txt:稲田出 構成:編集部

AfterNABの会場はコンパクトではあるものの、50社近いメーカーが出展している。前回に引き続きブースの紹介をしていこう。

エーディテクノ

エーディテクノは12G-SDI対応12.5型4K IPS液晶モニターUH1250Sや、3G-SDI入出力対応フルHD液晶パネル搭載の31.5型ワイド業務用マルチメディアディスプレイSL3150S、4K対応15.6型業務用マルチメディアディスプレイUH1560のほか、DIGITAL FORECAST社の12G-SDI対応光延長器や分配器、光延長器などを出展した。

4K対応15.6型業務用マルチメディアディスプレイUH1560。入力は4K60p対応のHDMI2.0入力やHDMI1.4入力を各2系統のほか、DisplayPort1.2とアナログVGA入力端子を各1系統ずつ搭載している。パネル上で4つのフルHD映像を同時表示させる4分割画面表示機能や2つの映像を上下または、左右に表示させる2分割画面表示機能、PinP画面表示が可能

DIGITAL FORECAST社の12G-SDI対応光延長器や分配器、光延長器

バイオス

バイオスは新製品としてThunderbolt3対応ストレージEclair PRO EP106TB3(4月発売の)およびEclair PRO EP112T(5月発売の)の2モデルを国内初出展したほか、8月発売予定のSecure Lock Managemene System搭載バッファローコラボレーションモデルを出展した。Secure Lock Managemene SystemはオプションICカードのほか、SuicaやEdy、おサイフケータイ対応スマートフォンなどを使ってHDDのロックを解除するもので、面倒なパスワード入力を使用しなくても手持ちのICカードをキーとすることができる。

3.5インチHDDを6台搭載可能なEclair PRO EP106TB3。独自開発のRAIDコントローラーを採用しており、実測値で約800MB/sのパフォーマンスを発揮。Thunderbolt 3のほか、USB3.0およびeSATA 6Gを搭載している

ICカードをパスワードの代わりにできるポータブルタイプのHDD。ファームウェア不正改ざんチェック機能や暗号化など強固なセキュリティを搭載している

ATV

ATVはHDMI2.0対応の2チャンネル1M/EのAVミキサーA-PRO-1のほかSDIやHDMIに対応した4チャンネルAVミキサーA-PRO-4、8チャンネルマルチフォーマットビデオスイッチャーMS-8や各種コンバーターなどを出展した。

A-PRO-1は、4K(UHD)60p対応のAVミキサーで各種合成、静止画、4K/HD間のUP&DOWNコンバート、フレームレート変換、リモート制御、複数台連動、信号断による自動切換などの機能を搭載。またシステムの構築や信号断時のバックアップ用途にも利用可能なミニスイッチャーとなっている。

近日発売の4K対応ミニスイッチャーA-PRO-1。2入力2出力のHDMIを装備しており、全入出力にUP&DOWNコンバーターを搭載している。静止画を保存することができ、信号断の時に保存した静止画の表示ができる

各種SDI-MDMIビデオコンバーターと8チャンネルマルチフォーマットビデオスイッチャーMS-8。MS-8はSDI、HDMI、アナログRGB、アナログ・コンポジット入力を各2系統ずつ装備しているほか、Webブラウザからパラメータの変更やGPIの入出力にも対応している

AWSエレメンタル

AWSエレメンタルは、Amazon Web Services傘下の会社で、メディア処理技術をクラウドコンピューティングにフル活用した新しいクラウドビデオサービスAWS Media Servicesや、画質クオリティを保ちながら、可能な限りビットレートを下げるクオリティQVBR技術、OTT配信事業者のメディア管理を一本化できる、MEPG-DASH互換CMAF規格、加入者にスマートフォン、タブレット、コンピュータでWebTVを提供するエンドツーエンドソリューションInsysGOなどを出展した。

ブロードキャスト品質の動画ワークフローをクラウド上で簡単に構築できるAWS Media Services。コンテンツ配信のAmazon CloudFront、監視用のAmazon CloudWatchや、人工知能Amazon Rekognitionなど、他のAWSサービスとシームレスに統合できる

画質クオリティを保ちながら、可能な限りビットレートを下げるQVBR技術およびOTT配信事業者のメディア管理を一本化できる、MEPG-DASH互換CMAF規格パッケージングによるコンテンツの再生

ジャパンマテリアル

ジャパンマテリアルは放送・業務用映像機器のほか半導体や液晶などに欠かせないガス供給システムや会議中継システム、デジタルサイネージシステムなどを扱っており、こうした機器やシステムの保守なども行っている。After NABでは、Matrox社のグラフィックボードやビジュアルリサーチ社グラフィック編集システムKarismaRDL、ブロードデザインのマルチフォーマットディスクレコーダーD-Stream LTなどを出展した。

ビジュアルリサーチ社グラフィック編集システムKarismaRDL。KarismaCGとD-Stream LTが連携して動作することで、スイッチャーを使用しなくても映像とテロップ・アニメーションをレンダリング無くリアルタイムで合成・再生を実現。D-Stream LTは既存のVTRと同様にデザインされており、SDI入出力のはか9ピンコントロール端子を備えており、従来のVTRコントローラーを使用することができる

Matroxのグラフィックスボードは4Kワークフローに対応したMatrox Mojito4Kのほか、2面から8面のマルチモニター出力に対応する幅広いラインナップを提供。さらに複数枚使用して最大16面のマルチモニター出力に対応可能

伊藤忠ケーブルシステム

伊藤忠ケーブルシステムは、ファイルベース自動QCツールPulsarやファイルベースクオリティチェッカーBitNoteのほか、既設のNLEシステムを使ったインジェストソフトウェアCinegy Capture PRO、LTO LTFSニアラインアーカイブシステムDNAevolution、クラウドエンコードサービスAV1/ Bitmovinなどを出展した。こうした製品はケーブルテレビ局などで要となる製品となっており、他社との差別化につながっている。

既設のNLEシステムを使ったインジェストソフトウェアCinegy「Cinegy Capture PRO」や、ファイルベース自動QCツールVenera Technologies「Pulsar」とLTO LTFSニアラインファイルベースクオリティチェッカーTurbo Systems「BitNote」などソフトウェアベースの製品を出展

ハードウェア製品としてはKVM統合監視システムIHSE「TeraViewer」や4K対応共有ストレージFacilis Technology「TerraBlock」Ver.7.1、4K SDR⇔HDR双方向コンバータCobalt Digital「9904-UDX-4K」などを展示

共信コミュニケーションズ

共信コミュニケーションズは、放送のほか医療や公官庁などに向け様々なシステムを納品しているが、今回は4K/8K制作に必要なシステムとしてハイエンドフィニッシングシステムSGO Mistika/Quantumや、4K/HD対応編集システムMedia Composer、NEXIS | PRO、合成・VFXソフトウェアBlackmagic DesignのDaVinci Resolve 15などを出展した。

4K/8K(HDR)対応のハイエンドフィニッシングシステム及びVR、VFX制作アシストソフトウェアシステムSGO Mistika/Quantum。NABで発表されたMistika ReviewやMistika Boutiqueを披露したほか、フィニッシングマシンMistika UltimaとQuantumストレージXcellisとのコラボレーションワークフローのデモが行われた

Avid Media ComposerおよびNEXIS | PROによる4K HDR対応ローコスト編集システムによるトータルワークフロー。NABで発表になったMedia Central・Fast ServeおよびAvid NEXISによるワークフロー強化及びアセットマネジメントシステム

他のソフトウェアとのやりとりなく編集・グレーディングから、VFX・MA(Fairlight)・ファイル変換まで、ワンストップで実現できるBlackmagic Design DaVinci Resolve 15。メジャーアップデートにより合成・VFXソフトウェアのFusionを統合しよりパワフルなシステムとなった

テクノハウス

テクノハウスはテレビ局やラジオ局のシステム構築のほか、こうしたシステムを組むうえでキーとなる製品の販売代理店などを行っており、今回はiOSおよびAndoroid端末に対応したライブ中継アプリケーションMojoPro/Appや、UHDエンコーダーAviwest HE4000のほか、Evertzのクロスコンバーターなどを出展した。

EvertzのHDR・SDR相互変換対応UHD/3G/HDクロスコンバーター7814UDX-4K-12G・VPROC・HRD。Evertz では4K非圧縮SMPTE ST2110のビデオIPシステムを発表しており、国内でもIP対応のシステムが構築可能

携帯回線を使用して確実な放送ができるライブ中継アプリケーションAviwestのMojoPro/App。iOSおよびAndoroid端末に対応しており、3G/4G-LTEやWi-Fiを利用してライブ中継が可能なアプリ

UHDエンコーダーAviwest HE4000。AviwestのSafeStreamsテクノロジーにより、管理されていないネットワーク環境の中でもライブビデオを配信することができ、世界中どこからでもネットを通して配信可能。H.264/AVCと同じ画質で最大50%のビットレートでUHD、HD、SD解像度をサポートし配信することが可能

東通インターナショナル

東通インターナショナルは、放送システムのほかヘリコプター撮影システムなどを扱っているが、今回のAfterNABではキャラクタージェネレーターD.O.T PostとBlackmagic DesignのATEMスイッチャーを連携させたシステムのほか、キャプチャー&トランスコーダーシステムmxfSPEEDRAIL、SDIにエンベデッドされたオーディオチャンネルの選択やダウンミックスなどが行えるRenegadeのM3Gなどを出展した。

2D/3DキャラクタージェネレーターD.O.T Post。簡単な操作で2D/3D対応のロゴタイプを作成可能なほか、豊富な文字修飾ができる。AvidのDekoのファイルを変換させることで編集可能な状態でD.O.Tにインポートすることが可能

キャプチャー&トランスコーダーシステムMOG Technologies社のmxfSPEEDRAIL。SDIからのインジェストのほかインジェスト中の編集ができる。Webサーバーへの出力やAvidシーケンスの自動配信などにも対応可能

SDI入力のデジタルオーディオミキサーRenegade社M3G。3G/HD/SD-SDIビデオのエンベディドオーディオの任意の8チャンネルをアナログに変換して出力可能なオーディオモニタリングセレクター

AfterNABを終えて

今年はテクノハウスや東通インターナショナルのほか、伊藤忠ケーブルシステム、共信コミュニケーションズといったSI系のブースが多かったのが特徴といえよう。After NAB ShowはNABで出展されていた新製品をいち早く取り入れて、プロダクションなどに最新の設備やシステムとして提供するプレゼンテーションの場として最適なのかもしれない。

ラスベガスで開催されたNAB2018では、IPやHDR、VRなどがトレンドとなっていたが、AfterNABではこうした将来的なものより今現在必要とされている製品が多く、AfterNABといってもだいぶ性格が異なるようだ。このあたりのコントラストは開催する場所にも起因するのかもしれない。そのあたりを比較するうえでも次回はNABでのトレンドを中心にレポートしていこうと思う。

txt:稲田出 構成:編集部


Vol.01 [After Beat NAB2018] Vol.03