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[新世紀シネマレンズ漂流:最新単焦点レンズ編]Vol.07 私の選んだ交換レンズ(後編) Hiro Matsuzaki氏とヤギシタヨシカズ氏に聞く

2018-03-26 掲載

txt・構成:編集部

Matsuzaki氏が選んだ交換レンズ「Loxia」シリーズ

Hiro Matsuzaki
2007年渡米後、ロサンゼルスにあるInternational Motion School of Motion Picturesにて横山智佐子氏に支持を仰ぐ。その後、2011年カリフォルニア州立ノースリッジ校卒業。卒業後はフリーランスフィルムメイカーとして映画・ドキュメンタリー・ミュージックビデオなど映像制作全般に携わる。2013年に活動拠点を東京へ移す。近年では脚本・演出だけに留まらず撮影・編集・カラーグレーディングなどマルチになんでもこなす。

――最近はどのような映像制作に関わられていますか

Matsuzaki氏: 一番多いのはWebのコマーシャルの撮影ですね。また、海外撮影クルーが、日本で撮影をするときの日本の現地カメラマンも行います。BカメやCカメで入ることも多いです。

――Matsuzakiさんのプロフィールを拝見すると、カメラマンではないのですね

Matsuzaki氏:違います。今でもメインは演出です。現役のフィルムエディターとして活躍中の横山智佐子先生が現地で映画学校「International School of Motion Pictures」を開校しているのですが、そこで勉強をさせて頂きました。今でも先生とは映像に関する相談にのって頂くことがあります。

――単焦点レンズとズームレンズの比率はどのような感じですか?

Matsuzaki氏:案件や撮影のスタイルによって変わりまして、最近は半々ですね。同じ現場で単焦点とズームを使い分けることもありますし、ズームだけでいくこともあります。コマーシャルっぽい感じの撮り方をするときは単焦点ばかりです。

――どのような単焦点レンズを使われていますか?

Matsuzaki氏: これもシネレンズをレンタルで借りて使う場合と、自分の所有する単焦点の交換レンズを持ち出して使う場合があります。だいたい半々ぐらいの割合ですね。個人所有の単焦点レンズは、ツァイスのフルサイズEマウント用マニュアルフォーカスレンズ「Loxia」です。私が交換レンズを選ぶ際にもっとも重視するのはサイズ感で、その点、Loxiaは、小型化と取り回しのよさを特長としています。

例えば、撮影助手が一人や二人ついていて、レンズの交換を助手が扱ってくれる現場であればもっと重量のある交換レンズを持ち出すことも可能です。ただ、ドキュメンタリーを撮ることもあるので、その場合はワンマン撮影がほとんどです。交換レンズが重かったり大きかったりすることはデメリットと考えています。

Matsuzaki氏が所有するツァイスのLoxia。4本すべて揃えている
――ツァイスのMilvusシリーズという選択肢は考えられませんでしたか

Matsuzaki氏:ツァイスのMilvusという選択も十分にあったと思います。しかし、画質、サイズ感、重量だったり、トータルバランスという意味ではLoxiaがもっとも優れていると考えました。

――この他にも、ツァイスにはフルサイズEマウント用AFレンズの「Batis」というオートフォーカスのラインもあります

Matsuzaki氏:私はオートフォーカスを使って撮影することはほとんどありません。やはりマニュアルフォーカスのほうが撮影は楽です。バイワイヤと言われるオートフォーカスの機構の単焦点を揃えようとは思いませんでした。

また、ツァイスにはClassicシリーズというラインナップもありますが、よくもわるくもクセが強すぎです。動画撮影は、シーンごとに作品全体でトーンを揃えないといけません。あまり交換レンズごとに傾向が変わってしまうと統一感がとれなくなってしまいます。

――Loxiaの操作感はいかがですか

Matsuzaki氏:マニュアルレンズで最短撮影距離と無限遠にハードストップが付いているし、ツァイスの交換レンズは基本的にマニュアルフォーカスで使ったときのフォーカスの感触がほかのメーカーの交換レンズに比べて優れています。LoxiaのシリーズもMilvusやOtusと同じ優れた感触があります。

――Loxiaのラインナップの中で特にお気に入りのレンズはありますか

Matsuzaki氏:Loxiaには4本のレンズしかありませんが、その中でも特にLoxia 2.8/21には驚きました。Loxiaの中でもっともワイドなのですけれどもディストーションが少なく、それでいてあの前玉52mmに収めたのは凄いと思いました。

Loxiaはフルサイズ対応のミラーレスカメラ用レンズながら、フィルター径のサイズが52mmと小型なのを特長としている
――Loxiaシリーズには25mmが発売されますが、購入されますか

Matsuzaki氏:現在のLoxiaのラインナップは、21mm、35mm、50mm、85mmなのですけれども、21mmから35mmの間が空きすぎですし、35mmより短い焦点距離としてはちょうどよく、25mmの登場は待望でした。

ただ、どのようにして使うかで悩んでいます。LoxiaはEマウントに対応した交換レンズなので、私の場合はα7S IIかPXW-FS7で使うことなります。それらに加えて、今年はさらに像面位相差AFを搭載したα7S IIIの登場も予想され、今後はオートフォーカスを使った撮影も考えられます。そうなると、25mmを導入するならばBatisという選択肢も考えられます。さらに、従来のシリーズにこだわって揃えるならばLoxiaの25mmいいですね。同じ焦点距離を2つ買うか、で悩んでいる最中です。

――最後に、レンズ選びで思うことがあればお聞かせ願えます

Matsuzaki氏:最近特に思うのは、よくも悪くもシネマ業界にキヤノンEFマウントが出てきた時点ぐらいからスチル向け交換レンズとシネレンズが曖昧になってきています。一緒にはしたくないのだけれども、現場レベルでは予算ありきなんですよね。本来ならばシネレンズを使うべき仕事でも、予算がないから単焦点のキヤノンのスチル向け交換レンズを使う場合もあります。シネマ業界にとってよくも悪くも裾は広がるのですけれども、本当にそれでいいのかなと思うことがあります。

ヤギシタ氏が選んだ交換レンズ「MK」シリーズ

ヤギシタヨシカズ
日本映画撮影監督協会正会員。オムニバス・ジャパン退社後、フォトグラファーアシスタントを経て1998年よりフリー。2000年にフォレストエンターテイメント設立に参加、フォトグラファーと平行してCM制作、ゲーム映像制作などに携わる。2003年に退社後フリーでフォトグラファー、ディレクター、撮影監督として活動。

――ヤギシタさんは映像業界とスチル業界の両方で活躍されていますが、なにがきっかけでこの業界で活躍されるようになりましたか

ヤギシタ氏:元々は映像業界が先でして、オムニバス・ジャパンのテレシネ課に所属していました。最近は、皆さんパソコンでDaVinci Resolveを使っていますが、私は約25年前から「DaVinci renaissance」という当時は専用ハードのシステムに触れていました。国内でも片手ぐらいの台数しかなかったのではないかと思います。

その後、フォトグラファーになりたいと思い、オムニバス・ジャパンを退社。グラビアフォトグラファーのアシスタントを経て、26歳からフリーのフォトグラファーとして活動をして今に至ります。

――仕事のジャンルとスチルと映像の比率はどれぐらいですか

ヤギシタ氏:人物の撮影が中心で、女の子を撮る仕事が多いです。映像と写真の比率は、写真の方が少し多いぐらいです。

――単焦点とズームの比率はいかがですか

ヤギシタ氏:ほぼズームです。

――今回は単焦点レンズ系の特集なのですが(笑)。それでもぜひその理由をお願いします。

ヤギシタ氏:単焦点レンズは作品の撮影だったらいいのですが、仕事の現場というのは予想もしていない困難なリクエストが突発することがあります。レンズの描画よりも現場をスムーズに進めることが第一で、短時間で合格のクオリティの映像を撮ることが最優先です。もちろん、余裕があれば、背景のボケとかにもこだわりたい気持ちはあります。しかし、クライアントや代理店がたくさんいる現場で、ゆっくりと絵作りに拘る精神の図太さを持ち合わせていないので(笑)ズームで素早く対処しちゃうことが多いですね。

基本、ここは何ミリで撮ろうと決め、ズームレンズをその焦点距離にし、カメラを移動して、ちょっとした微調整にズームを使うという感じです。

――どのようなズームレンズを使っていますか

ヤギシタ氏:カメラはPXW-FS7M2で富士フイルムの「FUJINON MK18-55mm T2.9」と「FUJINON MK50-135mm T2.9」の2本でほぼカバーできています。この2本はシネレンズなので、フォーカスが送りやすいです。

ヤギシタ氏の所有する「FUJINON MK18-55mm T2.9」と「FUJINON MK50-135mm T2.9」 ヤギシタ氏のトランク一式。PXW-FS7にMKシリーズが中心。MKシリーズでカバーできないワイドや望遠、マクロをスチルのレンズでフォローしている
――トランクの中には単焦点レンズも入っていますが、こちらはどのようなレンズですか

ヤギシタ氏:FE 85mm F1.4 GMとFE 55mm F1.8 ZAはスチル撮影で良く使っているレンズです。ポートレートを撮りはじめたころは本当に85mmばかりでした。近年は、他のレンズも色々と使っていたのですが、最近、非常に楽にいい画が撮れると再確認する機会がありました。去年の夏に映画のスチルでアイドルを多数α7S IIで撮る機会がありました。早朝から日没近くまで撮る必要が有り高感度でもノイズが少ないα7S IIを選んだのですが、これはフォーカスに優れていました。FE 85mm F1.4 GMはボケはきれいだし、解放付近からシャープで絶品でした。

映像の撮影では、MKシリーズだけでは寄りきれない場合もあります。その場合はスチル用交換レンズのマクロレンズのFE 90mm F2.8 Macro G OSSを使っています。マクロレンズには50mmのものもありますが、90mmのマクロはライティングをするためのスペースが取りやすいという理由で選んでいます。

左からFE 85mm F1.4 GM、FE 90mm F2.8 Macro G OSS、FE 55mm F1.8 ZA
――最後に、レンズメーカーに対してリクエストはありますか?

ヤギシタ氏:フジノンのMKレンズに関しては少しだけボケたときの描画が私の好みではありません。焦点距離を長くして背景を大きくボカしてしまえば問題はありませんが。不満はそれぐらいですね。

txt・構成:編集部
Vol.06 [新世紀シネマレンズ漂流:最新単焦点レンズ編] Vol.08

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[ DATE : 2018-03-26 ]
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