PRONEWS

  • imgABOUT
  • imgTWI
  • imgFB
  • imgYTU

トップ > 特集 > [IBC2016]Vol.00 HDRが一気に活況、実用IP化への更なる進展へ

News

[IBC2016]Vol.00 HDRが一気に活況、実用IP化への更なる進展へ

2016-09-14 掲載

txt:Tom INOKWA 構成:編集部

進展するIP化への波と、ワークフロー・リノベーション

IBC2016_00_02

9月初旬としては例年になく日中汗ばむほど気温が高いオランダ・アムステルダム。今年もまた欧州最大の映像・放送の展示会「IBC(International Broadcast Conference)2016」が、9月9日~13日(カンファレンスは8日~12日)の日程で例年通りアムステルダム市郊外のRAI会場で開催された。

IBCは主にヨーロッパ圏内の放送局に向けて、放送分野を中心とした最新映像・音響技術の展示会イベントとして長年親しまれているが、NABや日本のInterBEEと同様に、広く映像・音響に関わる最新テクノロジーの公開の場として、分野を超えて取り扱うようになってきている。

また金曜日に始まり、土日を挟んで火曜日までの計5日間という独特で変則的な長いスケジュールも、放送業界における社交場としての意味が重要視されてきたようで、放送設備関連の大きなブースには必ずバーカウンターが設けられ、連日午後3時を過ぎた辺りから、メーカースタッフと放送局関係者がワイングラスを傾けながら、業界裏話に興じるといった光景は、今も多く見られる。

以前はIBC開催期間の土日を利用して、各国から家族連れで訪れる放送関係者も多く、家族は観光、本人はIBC視察+業界での懇親を深めるといった趣きは、欧州ならでは光景かもしれない。

IBC2016_00_01

欧州はかつて日本とは違う放送方式であるPAL圏(日米はNTSC)であったため放送設備や機材も大きく異なり、IBCで披露される最新技術もあまり日本では意味が無く、我々メディア関係者もNABほど注目するイベントではなかった。

しかし、15年ほど前からのHD化への波によりその相違も次第になくなり、さらに新たな考え方のソフトウェアや機材、次代を予感させるコア技術が欧州エリアから多く輩出される時代が来るとともに、IBCへ注目も年々増してきた。またそれによって放送関係者だけでなく、広く制作、配信等に関わる映像関係者の注目を浴びるようになったのは、他のイベントと同じ潮流だ。当然ここ近年の4K高解像度化への新規機材導入、IP化、HDR、VRなど、IBCにおける技術トレンドは、さらにそのユーザー層に変化を及ぼしており、出展社、来場者ともにまたその様相も変わってきている。

さらにここにきて、OTT(Over The Top=Netflix、hulu等)のネット配信系の映像ビジネスの世界的隆盛により、特に欧州圏内では早くからBBCのiPlayerなど、テレビコンテンツと連動したネット配信サービスが早くから盛んでTV以外での視聴リテラシーも年代を超えて普及きてしていることから、ネットコンテンツに求められる「クオリティは落とさず、制作時間は短く!」といった風潮が際立ってきている。その中で特にIP化への波は、これまでの制作スタイルや組織は変えずに、時短とコストマネジメントを効率よく推進させるための、“ワークフロー・リノベーション”としての有意義なソリューションとして大きく注目されている。

放送局=コンテンツ・ディストリビューターとしての、IP化の重要性

IBC2016_00_03

今年のIBCにおけるトレンドは、春の米ラスベガスで行われたNABからの流れから、HDR(ハイ・ダイナミック・レンジ)の実用訴求においてPQとHLGの普及・実装技術などの製品発表と、日本ではまだ先といったイメージのある放送局でのIP化への波が、ここにきて大きく動いていることだろう。

HDRは最終的に家庭など、視聴端末における技術やデバイス側の問題が大きいので、制作・配信側で出来ることは限られてくるが、IP化に関しては、これからの放送局の動きとして、従来の放送に加えてネット配信のコンテンツホルダーとしても重要な立ち位置を確立することが、今後のマスメディアにおけるコンテンツビジネスを考えて行く上で重要かつ必要な条件になりつつある。

IBC2016_00_04

特に先進国における放送局のあり方は、その意義の再確認として問われており、IP化へと変わって来ているようだ。IP化は別に3G-SDI/4本を1本に束ねるための技術ではない。最終的にはIP化によりデータセンターからシームレスにTVコンテンツをネット配信=ネット課金できるようなシステムを構築するインフラになるのだが、ここにきて急速にその構築が急がれているように思われる。

中でも解像度に関しては、すでに4Kスタンダードという点はネット配信のほうがいち早く対応可能なため、そこにHDRも加えた訴求システムを考える中で、コンテンツの視聴が急速にネットデバイスに移行している状況においては、IPによる早期のデータセンターの確立、立ち上げが重要だ。

フタを開ければ、シネマレンズ祭り!

IBC2016_00_05

今回のもう一つのトレンドは、シネマレンズ市場がこのIBCで一気に活況を帯びて来たことだ。2012年以降、キヤノンCINEMA EOS SYSTEM、ブラックマジックデザインのシネマカメラシリーズを始め、ソニーF55やRED Digital Cinemaの動向、そして近年はパナソニックの第二世代VARICAMの登場など、各社からここ数年で多くのシネマカメラが発売された。

またソニーαシリーズなど、ミラーレスも含めた一眼ムービーユーザーも急速に増えてきた中で、その普及に伴わないのが対応するシネマレンズ群の少なさだ。特にハイエンド向けではなく、ミドルレンジでもレンタル、もしくは購入できるようなレンズの登場は、各分野で待望されていた。光学系は開発から製品化までに時間を要することから、当時からの準備でようやくこの時期に出そろって、正式発表も始まったということだろう。

その他では、ドローン関係は数社出展はあるものの、昨年までの勢いはなく、またVR関係もNABほど大々的で目立った展示はなかった。8Kといった上位方向にはまだどの国も興味を示していないのか、Future Zoneにおいて唯一日本のNHKのみの先行展示という状況はこれまでと変わらなかった。

IBC2016で発表され話題となった新製品とともに、そこから見えて来たこれからの映像技術、製品のトレンドなどをお伝えする。

txt:Tom INOKWA 構成:編集部
[IBC 2016] Vol.01

[ Category : , ]
[ DATE : 2016-09-14 ]
[ TAG : ]

この記事に関連する記事一覧

[CES2020]Vol.11 Crystal LEDとAtom Viewで実現するヴァーチャルセット最前線~まさにリアルを超える?!

txt:西村真里子・猪蔵・編集部 構成:編集部 リアルとバーチャルの境目がなくなる影像制作 CES 2020はそれまでのCESの歴史から大きくシフトを宣言している年であ... 続きを読む

[CES2020]Vol.10 テレビ局が不在でも完全に8Kが主流のCES2020

txt:江口靖二 構成:編集部 CES 2020の主流が「8K」となった理由 CES 2020では完全に8Kが主流である。グローバルで市場を牽引する中国とアメリカでは、... 続きを読む

[CES2020]Vol.09 「次の10年のエンターテインメント・プラットフォーム」とは?〜モバイル向け動画配信サービスQuibiスタート直前

txt:加藤薫(博報堂DYメディアパートナーズ) 構成:編集部 モバイル向けストリーミングサービス「Quibi」とは? 生活を変えるテクノロジーのショーケースとして... 続きを読む

[CES2020]Vol.08 日常が“つながる”と意外なものがメディアになる?未来の生活を彩るものたち

txt:平野陽子 (大広) 構成:編集部 2020年1月7日~1月10日、米国ラスベガスにて「CES 2020」が開催された。すでに多くのメディアで語られているが、再度振り返... 続きを読む

[CES2020]Vol.07 人工人間、身体性が問われるテクノロジー「NEONプロジェクト」

txt:西村真里子 構成:編集部 CES 2020で注目のテクノロジー「NEON」とは CES 2020の日本のスタートアップが出展するEureka Parkに... 続きを読む

[CES2020]Vol.06 目の付け所がAIなプロダクトが続々登場〜会場から見えてくるAIプロダクト達

txt:江口靖二 構成:編集部 進化する画像センサーがより良い未来を作る サムスンの「Ballie」は目の付け所がサムスンなプロダクトだ。百聞は一見にしかず、サムス... 続きを読む

[CES2020]Vol.05 航空会社として初基調講演。デルタ航空が考えるイノベーション〜パラレル リアリティ ディスプレイ

txt:江口靖二 構成:編集部 航空会社として初めての基調講演 CESでのキーノートには、例年家電メーカーであったり、インテルやクアルコムのようなチップ系のメーカー、最近では自... 続きを読む

[CES2020]Vol.04 より多くの人を集めるために〜CESにおける「見せ方」と「ブランディング」効果とは?

Audiのブースは上からキラキラしたリボンが無数に装飾されており、否が応でも足を踏み入れたくなる txt:清水幹太 構成:編集部 来場者の気を引く“見せ方”は多種多様 ... 続きを読む

[CES2020]Vol.03 一般化を迎えたカテゴリーに花開く、味わい深いプロダクトたち〜展示会スタート

txt:清水幹太 / 編集部 構成:編集部 いよいよ展示会が始まる MediaDayが終わり、CES展示会場での展示がいよいよ始まった。CESの他の展示会と大きく違う点... 続きを読む

特集記事

Camera Preview 2020 Camera Preview 2020
2019年から2020年春にかけて発表された話題の新製品やカメラシステムを紹介。
AfterCOVID-19 映像業界サバイバル AfterCOVID-19 映像業界サバイバル
社会的危機となっている新型コロナウイルス拡大の状況を分析し、今何が起こり、何が必要で、その後に何が訪れるのかを考えてみる。
Film Shooting Rhapsody 上映編 Film Shooting Rhapsody 上映編
16mmフィルムトライアルルームの荒木泰晴氏によるフィルム特集第2弾。今回はフィルム現像から紹介する。
再現:NAB2020 再現:NAB2020
米国ラスベガスにて開催予定だった世界最大の放送機器展覧会 2020 NAB Showでお披露目される予定だった内容を再現していく。
Film Shooting Rhapsody Film Shooting Rhapsody
16mmフィルムトライアルルームの荒木泰晴氏によるフィルム特集第2弾。
再現:CP+2020 再現:CP+2020
開催中止となってしまったCP+2020をPRONEWS誌面上で再現して行く。
CES2020 CES2020
米国ラスベガスで開催された世界最大の国際家電見本市 CES2020をレポート。
PRONEWS AWARD 2019 PRONEWS AWARD 2019
2019年は映像業界にとってどんな年だったのだろうか。PRONEWS AWARDで部門ごとに振り返る。
Inter BEE 2019 Inter BEE 2019
千葉幕張メッセにて開催される国際放送機器展“Inter BEE“をレポート。
InterBEE 2019の歩き方 InterBEE 2019の歩き方
今年もInterBEEの歩き方をジャンル別にピックアップし、6種類のコースを紹介。
Film Shooting Rhapsody Film Shooting Rhapsody
フィルム撮影の経験をしたい人に向けてフィルム撮影で必要な各種の工程について解説していく。
IBC2019 IBC2019
欧州最大の業務用映像・音響の専門展示会「IBC2019」をレポート。
新世紀シネマレンズ漂流 新世紀シネマレンズ漂流
シネマレンズを中心に一眼やミラーレスデジタルカメラの動画撮影機能と組み合わせて使われる交換レンズの最新動向を紹介する。
BIRTV2019 BIRTV2019
中国・北京の中国国際展覧中心で開催された展示会「BIRTV 2019」をレポート。
SIGGRAPH2019 SIGGRAPH2019
世界最大のコンピュータグラフィックスとインタラクティブ技術に関する学会・展示会SIGGRAPH2019をレポート。

トップ > 特集 > [IBC2016]Vol.00 HDRが一気に活況、実用IP化への更なる進展へ