[InterBEE 2018]会場出口インタビュー

快晴で迎えた映像の祭典最終日

今年のInterBEEは初日から最終日まで快晴となり、連日穏やかな日が続いた。今回のInterBEEではこれまで日本科学未来館で開催されてきたデジタルコンテンツEXPO(DCEXPO)がInterBEEの会場内で同時開催されることになり、DCEXPOの一角が会場内に併設された。

DCEXPOは研究機関や社内ベンチャー等で研究開発が進められて、ようやく試作展示やデモンストレーションが出来るまでになった先駆的な技術がテーマとなっており、先端コンテンツ技術とクリエイターや開発パートナーのマッチングの場となっている。SIGGRAPHと連携したシンポジウムや入賞者作品の上映会などもあり、とかくハードよりになりがちなInterBEEに花を添えているようだった。

さて、InterBEE最終日は8K以外の話題のトピック中心にしてみたい。放送業界だけでなく巷ではAI(Artificial Intelligence)の利用が話題となっている。一件関係なさそうだが、既にいくつかのメーカーが取り組んでいるので取り上げてみたい。

DCEXPOは企業、大学、研究機関、団体等で開発された先進的なVR、AR、3D、コンピュータグラフィックス、AI、IoT、ドローン、ロボティクス、ハプティクスデバイス、嗅覚システム等を利用したコンテンツの制作を支援しており、ブースの構成や来場者もInterBEEとは一線を画する感がある

NEC Cloud Solutionsの映像プラットホームサービスにはいくつかあるがその中の一つにAIなどの先端技術の実装があり、これらには映像解析、音声解析、文章解析などがある。具体的にはアナウンサーなどが読み上げる文章やインタビューなどを自動的にテキスト化し、更に要約文章を自動生成する。要約文章の文字数なども指定することが可能

写真左が元の文章で、右側に300文字、200文字、100文字の要約文章が生成されている。長いインタビューなどを要約してダイジェスト版などを作成するのを人力で行っていたものが自動的に行えるというもの

映像解析では顔認識により画像に映し出された人物を特定し名前などが画面上に表示されているが、これを画像のメタデータとして保存することが可能。例えば、収録画像で撮影された人物のリストを作ったりクラウド上の任意の画像から特定の人物をピックアップすることができる。文章解析、画像解析ともにAPIとして提供されるので実装するユーザーが任意のシステムを構築することが可能

AWSエレメンタルでは「コンテンツ制作&ポストプロダクション」「コンテンツ&ワークフロー管理」「機械学習&データ分析」「コンテンツ配信&送出」と、4つのカテゴリーに定義して展開しており、クラウド上で動画ワークフローを構築する「AWS Media Services」を利用し、AWSのML(機械学習)やAI(人工知能)サービスを活用することで、メタデータ抽出、自動クリッピング、キャプション、リアルタイム翻訳など可能。メタデータ抽出、自動クリッピング、キャプション、リアルタイム翻訳などを行うことが可能。会場ではAI/MLインテリジェントオンデマンドビデオワークフローやAI/MLリアルタイムビデオクリッピングと字幕キャプション、AI/ML自動オブジェクト検出ハイライトクリッピングのデモが行われていた

ISPシステム計画研究所/ISPでは「ISPの映像×AI」をテーマに、異常検知、リアルタイムプライバシー保護、骨格推定、テロップ解析など、AIを応用した映像解析技術を幅広く紹介。ブースでは顔認証を利用して自動的にモザイク処理を行うデモを行っていた

ビデオ業界もビデオテープからファイルベースになり、画像はデジタルデータとして今やネットやネット上のクラウドで扱うことも増えてきた。こうした機材や媒体などの実態のない環境と付き合っていくのはまさに雲をつかむような話だが、ハードとして固定されていない分、無限の広がりを持っていることも事実と言えよう。放送もテレビ局が制作し電波として電波塔から発信する時代からネットを介した方向へ向かおうとしている。実際ニュースなどの情報はテレビよりスマホを利用して視聴している人たちの方が多いのでは無いだろうか。もちろんコンテンツによってはテレビ画面でなくては味わえないものもあるが、それさえもスマホを利用したVRに凌駕されようとしている。

会場に5Gを宣伝する大型バスをNTTドコモが出展していたが、こうしたインフラの普及もテレビ放送のあり方を変える大きな要素と言えるだろう。InterBEEは日本随一の音と映像と通信のプロフェッショナル展として時代と共にSRスピーカーやライティング、ライブエンターテインメントなど様々な物を取り入れてきた

会場ではINTER BEE EXPERIENECやINTER BEE IGNITION、INTER BEE CONNECTEDなどのコーナーができ、回数を重ねるごとにINTER BEEに馴染んできたように思う。今回新たにInterBEEに参入したDCEXPOがどのような位置づけになるのだろうか。

Day02 [Inter BEE 2018デイリーレポート] Day01