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[CES2019]Vol.09 Shiftallのビール専用冷蔵庫が目指すのは、スマート在庫管理に基づくマイクロリテールのプラットフォーム

2019-01-15 掲載

txt:江口靖二 構成:編集部

Shiftallがビール専用の冷蔵庫「DrinkShift」を発表した。ワインなど特化したスマート冷蔵庫と言えるものはすでにいくつか存在するが、ビールに特化したものははじめてだ。そしてこのDrinkShiftがこの先目指すものは、スマートな在庫管理をベースにした流通プラットフォームなのだ。

Drinkshiftの仕組みは次の図の通り。

DrinkShiftのホームページより

在庫管理と消費状況が把握できる冷蔵庫がクラウドにデータを送る。残数や消費動向に応じて自動発注されて倉庫からビールが配送される。CES会場でも多くの質問があったようだが、在庫の識別は重量センサーのみだ。検討の結果、何らかのタグをビールに貼り付けたり、AIを用いた画像認識などはオーバースペックであると結論付けたそうだ。この割り切りによってビジネスがむしろ拡大する。

DrinkShifは銘柄の識別はできないが、そもそもそ必要がないのである。それはビールの流通販売も同社が行うからだ。そのために酒販免許も取得し、彼ら自ら複数のクラフトビール会社と交渉をし在庫を抱えて販売を行うという。自動発注の際に、あらかじめ複数のクラフトビールからユーザーが選択登録したり、おすすめセットのようなものもできるかもしれない。

いずれにせよ、あくまでも在庫「数」の管理に特化することで、ビジネスとしてはハードウエアの一度きりの販売だけではなく、継続的に流通に関わることができる。プリンタとインク、宅配型のウォーターサーバーのビジネスに似ているとも言えるが、数多くの種類のクラフトビールを何らかの方法でユーザーがチョイスできるという点ではこれらとは異なるものになる。

瓶ビールに特化した収納部分 スマートフォンやタブレットで在庫確認や発注が可能

まだ未定ということだが、冷蔵庫の初期購入費用をケータイ電話の2年縛りのようなモデルにして、完全サブスクリプションモデルにすることも検討しているとのことだ。

Shiftall社はハードウエアスタートアップとして注目をされている。その第一弾商品は、単なる物売りだけではない。同社は、「ハードとソフトが高度に混ざりあった新しいモノづくり」を目指すとしているが、ここで言うソフトというのはソフトウエアということだけではなく、サービスとしてのビールのデリバリーなのである。なお実際の物流は既存の配送事業者と提携するとのこと。

とても興味深いのは、DrinkShiftの開発のきっかけは、スマートなビール冷蔵庫を作るところが出発点ではないそうという点だ。IoTを用いたスマートな在庫管理をベースにして、商品の流通までも自社で手がけていくこと、つまり新たなプラッフォフォームを創ることがDrinkShiftの目指していくもののようだ。これまでの類似例としては富山の薬売りだったり、オフィスグリコだったりも同様なモデルは不可能ではないが、シンプルな重量センシングだけでは成立できないのでビジネスとしてスタートできるかは微妙だ。

いい意味での割り切りによって、ビジネスが横に大きく広がっていくことが期待される。そしてこのプラットフォームはある意味近未来の小売店舗、マイクロリテールそのものなのである。

txt:江口靖二 構成:編集部
Vol.08 [CES2019] Vol.10

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[ DATE : 2019-01-15 ]
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