Fコース:体験映像の可能性を探る

VRや360°の映像は次第に身近になりつつある。これまでの360°撮影は、GoProや小型のミラーレスカメラなどを複数台用意して専用のリグと組み合わせて撮影を行っていた。それ故に扱いには特別な知識やポスト処理の技術が必要だった。しかし、今年発売された話題の360°カメラ「Z CAM S1」や「Insta360 Pro」は一体型で、カメラの同期制御やステッティングに関する操作の敷居を低くしている。

また、最新の360°カメラの多くはライブストリーミング機能を搭載しており、イベントの様子を360°でライブ中継するというケースが増えてきている。国内メーカーでもパナソニックは360°カメラを9月に発売し、JVCケンウッドのブースでも各種イベントで試作機を展示中だ。InterBEEは数少ない各社の360°カメラが一堂に展示される機会なので、実際に手にとって試してみるといいだろう。

VRの編集アプリケーションに関しては、Adobe Premiere ProがVRの編集機能を標準搭載しており、Final Cut Pro Xはプラグインを追加することで対応可能。展示会場では、ピクセラがリアルタイムスティッチソフト「Voysys VR」や、スマホ用のヘッドマウントゴーグルでパノラマ動画を楽しめたりライブストリーミング配信ができる「パノミル」を展示する。ピクセラはパノミルを使ってInterBEE会場内を4Kライブ配信デモを行うので、興味のある方はブースやサイトをチェックしてほしい。

01 INTER BEE IGNITION[#6505]

右はシネ・フォーカスの3Dホログラムディスプレイ「dreamoc」

360°映像や3D映像、ホログラムなどの先進映像技術を集めたゾーン「INTER BEE IGNITION」が今年も開催される。VRや360°映像をテーマにした展示社ブースや、ゾーンに設置されたオープンステージで企画セッションを行う。オープンステージでのセッション聴講は予約不要だ。

展示社ブースでは、シネ・フォーカスが英国MUSION 3D社の「MUSION 3Dホログラムシステム」とデンマークREALFICTION社の3Dホログラムディスプレイ「dreamoc」シリーズを出展する。特に注目なのは、観客とステージの間に斜めに設置した特殊なフィルムに映像を反射させるゴーストトリックと呼ばれる3Dホログラムソリューションで、1/4のデモ用ボックスで実際に世界で利用された事例を紹介する。「dreamoc HD3」は、デンマークREALFICTION社のホログラムディスプレイで、横幅1035mmと大型サイズなのが特徴。

そのほかにも、ジョリーグッドがVRソリューション、先進映像協会 ルミエール・ジャパン・アワード2017が受賞作品、日本放送協会がインテグラル立体の飛び出す絵本などを展示する。

02 Insta360[#6301]

「Insta360 ONE」や「Insta360 Pro」で話題の360°3D VRカメラブランドInsta360がInterBEEに初出展。Insta360 ONEは、360°VRアクションカメラで、2400万画素と7K画質、120fpsスロモーション撮影が特徴。また、360°映像から自由に角度を変えられる編集機能「Free Capture」でバレットタイム撮影と呼ばれる映像が誰でも簡単に制作できるのは面白い。ぜひ同社ブースでバレットタイム撮影を体験してほしい。

Insta360 Proもプロの間で話題の360°3D VRカメラだ。6つの200°魚眼レンズを搭載し、最大8K解像度で高画質な360°の写真や動画の撮影ができる。4K撮影時のリアルタイムスティッチングをはじめ、タイムラプスモードや100fpsの高速撮影、手ブレを軽減するスタビライザー機能に対応。さらに、360°ライブストリーミングにも対応しており、プロフェッショナル向けの映像制作や配信に適した機能を提供する。

03 インタニヤ[#6105]

同社の注目製品は、250°の魚眼レンズ「Entaniya Fisheye HAL 250」シリーズ。250°の広角魚眼レンズなので、カメラ1台のワンショットでVRが作成可能。面倒なステッチが不要で、VR形式に展開するためのVR変換ソフトが不要で、撮影が楽に行えるというメリットがある。Back to BackでVRを作成したいという場合は、広いオーバラップがあるため安定したステッチが行える。

200°の魚眼レンズ「Entaniya Fisheye HAL 200」も展示する。焦点距離3.65mmモデルがE/MFT/Cマウント、焦点距離5.2mmモデルがEF/Eマウントを用意している。360 VR Rigとして、Sony α7シリーズやα6500、UMC-S3CA用のSide by Side Rigを展示する。α7シリーズを使えば、フルサイズセンサーのカメラならではの自然な階調の360° VR動画が作成可能となる。

04 Too[#5207]

8K VRワークフローとして、360°カメラ「Insta360 Pro」による撮影からAdobe CC、InstaVRによる8K VRワークフローの紹介に注目。最大8K解像度で高画質な360°全天球写真・動画の撮影ができるカメラ「Insta360 Pro」で撮影をし、360°VRビデオ制作に対応する機能を強化した「Adobe Premiere Pro CC」で編集。動画の360°コンテンツ間の行き来が可能な「リンク」を設定することで、VRアプリを開発できるブラザーベースのオーサリングツール「InstaVR」で書き出す流れの360°ビデオの制作を紹介する。

特にブラウザ上で素早く簡単にVRアプリを作ることのできるWebアプリケーション「InstaVR」は面白いツールだ。InstaVRは、複数の360°動画コンテンツに行き来が可能な「リンク」を設定することで、専門知識なしでVRアプリを開発できる。一度オーサリングすれば、AndroidやiOSに対応したアプリや、Webブラウザ用コンテンツ、さらにGoogleのモバイルVRプラットフォーム「Daydream」まで、様々なプラットフォームへワンクリックで出力することができる。

Tooブースでは、放送コンテンツ制作対応4K/60p編集ターンキーシステムを展示する。ヒューレットパッカード社のワークステーション「Z840」をベースに、HDRやHLGでもストレスのない編集を実現できるとしている。

※掲載しているブース写真は過去に開催されたイベントのものです。


Eコース[Inter BEE 2017の歩き方] Aコース