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[Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019]Vol.03 LUMIX「S1H」開発の背景をパナソニック香山氏に聞く

#Digital Cinema Bülow #cinegear #CineGear2019

2019-06-12 掲載

txt・構成:編集部

パナソニックは5月31日、Cine Gearでプレスカンファレンスを開催し、LUMIX S1Hの開発を発表した。6K24Pや5.9K30P動画記録の実現、10bit Cinema4K/4K60Pなど、シネマカメラに匹敵するスペックを特徴としている。しかし、公開された仕様はごく一部で、全容はベールに包まれたままだ。そこで、S1Hの開発指揮を行った香山氏にCine Gearの会場で話を聞くことができたので紹介しよう。

S1Hの商品企画を担当したパナソニックの香山正憲氏

シネマ撮影にも対応するS1H!!

――今回発表されたS1Hのスペックには驚きました。S1Hでは、主なターゲットはシネマ撮影と聞いております。

ありがとうございます。LUMIXとしてはシネマカメラとしても相応しい商品をようやく開発できましたので、今回のCine Gearという映画撮影機材専門の展示会で発表させて頂きました。S1Hを発表しましたプレスイベントも「LUMIX Cine Gear」という名称でやらせて頂きました。

――S1Hに搭載されるイメージセンサーは、従来のS1シリーズと同じ、縦横比3:2の35mmフルサイズでしょうか?

35mmフルサイズセンサーです。スペックが気になると思うのですが、あくまでも開発発表段階ですので詳細はお答えできないのですよ。

――S1Hは、民生用と業務用のどちらになりますか?

S1HはあくまでLUMIXブランドでありますが、用途としては民生用でも業務用でもお客様次第で幅広く使っていただけるカメラと考えています。

――発売時期と値段を教えてください

現時点は開発発表段階ですので正式決定ではありませんが、発売時期は2019年の秋頃、価格は4,000ドル前後を目標に開発を進めています。

LUMIXからVARICAMまで、一貫してルックを合わせられるV-LogやV-Gamutに対応

――パナソニックの撮影機材には、業務用シネマ向けのVARICAMと一般向けのLUMIXのシリーズがありますが、S1HはVARICAMシリーズを脅かす存在にも見えます。

確かに弊社には、VARICAMブランドとLUMIXブランドの2つのブランドがありまして、完全に別れているように見えるかもしれませんが、予算のある撮影には、メインカメラには慣れ親しんだスーパー35ミリの被写界深度と豊富なインターフェイスによる信頼性からVARICAMが選択されると思っています。

一方、S1Hは、メインカメラと同じクオリティの映像が撮れて、ハンドヘルドタイプなのがポイントです。例えば、カメラを自由にアングルフリーで動かすシーンでは、やはりLUMIXシリーズが、VARICAMの機動性を補うことができると思っています。メインカメラはEVA1やVARICAMを据えて、周辺の表現をS1Hのシネマクオリティで撮る。VARICAMとLUMIXは、そのような関係で捉えていただけるとありがたいかなと思います。

また、昨今ではカメラマンの方々が写真撮影のお仕事だけでなく、SNS向けなどの動画撮影やシナリオ制作のお仕事をされる機会も増えていると伺っています。デジタル一眼カメラの動画機能強化が広がってきている市場変化の中で、他とは違うワンランク上の映像制作の一助になれると嬉しいです。

――S1Hは、フルサイズで4K60Pなどスペックが魅力的です。自社製品のEVA1やVARICAMには一切遠慮していないのには好感が持てます。

正直、遠慮はしていません。ただ、メインカメラとして選ばれるカメラは、インターフェイスやルックから検討されることは当然あると思っていますので、あまり小型なカメラでスペックがオーバーだからといってシネマカメラを侵食することはないと考えています。

VARICAMからLUMIXまで一貫してルックを合わせられる。上から下までラインナップが広がることで映像表現の幅が広がる。そのような思いを、お客様に届けたいと思っています。

――ボディデザインを見ると、前側にRECボタンがあります。これは予定ではなく、決定ですか?

確かにGH5Sでは赤いボタンはRECボタンでしたね。現時点では、お答えすることはできないため、ご想像にお任せしたいと思います。

開発試作機には、前面にもRECボタンらしきものを搭載している。その点から、S1Hは完全に動画カメラということが読み取れる
――収録の無制限記録の実現も特徴だと思います。冷却の関係でボディの形状が従来のS1から変わるのでは?と思ったのですけれども、形状が変わっていないのには驚きました。

ボディの形状はモックアップを見ていただいて、想像をしていただければと思いますが、まさに今も日本の開発メンバーは苦労している最中でして、今回の開発発表では、すべての記録モードのうち、一部の発表に留めさせて頂きました。動作保証温度などのスペックも公開していませんが、搭載するすべての記録モードにおいて、時間無制限であることは公開させていただきました。

時間無制限は、プロフェッショナルの方々に信頼して使って頂けるポイントの1つだと考えています。放熱設計技術は、GHシリーズを開発する中で研鑽していまして、今回フルサイズセンサーを搭載したS1Hではさらに強化を図っています。

真横から見ると、LCDの搭載しているブロックが少し膨らんでいる
――S1Hは、V-LogやV-Gamut対応も魅了的ですね。

これまでGHシリーズでは、「V-Log L」と呼ばれるLogガンマモードを搭載し、12ストップを公表値とさせて頂いております。S1Hでは、フルサイズセンサーの採用で、イメージセンサーが持つダイナミックレンジやカラーリプロダクション性能をしっかりLogの中で活かすことができるようになり、V-Log Lではなく、さらに上に伸ばせるV-Logの対応で、ダイナミックレンジは14+ストップの広い階調を実現しています。

実は過去には、LUMIXオリジナルのLogを検討した時期もありました。しかし先ほど申し上げた通り、VARICAMからLUMIX まで一貫したルックとして仕上げたいというワークフローの視点に立ったとき、1本のルックアップテーブルの中でカラーマッチングをとることに最適化を図ることが求められる姿ではないか、という結論に達しました。

――最後に、プレスイベントでは登壇したAlicia Robbins氏がS1Hを使って撮ったプレビュービデオを公開しました。ATLASレンズのアナモフィックレンズを使って撮影をされていましたが、S1Hとアナモフィックレンズの組み合わせは面白そうですね。

S1Hを開発する上では、マウントアダプターを介してシネレンズやアナモフィックレンズが使用されるケースは、S1Hの宿命として考えていますし、スーパー35ミリのサイズ感は当然意識しています。

弊社は、「Lマウントアライアンス」で協業しており、Leitzさん、シグマさんには、魅力的なシネレンズやLマウントにつながる変換アダプターが存在します。そのシネレンズの性能を最大限に発揮する記録モードがS1Hでは必要になると考えていますし、もちろん、「アナモフィックでシネスコが撮れます」という世界も、S1Hはしっかりと意識して開発を進めています。

実際にGH5やGH5Sで「アナモフィック(4:3)モード」を搭載し、ご好評の声を頂くと同時に、多くの学びを得ることもできています。これらを活かしたS1Hのアナモフィックモードにもご期待頂きたいと思っています。

txt・構成:編集部
Vol.02 [Digital Cinema Bülow VIII] Vol.04

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[ DATE : 2019-06-12 ]
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