生放送の自動化に挑むPanasonic

小寺信良

会期2日目となる本日は、Panasonicブースを取材した。今年のPanasonicのテーマは、Innovator in Live。生放送に革命を起こすとして、多数の自動化システムを展示した。

Innovator in LiveをテーマにしたPanasonicブース

ブース内に設置された撮影スタジオでは、演者それぞれが赤外線ビーコンを付けている。スタジオ内に設置された7つのセンサーで、演者の位置を1mm精度で特定。正面に設置した8Kカメラから4系統のHD画像を切り出す分けだが、その切り出し位置はビーコンによって自動追従している。このビーコンとセンサーシステムはカナダのBlackTrax社のものを採用している。

ブース内に設営された仮設スタジオ

演者の方にビーコンがある

壁に取り付けられたトラッキングセンサー

8Kカメラからの自動切り出し4系統は、すべてオートトラッキング

レールのカメラも自動で演者を追いかける

出演者の情報もARで。これもぴったり自動追尾する

この位置情報を元に、レールカメラやトーテムロボティクスカメラも動かし、さらにARのテロップ情報まで演者に自動追尾する。スタジオへのロボットカメラ導入は中国が進んでいるが、それはプリセットした位置にカメラを動かすにすぎない。こうした自動追尾と組み合わせたシステムは生放送の省力化や、少ない人数でも複雑なコンテンツを作る事ができるとして、今後主流になっていくものと思われる。

会期2日目にみつけた優れもの

岡英史

会期二日目となると色々な情報がわるのか日本から色々と「これ見て、あれ見て」と指令?お願い?がSNSを通じて飛んでくる。できる範囲で見回っているが何せこちらのホールはデカい!その大きさを示すべく同行している猿田さんがタイムラプス動画を作っているのでそれを見て貰えればと思う。要するに疲れてます…。

そんな中で見つけたのはSony HXR-MC88という小型ハンディカム。これはZ90から4K収録を排除しXDCAMフォーマットも削除したFHD専用のAVCHD機種。前記した機種がないだけでその他の機能はPXW-Z90と同じもの。それって意味ないじゃん!と思われるが価格がUSドルで1300以下の超格安。もう一つは小型スイッチャーのMCX500と組み合わせるとタリーが返ってくるのが一番の特徴だ。つまり4カメSWで10,000ドル以下という事。これはスイッチャーシステムとすれば格安。先に発表されたAJA Ki Pro GOと組み合わせれば4パラと1PGMを1台で収録できる優れものだ。

注目はこの女性!…ではなく、手に持ってるカメラだ。EASYRIGにSony VENICEにエクステンションキットを装着したもの。通常のVENICEでは重量もあってさすがに手軽にという訳には行かないが、このスタイルならヘッドそのものはα7と同じくらい。重量物は背中に背負うので体格が小さい方や狭い場所でもオペレート出来る。オタク社長のNABぶらりにも登場しているので興味のある方は見てほしい。

今までにないバーチャルスタジオシステムを発見

猿田守一

NABも二日目を迎えた。今朝は9時前にコンベンションセンターに到着したのだが、会場に訪れる人が意外と多いのでは?という印象だった。実際に午後は会場内をいろいろ歩いてみたのだが、やはり訪れている人が多いことを実感できた。

今日目についたのはVizrtという会社のバーチャルスタジオだ。通常のバーチャルスタジオはグリーンバックにCGをクロマキー合成する方法が一般的なのだが、このvizrt社のバーチャルスタジオはグリーンバックを使わず、背景にはプロジェクター映像を用いているようだった。

スタジオカメラはモーションコントロール制御され、スタジオ内を左右に移動できる構造になっている。またプロンプター仕様のカメラは上下にも動き、上下左右と動き回るカメラの動きに合わせ、背景に投射されるCG背景もカメラ位置に合わせリアルタイムでパースが変わるという、今までにないバーチャルスタジオシステムが構築されていた。次々と新しい技術が開発されるのに感心させられた一日であった。

歩けば歩くほど新しい発見が!

宏哉

今日はブース取材が目白押しな一日。気合い入りました!

まず朝から、Digital Forecastを取材。映像コンバーターや小型モニターが揃ったブースです。“Bridge”UHD_HS”は12G HDMIを12G-SDIやQuad 3G に変化するコンバーター。手のひらサイズの小型の筐体で、間もなく発売されるとのこと。

その後、モニターのEIZOブースへ。EIZOはハイエンドのグラフィックス製作用のPC用モニタだけではなく、映像制作のためのプレビューモニタにも注力。“CG279X”は、低コストでPQ方式のHDR映像のプレビューを行う「PQクリッピング」の機能を搭載するなどの提案も面白いです。

IDXブースでは新しいVマウントバッテリーの「IPLシリーズ」が登場。Power Link機能で、バッテリーを多段にして運用できます。IPLシリーズはバッテリー間でデジタル通信を行うことで、後ろから放電していくのが特徴。2つ以上のバッテリーが連結されていれば、カメラ側のバッテリーは減らないので、後段のバッテリーを交換することで、カメラの電源を落とすことなく長時間の撮影に対応できます。また、連結状態で充電することも可能。

次にレンズメーカーのSIGMAへ。シネマ用単焦点レンズを中心にお話を伺いました。私の場合、放送用レンズは分かるのですが、シネマ系のレンズは仕事で触る機会がないので、取材で行くのは良い勉強に。歪みの少ない、シャキッとした画を描くレンズだな、という印象でした。

締めは、アストロデザイン。8K120p対応のポータブルカメラを展示。8系統の12G-SDIから120fpsのフレームレートで出力できる仕様。また、HD映像から8K映像をアップコンバートするデモンストレーションを展開。そのアップコン率は1600%!拡大アルゴリズムにAIを使うことで、従来のサンプリング方式よりも、自然で精細な8K映像の生成に成功していました。

今日は、セントラルホールとサウスホールを何往復もしてヘトヘト…。しかし足で稼げば稼ぐほど、新しい発見がNAB会場にはあって面白いです。

わくわくドキドキするレンズを発見

栁下隆之

本日1本目の動画取材はLeitzブース。取材中にご紹介頂いたレンズがあまりに衝撃的で虜になってしまった。それはTHALIAシリーズの1本として発表したタンバール90mmT2.2である。ライカレンズには疎い筆者ですが、デモで見せて頂いたその描写は大変興味深いものだった。

1935年に製造されたタンバールの復刻版タンバールM f2.2/90mmをリハウジングしたものとの事で、担当者の方からその場で実写(静止画で)デモを見せて頂くことが出来た。開放の独特なボケから、連続的に描写が変化して、T5.6では非常にシャープな描写を見せてくれるという大変独特な味であった。デジタル処理では作り出せない様な、連続的に変化するその描写は、まるで1本で2本分どころか何本分にでも使えるレンズという感じだろう。ブースでは根掘り葉掘りと質問させて頂き、試してみたいレンズのNo.1に格上げさせて頂きました。ただ、これが生きる画作りというのが悩ましく、楽しみなそんなレンズに出会えたDay2だった。

LEICA SLにPLマウントアダプターを装着してデモをして頂いた

絞り開放時の光彩の様な独特なボケ味。まるで何かのフィルターかエフェクトを掛けた様にも見える

絞るとこの様に変化する、T3.5から5.6でこんな具合に変化する。 5.6ではまるで別なレンズの様な解像感を見せてくれる。それで周辺部には特徴的な収差があり、他には無い味がある

ポートレートではこの様な描写になる。所謂クセ玉と言われるレンズだが、使いこなしてみたくなる。そんな印象のレンズである


◀Day01 [4shooters +1King NAB2019] Day03