの予算的な問題もあり、すぐには導入できないのではないだろうか。キー局もすでに系列のネットワークが構築されており、BSやCS、インターネット放送を行っているところもあるので、4K/8Kが本格的に普及するまで様子見になるような気がしてならない。こうしたことが海外ほど国内では注目されない理由といえるだろう。

海外ではスポーツイベントを専門に扱うプロダクションがあるが、そうしたプロダクションでは、スポーツイベントを複数の放送局などにリアルタイムで配信したりするわけだが、衛星やマイクロを使うよりIPのほうが何かと都合がよいので、すでにそうした装備の中継車を導入したプロダクションがあったりする。国内でも局と資本関係のないプロダクションが中継車を所有している会社もあるが、特定の局などに依頼されて中継車で収録するというスタイルだ。イベントを主催する側がこうしたプロダクションを使って必要な局に配信するスタイルが多くなれば、IP化のメリットがでてくるだろう。スポーツイベントや音楽イベントでは、会場内の大型スクリーンなどに映像を流したりしているので、設備的にはIP化のメリットはあると思われる。

また、放送局などでもすでにネットからの情報を番組制作に活かしているので、IP化とリンクすることができるかもしれない。海外では独立した地方局やCATV局、インターネット放送局などが多いが、国内では殆どの地方局はどこかのキー局の系列だし、独立したCATV局も少ないのが現状。国内でのIP化は番組制作にどのように活かせるのかが鍵になりそうだ。イベント関係では国内だけでなく海外への配信、例えば相撲や海外でも知名度のあるアーティストのイベントならば言葉の壁を超えて配信可能だろうし、カワイイを発信する原宿放送局や、オタクの聖地アキバなど可能性がありそうだ。すでに個人で何十万ものリスナーをもつYouTuberなども存在するのでコラボするというのもありだと思う。

AfterBeat2016_00421

国内でのIP化は既存の回線をIP化とか4K/8Kの伝送路としてのIP化よりもこうした取り組みにより新たなビジネスモデルとリンクした発想が必要ではないだろうか。ネットの世界は4K/8K、HDRなどフォーマットにとらわれない配信が可能で、コンテンツの内容に合った配信ができる。PRONEWSでも360°の動画配信を行っているが、視聴者が自由な視点で視聴できるというスタイルは昔流行った3D放送とは別の次元といえるだろう。こうした映像の配信では視聴者が視点を選択する操作が必要になるわけだが、スマホをディスプレイとして利用することで、スマホ内のジャイロセンサーに連動した視点の操作も可能だ。今のところこうしたバーチャルリアリティを利用した番組を配信している放送局はないが、新しい番組制作としての可能性はあるのではないだろうか。

SDIに代わる伝送路としてSDI over IPが4K/8Kでは必要とされており、すでにSMPTE 2022という規格が決めれられている。現在ベースバンドで伝送できるSMPTE 2022-6から2022-7へと進んでいるが、今回のNABではAIMSおよびIPライブプロダクションを採用するメーカーが多かった。いずれSMPTEの規格になってくるだろうが、別々の規格となるのか統合されるのか、今後の成り行きに注目したい。

AIMS

AfterBeat2016_02_AIMS AIMSアライアンス参加メーカー

IPライブ

AfterBeat2016_02_IPlive IPライブプロダクションアライアンス参加メーカー

効率的なIP伝送におけるプロトコルとしてASPENとTICOを採用するメーカーが今年のNABでは多かった。TICOはintoPIX社の圧縮フォーマットを採用しており、最大で4:1の視覚上無損失(ビジュアリー・ロスレス)の圧縮技術となっている。ASPENはMPEG2-TSベースの圧縮で、独立したビデオ、オーディオ、補助データ・フローを用いた超低遅延を特徴としている。

ASPEN

AfterBeat2016_02_ASPEN ASPENコミュニティ参加メーカー

TICO

AfterBeat2016_02_TICO_Alliance TICOアライアンス参加メーカー

AJA Video Systems

AfterBeat2016_02DSC03093 KONA IPは、AJAのPCIeキャプチャカードKONAシリーズの次世代製品で、SMPTE 2022-6 IPカプセル化された非圧縮3G-SDI、HD-SDIとSD-SDIビデオ、オーディオやVANCデータに対応

Blackmagic Design

AfterBeat2016_02_DSC03172 DIとIPの双方向変換が可能なTeranex Mini IP Videoコンバーター

グラスバレー

AfterBeat2016_02_DSC03239 SDIとIP(SMPTE2022-6)双方のブランキングスイッチに対応したGV Node。IPプロセッシングとルーティングが可能なSDIとIPSMPTE2022-6双方のブランキングスイッチに対応したルーティングプラットフォームで、1ノードあたり144×144ビデオと4608×4608オーディオに対応しており、TICOコーデックの採用により4K1ワイヤー伝送にも対応可能 AfterBeat2016_02_03218 1または2M/E、HDや4K対応などソフトウェアライセンスで選択可能なスイッチャーGV KORONA

NewTek

fterBeat_02_DSC03275 NDI(Network Device Interface)を実装することで、TriCasterなどをVideo over IPへ簡単に移行することが可能。NDIはSMPTE 2022だけでなく新たに生まれる標準への統合にも対応できるので、複数の映像システムをネットワークを介して認識・コミュニケーションが可能。リアルタイムに大量の高品質、低遅延かつ高フレーム精度でエンコードし、双方向の伝送が行える

JVCケンウッド

AfterBeat2016_02_DSC04301 Sports over IP。スコア入力機能を搭載したIPストリーミングカメラGY-HM200SPや、コーチング向けに選手のバイオメタリック情報の同期ができるシステム AfterBeat2016_02_DSC02952 JVCケンウッドIP Gateway for 4K。参考出品のIPベースのスタジオ制作分野に向けたHD IPデコーダーBR-DE900Uと、HD IPエンコーダーBR-EN900U。BR-DE900Uは2つのライブ映像を同時に出力でき、リターンオーディオにも対応可能。BR-EN900Uはテレプロンプターに対応する原稿映像の送出ができるほか、カメラへのリターンビデオ機能を搭載。低遅延で安定したストリーミングシステムとなっている

パナソニック

AfterBeat2016_02_DSC04002 AVC-Ultraクラウド&IPソリューション。LTEやWi-Fiを利用したP2カメラライブストリーミングシステム。取材先の映像を放送局ですぐに確認できるクラウドネットワークサービスP2Cast。LiveUを利用したQoSライブストリーミングシステムなどを紹介 AfterBeat2016_02_DSC04004 パナソニック有線LAN、無線LAN、4G/LTE回線に対応したネットワークサービス。PC/Mac、タブレット端末、スマートフォンを用いたワイヤレスプレビューやリモート、クラウドサーバー等への自動アップロード、ストリーミング送出が可能

ソニー

AfterBeat2016_02_DSC02312 IPライブプロダクション。HD-SDIとIPネットワーク技術を融合させ、従来複数のケーブルで行っていた機器間の映像・音声・制御・同期信号の伝送を、ネットワークケーブル1本で実現。HD、4Kを始めとした複数の映像および音声をネットワーク経由で多地点に同期伝送し、スムーズなソース映像切り替えが可能 AfterBeat2016_02_DSC02227 ソニーXDCAM Air。ワイヤレスソリューションを更に強化するサービスのコンセプト展示で、クラウドベースのXDCAMカムコーダーによるENGシステム

GoPro

AfterBeat2016_02_DSC02342 GoPro Odyssey。Jumpカメラリグに16台のGoPro HERO4 Black Editionを1つにまとめたもので、8K30pの3Dビデオ撮影が可能。Googleの3Dアライメント法により、シームレスで美しいパノラマが作成でき、動画をAndroid向けYouTubeアプリで視聴可能 AfterBeat2016_02_03904 Streambox VIRTUAL REALITY。クラウドベースのライブServer用に最適化された独自のACT-L3 4K VRビデオ圧縮で4Kエンコードすることで、低データレートで4K映像を3G、4G、LTEネットワークで伝送可能なほか、ビデオルーティング、アーカイブ、および管理のためのクラウドベースのライブに対応。マイクロソフトHoloLensのほか、Google Cardboard、サムスンGear VR、HTCViveなどをサポートしている txt:稲田出 構成:編集部
Vol.01 [After Beat NAB2016] Vol.03

[ Category : ]
[ DATE : 2016-05-27 ]
[ TAG : ]

この記事に関連する記事一覧

[IBC2019]Vol.08 聞こえてくる脱地上波への足音、OTTへのさらなる進展

txt:石川幸宏・編集部 構成:編集部 OTT普及による映像業界への影響 IBCがいま最も先端の映像事情を垣間見れる展示会であることは本特集Vol.01でも言及... 続きを読む

[IBC2019]Vol.06 メディアやエンターテインメント領域のAIと機械学習

txt:江口靖二 構成:編集部 カンファレンス、セッションからみる現状と近未来 IBC2019ではブロックチェーンと同様に、AIや機械学習(マシンラーニング、ML)... 続きを読む

[IBC2019]Vol.04 IP、リモートカメラが変える映像現場の未来

txt:石川幸宏・編集部 構成:編集部 急激に進むIP化の波 このIBCで特に目立ったのが、IPとリモートカメラによる各種制作ソリューションだ。特にライブイベント、リモ... 続きを読む

[IBC2019]Vol.03 今後の映像業界を牽引するのはGAFAではなく中国勢になる

txt:江口靖二 構成:編集部 今年注目のキーワードは“8K+AI” IBC2019での注目キーワードは「8K+AI」だ。そしてそれらのほとんどは中国企業によって先導さ... 続きを読む

[IBC2019]Vol.02 豊作の秋を感じる賑わう会場から〜カメラ、レンズなど注目の新製品と動向

txt:石川幸宏・編集部 構成:編集部 豊作の秋を感じさせる賑わう会場より この秋のIBC2019のタイミングでは、Vol.01で紹介したソニーのFX9、Z750をはじ... 続きを読む

[IBC2019]Vol.01 欧州放送展示会IBCに異変あり!今年の印象と目立つ新製品発表から

txt:石川幸宏・編集部 構成:編集部 今年のトレンドを探る 毎年9月にオランダ・アムステルダム市街地にある、RAI会場で開催される、欧州最大の業務用映像・音響... 続きを読む

[BIRTV2019]Vol.09 DJI、Zhiyun Tech、FeiyuTech、MOZAの4大ジンバルメーカーに注目

txt・構成:編集部 FeiyuTech、未発表のジンバル「AK3000」を参考展示 BIRTVの展示会場で見逃せないのは、DJI、Zhiyun Tech、Feiy... 続きを読む

[BIRTV2019]Vol.08 Pilotfly、カメラをあらゆる方向に向けてもモニターの角度は保てるスマートトラッキングローラー「Pilotfly Cavalier」を展示

txt・構成:編集部 モニターやライトを一定方向に固定可能な「Pilotfly Cavalier」 Pilotflyは2013年設立の台湾を拠点とするブランド。主力... 続きを読む

[BIRTV2019]Vol.07 Aputure、LS C300dより20%明るくなった人気のLEDライト「LS C300d II」を展示

txt・構成:編集部 人気のLEDライトが更に明るくなって新登場 LEDライトメーカーのAputureは、ここ数年間で世界中のクリエイターが注目する急成長中のブラン... 続きを読む

特集記事

Inter BEE 2019 Inter BEE 2019
千葉幕張メッセにて開催される国際放送機器展“Inter BEE“をレポート。
InterBEE 2019の歩き方 InterBEE 2019の歩き方
今年もInterBEEの歩き方をジャンル別にピックアップし、6種類のコースを紹介。
Film Shooting Rhapsody Film Shooting Rhapsody
フィルム撮影の経験をしたい人に向けてフィルム撮影で必要な各種の工程について解説していく。
IBC2019 IBC2019
欧州最大の業務用映像・音響の専門展示会「IBC2019」をレポート。
新世紀シネマレンズ漂流 新世紀シネマレンズ漂流
シネマレンズを中心に一眼やミラーレスデジタルカメラの動画撮影機能と組み合わせて使われる交換レンズの最新動向を紹介する。
BIRTV2019 BIRTV2019
中国・北京の中国国際展覧中心で開催された展示会「BIRTV 2019」をレポート。
SIGGRAPH2019 SIGGRAPH2019
世界最大のコンピュータグラフィックスとインタラクティブ技術に関する学会・展示会SIGGRAPH2019をレポート。
QBEE2019 QBEE2019
九州放送機器展(QBEE)をいつもの会場練り歩き方式でレポート。
4K・8K映像技術展Report 4K・8K映像技術展Report
東京ビッグサイト青海展示棟にて開催された4K・8K映像技術などの最新技術が一堂に出展する「通信・放送Week2019」をレポート。
DSJ2019 DSJ2019
幕張メッセで開催された国内最大のデジタルサイネージの展示会「DSJ2019」をレポート。
Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019 Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019
米国ハリウッドのパラマウントスタジオ内で開催された映画撮影機材の専門展示会「Cine Gear Expo」をレポート。
After Beat NAB SHOW 2019 After Beat NAB SHOW 2019
東京・秋葉原のUDXにて開催されたAfter NAB Show 2019をレポート。
NAB2019 NAB2019
米国ネバダ州ラスベガスにて開催される世界最大の放送機器展覧会「NAB2019」をレポート。
SXSW2019 SXSW2019
テキサス州オースティンで開催されたSXSW2019をレポート。
CP+2019 CP+2019
パシフィコ横浜にて開催されたカメラと写真の総合展示会「CP+2019」をレポート。

トップ > 特集 > [After Beat NAB SHOW 2016]Vol.02 「VoIP」「VR」新領域で向かう映像の世界