PRONEWS

  • imgABOUT
  • imgTWI
  • imgFB
  • imgYTU

トップ > 特集 > [After Beat NAB SHOW 2017]Vol.03 地味に重要なHDRとSDRが混在する時代のワークフロー

News

[After Beat NAB SHOW 2017]Vol.03 地味に重要なHDRとSDRが混在する時代のワークフロー

2017-06-15 掲載

txt:江口靖二 構成:編集部

HDRについて考える

CESなどでは、HDRに関する展示や提案が非常に多くなっている。それらは再生側、ディスプレイに関する技術の展示がほとんどである。しかしながら実際のテレビ制作現場の立場からすると、おそらく当面は、既存のHD SDRと4K HDRが混在するというのが現実である。そしてこれらの実現のためにダブルスタンバイを要求されるとすればコスト面で成立し得ない。そこでHDR/SDRのサイマル制作に関してのワークフローの展示がUltra HD Forumブースで行われていた。

UHDフォーラムブースの一角

デモ事例は、2017年1月31日のロサンゼルス・レイカーズ対デンバー・ナゲッツのバスケットボールのライブ中継をSDRとHDRで同時に行ったものである。技術はTechnicolor社とSpectrum Sports社が共同で行った。この事例では、追加の設備投資とオペレーションをほとんど行うことなくSDRとHDRの同時放送が可能であることが示されという。

説明用のパネルを見ていただきたい。SDRのカメラとHDRのカメラが現場に投入され、SDRカメラの映像は中間フォーマットとしてのS-Log3のデータとともにHDRにアップコンされる。HDRカメラの信号は同じくS-Log3データとともに中継車内のスイッチャーに送られ、JPEG2000でエンコードされて親局に送られる。必要に応じて現場でのリプレイ用のアーカイブや各種のCGも同様にS-Log3でアップコンされる。親局ではCMサーバーの素材映像も同様にアップコンされる。

UHDフォーラムにおけるLIVE HDRのワークフローの事例

これらの映像信号をSDRにダウンコンして、S-Log3のメタデータとともに各局に伝送され、ATSC3.0でOAされたり、各OTTサービス向けにも配信された。これによってすべての伝送路、すべてのフォーマットに対応したライブ中継を実現したのである。

またもう一つ興味深いことは、この仕組みでHDRを撮影すると、SDRが元の映像よりも優れていることがわったという。つまりSDRをSDRで撮るよりも、HDRで撮ってSDR化したほうが優れていたという話である。これは実は意外な話ではなく、かつてCMを35ミリフイルムで撮影し、D1 4:2:2でテレシネとポスプロを行った方が、たとえ最終段がアナログ放送だったとしても優れていたというのと同じである。

またこのS-Log3を中間フォーマットにするという考え方は、ソニーのSR Live for HDRも同様である。ソニーの場合はベースバンドプロセッサーユニット「BPU−4000」から4K HDR とHD SDRがそれぞれ出力され、撮影時のオペレーションはHD SDRで全て行い、4K HDRは最終段でのみ使用する方式を提唱している。

ソニーの提唱するHDR&SDRサイマル制作 ソニー「“SR Live for HDR”とは」より

こうした中間フォーマットを利用するメリットは、仮にサイマル制作などを行う場合でも、SDR、HDRのどちらを基準にするかを考える必要がないわけだ。ソニーのSR Live for HDRの仕組みをスカパー・ブロードキャスティングの4K HDR中継車に世界で初めて納入したそうである。

コンシューマー目線では、家の中のテレビの話をする限り、4Kや8Kという高解像度よりも、HDRのような本物に近い光の話のほうが誰の目にもわかりやすいはずだ。大げさではなく映像技術に置ける革命的な出来事とさえ言える。SDRとHDRを同じ素材で比較する機会があれば、「いままではこんなに暗い絵を見ていたのか」と愕然とするわけだ。しかし、放送にせよネット配信にせよパッケージメディアにせよ、これまでのSDRをすぐに捨て去ることは当然ながらできないわけで、こうしたHDR/SDR共存のためのワークフローの確立が不可欠である。そしてそのための中間フォーマットのような考え方が、8Kより先のさらなる高解像度や高臨場感に関する技術革新においても、うまくスケーラブルなものとして定着していくことが大切ではないだろうか。

txt:江口靖二 構成:編集部
Vol.02 [After Beat NAB2017] Vol.04

[ Category : , ]
[ DATE : 2017-06-15 ]
[ TAG : ]

この記事に関連する記事一覧

[After Beat NAB SHOW 2017]Vol.04 注目の360°VRの課題は、どこで、なにで、なにを見るのか

txt:江口靖二 構成:編集部 隆盛誇るVR。その課題はなんだろう? 今年はノースホールの一角に、Virtual and Augmented Reality Pavil... 続きを読む

[After Beat NAB SHOW 2017]Vol.02 After NAB Show Tokyo 2017レポート02

txt:稲田出 構成:編集部 前回に続いて会場の各社ブースを紹介して行こう。 パナソニック パナソニックはブース名もPOVCAMとし、POVCAMを中... 続きを読む

[After Beat NAB SHOW 2017]Vol.01 After NAB Show Tokyo 2017レポート01

txt:稲田出 構成:編集部 今年のNABの総括をAfterNABshowで考える 2017年5月30日の大阪グランドフロント大阪に続き東京秋葉原のUD... 続きを読む

[NAB2017:Adobe]Creative Cloudのビデオとオーディオ製品のアップデートを発表

Adobeブース360°全天球動画 RICOH THETA Sで撮影した360°全天球動画です。視点変更機能を利用するにはPC版Google Chromeブラウザおよ... 続きを読む

[NAB2017:TASCAM]インターネットライブ配信で活躍するMiNiSTUDIO US-42などを展示

TASCAMブース360°全天球動画 RICOH THETA Sで撮影した360°全天球動画です。視点変更機能を利用するにはPC版Google Chromeブラウザお... 続きを読む

[NAB2017:ASTRODESIGN]VA-1845、HR-7518などの新製品を8Kカメラやモニターと組み合わせたデモで紹介

ASTRODESIGNブース360°全天球動画 RICOH THETA Sで撮影した360°全天球動画です。視点変更機能を利用するにはPC版Google Chrome... 続きを読む

[NAB2017:LiveU]ワイヤレスモバイル中継装置の新製品「LU600」や小型軽量モデルの「LU200」などを展示

LiveUブース360°全天球動画 RICOH THETA Sで撮影した360°全天球動画です。視点変更機能を利用するにはPC版Google Chromeブラウザ... 続きを読む

[NAB2017:Harmonic]OTTとクラウドベースのソリューションを展示

Harmonicブース360°全天球動画 RICOH THETA Sで撮影した360°全天球動画です。視点変更機能を利用するにはPC版Google Chromeブラウ... 続きを読む

[NAB2017:平和精機工業]様々な撮影シーンでカメラを支えるソリューションを披露

平和精機工業ブース360°全天球動画 RICOH THETA Sで撮影した360°全天球動画です。視点変更機能を利用するにはPC版Google Chromeブラウザお... 続きを読む

特集記事

IBC2019 IBC2019
欧州最大の業務用映像・音響の専門展示会「IBC2019」をレポート。
新世紀シネマレンズ漂流 新世紀シネマレンズ漂流
シネマレンズを中心に一眼やミラーレスデジタルカメラの動画撮影機能と組み合わせて使われる交換レンズの最新動向を紹介する。
BIRTV2019 BIRTV2019
中国・北京の中国国際展覧中心で開催された展示会「BIRTV 2019」をレポート。
SIGGRAPH2019 SIGGRAPH2019
世界最大のコンピュータグラフィックスとインタラクティブ技術に関する学会・展示会SIGGRAPH2019をレポート。
QBEE2019 QBEE2019
九州放送機器展(QBEE)をいつもの会場練り歩き方式でレポート。
4K・8K映像技術展Report 4K・8K映像技術展Report
東京ビッグサイト青海展示棟にて開催された4K・8K映像技術などの最新技術が一堂に出展する「通信・放送Week2019」をレポート。
DSJ2019 DSJ2019
幕張メッセで開催された国内最大のデジタルサイネージの展示会「DSJ2019」をレポート。
Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019 Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019
米国ハリウッドのパラマウントスタジオ内で開催された映画撮影機材の専門展示会「Cine Gear Expo」をレポート。
After Beat NAB SHOW 2019 After Beat NAB SHOW 2019
東京・秋葉原のUDXにて開催されたAfter NAB Show 2019をレポート。
NAB2019 NAB2019
米国ネバダ州ラスベガスにて開催される世界最大の放送機器展覧会「NAB2019」をレポート。
SXSW2019 SXSW2019
テキサス州オースティンで開催されたSXSW2019をレポート。
CP+2019 CP+2019
パシフィコ横浜にて開催されたカメラと写真の総合展示会「CP+2019」をレポート。
Film Shooting Rhapsody Film Shooting Rhapsody
いまだから知っておきたいフィルムの現状や伝統的な技術などを紹介する。
CES2019 CES2019
米国ラスベガスで開催された世界最大の国際家電見本市 CES2019をレポート。
PRONEWS AWARD 2018 PRONEWS AWARD 2018
2018年は映像業界にとってどんな年だったのだろうか。PRONEWS AWARDで部門ごとに振り返る。

トップ > 特集 > [After Beat NAB SHOW 2017]Vol.03 地味に重要なHDRとSDRが混在する時代のワークフロー