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[SXSW2019]Vol.05 「Sony Wow Studio」三年目の施策。ソニーらしさ健在、賢者との対話に注目

2019-04-03 掲載

txt:古賀心太郎(アマナビ airvision)&編集部 構成:編集部

SXSW Sony主催WOW Studioでドローン関連セクション

2019年3月8日から3月17日までの期間中、アメリカ・オースティンで開催されたSXSW2019。SXSWは、テキサス州オースティンで開催されるイベントである。「Interactive」「Film」「Music」と3つのカテゴリーを中心に1000を超えるセッションや展示会から構成されている。最新のテクノロジーや事業、アイデアを体験できるSXSW INTERACIVE(インタラクティブ)では、セッションや展示などが多く紹介された。その他にもコンベンション会場周辺には多くの会場が設けられている。

3年目となるソニーは、大な倉庫を貸切ったWOW Studioと名付けられたブースで、“Will technology enrich human creativity?”(テクノロジーは人の創造性を豊かにするか?)をテーマにテクノロジーとクリエイティビティの関係性についてトークセッションやプレゼンテーションと体験型展示を組み合わせたプログラムを実施した。

毎年これからのテクノロジーとカルチャーを体感できるカタチにプロトタイピングする展示で多くの人が来場する。昨年よりもゲストやソニーの研究開発段階のプロジェクトに携わるメンバーとのトークセッションにポイントが置かれた構成となり興味深いセッションが用意された。興味深いものをいくつか見ていこう。

■Superception」
よく見ると影の中にテクスチャーとして映像が流れていることがわかる

「Superception」は、コンピュータ技術で人間の感覚に介入し、知覚や認知を拡張、変容させる、ソニーCSLの研究。この一つ「Fragment Shadow」は、自らの影に起きる視覚変化による身体感覚の変化を体験できるシステム。実際に体験すると影という概念が揺らぐ体験ができる。

■Flow Machines

「Flow Machines」は、AIアシスト作曲技術を搭載し、アーティストのクリエイティビティを拡張することを目指した研究。最先端の機械学習や信号処理技術により新しい音楽を生成することが可能になる。あくまでも自動生成ということではなく、クリエイティブにドライブをかけるような頼もしい右腕となるようなソリューションだ。

■Flash Darts

ソニーPCLとアカツキライブエンターテインメントの共同展示の「Flash Darts」は、ダーツゲーム型のインタラクティブコンテンツです。ハプティクス(触覚)機能で全身で楽しめる臨場感と没入感のあるダーツが楽しめる。

■Das Fremde
初日と最終日では、ロボット相互のコミュニケーションに変化があった

「Das Fremde」は、言語がどのように生まれ、発達・変化していくかをロボットと自律型プログラムを使って表現したインスタレーション。展示を通じて、違う言語や見た目を持つもの同士の交流は可能かディープランニングによって実現する。

■CAVE without a LIGHT

視覚を遮断し、暗闇の洞窟を再現しソニーの音響・触覚技術を用いて音楽を協奏する体験ができる「CAVE without a LIGHT」は、障がいの有無に関わらず多様な人が楽しめる可能性を提示。

「CAVE without a LIGHT」実際の現場。漆黒の闇の中はこのような様子
■Triporous

展示の中でも異色だったのがソニーが開発した素材。植物由来多孔質炭素材料「Triporous(トリポーラス)」だ。籾殻の形状特性を生かした余剰バイオマス(再生可能な生物由来の有機性資源)を原料とした独特の微細構造を有する多孔質炭素材料。洗剤や素材に練り込むなどすでにライセンスが始まっているという。

籾殻の形状モデル。均一ではない大小の穴がポイント

SXSW Sony主催WOW Studioでドローン関連セクション

“Can AI x Robotics x Cooking drive a new food culture and gastronomic creativity?”フランソワ・シャルティエ & 藤田雅博 & ミカエル・シュプランガー

そして今回の肝であるトークセッション。中でもこのセッションを紹介しよう最終日、ベンチャー企業を支援するSony Innovation Fundの事業を紹介するキーノートに、エンターテインメント・ドローン業界のトップを走るVerity Studiosのファウンダー・CEOであるRafaello D’Andrea氏が登壇した。

キーノートの前半では、革新的な物流システムAmazon Roboticsの開発者でもある彼のエンジニアとしての開発の歴史を紹介。キャッチボールをするドローンや、あやとりのようにドローンがロープを組み上げる様子、またプログラム制御により何百個ものブロックを積み上げてタワーを建てるインスタレーションなど、過去10年以上に渡る様々なアイディアや技術の映像とともに解説した。

印象的だったのは、技術者として「99%と99.9%の違いはとても大きい」と語っていたこと。ドローンをビジネスとする上で、安全性はもっとも重要な要素。1%以下の精度を追求する姿勢に、エンジニアとしての誇りと魂を感じた。

ドローンを使ったエンターテインメント事業を展開するVerity Studioが設立されたのは2014年。約20カ国から優秀なエンジニアとデザイナーが集結した多国籍なクリエイター集団だ。

ショーに使うLEDを搭載したマイクロドローンは、センサーやアクチュエータなどのハードウェアからプログラミングまで、すべて独自開発をしている。特に、非GPS環境である屋内で正確に編隊飛行するためのシステムは素晴らしく、圧倒的な技術力を見せつけている。

彼らの代表作シルク・ドゥ・ソレイユは一見の価値がある。ランプシェードを取り付けた色とりどりのドローンがふわふわと演者のまわりを踊る姿を見ていると、まるで生きているかのような錯覚を覚えるのだ。Verityが開発する制御アルゴリズムを彼は「魔法」と表現していたが、まるで命を吹き込まれたかのように飛びまわるドローンの姿に思わず感動してしまう。

シルク・ドゥ・ソレイユ

近年では、ドレイクやメタリカなどの世界的アーティストのライブや、ブロードウェイなどでもパフォーマンスを行い、2,000回以上のショーと100,000回以上の飛行実績を重ねているそうだ。本キーノートでも、実際にドローンを飛行させるデモを披露してくれた。LEDを搭載した無数のマイクロドローンがD’Andrea氏のまわりを螺旋を描きながら飛びまわるパフォーマンスに、観客はみな目を奪われた。

講演の最後に改めて強調していたのは、安全性と信頼性。2015年のスキーW杯で起きたドローン落下事故を例に挙げ、安全性を追求することがいかに重要かを改めて説いた。Verity Studiosでは観客の頭上をドローンが飛行するパフォーマンスも度々行っている。4つのうちの2つのモーターが故障しても安全に着陸できる冗長性を備えたドローンを開発し、現場でのテストを徹底的に重ね、ショーに臨んでいるという。

講演終了後、幸運にもD’Andrea氏、Verityチームのメンバーと話しをすることができた。技術的な質問にも親切に答えてくれて、彼らがいかに自分たちのテクノロジーとパフォーマンスに自信を持っているかを感じ取ることができた。世界中で開催されるショーのために飛びまわる彼らは「まるでサーカスだよ」と冗談を言っていたが、その楽しそうな笑顔がとても印象的だった。Verity Studioが繰り広げる魔法のドローンの世界に、これからも期待したい。

キーノート txt:古賀心太郎(アマナビ airvision)&編集部 構成:編集部
Vol.04 [SXSW2019] Vol.06

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[ DATE : 2019-04-03 ]
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