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4K対応ポータブルズームレンズや箱型レンズの実機展示が人気

富士フイルムは、東京と大阪で最新ラインアップ製品を展示する「FUJINON映像機器内覧会2019」を開催。今年は、放送用レンズ「UAシリーズ」をはじめ、現場での運用性を向上させるアクセサリーなどを多数展示した。東京は、6月11日、12日に港区北青山の青山テピアで行われた。会場の様子を紹介しよう。

東京内覧会では、3つの会議室を使用して開催されていた

■ポータブルズームレンズで46倍の最高倍率を実現した「UA46」を展示

注目は、4K対応放送用ポータブルズームレンズで46倍の最高倍率を実現した「UA46」の実機展示だ。広角13.5mmを実現したUA46×13.5BERDでは、望遠端は621mmの最望遠を実現。ドキュメンタリーやスポーツなどに使うことができる。

展示の中でも特に注目を浴びていたUA46×13.5BERD

46倍を実現したUA46x13.5

UA46シリーズは、ドライブユニットや防振機構のリニューアルも特徴だ。新しくなったドライブユニットは、デマンドを使った時のズームスピードやフォーカスのスピード、アイリスのスピードがこれまでの機種と比べて向上している。

防振機構は、これまでのHA42と比較して、地面からの揺れに対してもより映像が揺れ入りにくくなるように改善された。また、レンズを止めた際に解釈して意図しない補正を行う「揺り戻し」と呼ばれる現象を抑えるようになった。

ドライブユニットか改善され、各種スピードが向上している

https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2019/06/190612_fuji_08.jpg ※画像をクリックすると拡大します
■4K対応の放送用箱型ズームレンズ「FUJINON UA125x8」

ポータブルズームレンズの最高倍率は46倍だが、箱型ズームレンズでは125倍の最高倍率を実現した「FUJINON UA125x8」が話題だ。会場では、UA125x8がガラスケースに入れられた状態で展示されていた。8mmから1000mmの幅広い焦点距離をカバーし、スポーツやコンサート中継などの多彩なシチュエーションでの活躍が期待されている。発売は、2020年3月を予定している。

■2Kの機材の更新で、4K対応を選べるラインナップが揃ってきている

FUJINON放送用のラインナップを改めて見てみると、4K対応の箱型ズームレンズには125倍が加わって、かなり充実してきているのがわかる。

ポータブルズームレンズの4K対応ラインナップは、46倍のレンズが登場し、間を埋める「FUJINON UA18x7.6」や「FUJINON UA23x7.6」の開発発表も行われている。これからどこの放送局でも本格的に2K機材の更新を迎えているが、その際に4K対応を選ぶ準備は整っているといえるだろう。

https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2019/06/190612_fuji_07.jpg

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新開発のENGレンズ用デマンドを実機展示

新開発のENGレンズ用デマンドの実機展示も行われていた。フォーカスデマンドには、従来、多機能でややおおぶりな「EPD-4A-E12A」や機能が少なくて小型な「EPD-21A-A01」がラインナップされている。新しく小型で多機能、機能力を兼ね備えたEPD-41A-D01が登場した。

左から新製品の「EPD-41A-D01」、従来機種の「EPD-21A-A01」、「EPD-4A-E12A」

PD-41A-D01は、背面にディップスイッチを搭載し、こちらを切り替えることで機能を割り当て可能になっている。また、EPD-41A-D01では工具を必要することなく簡単に調整できるように変更されている。

トルクを簡単に調整できるように変更された

ディップスイッチを搭載し、機能を設定できる

ズームデマンドの新製品も展示されていた。従来製品には小型で機能が少ない「ERD-10A-D01M」や、少し大ぶりで機能が多い「ERD-20A-A02」がラインナップされていたが、小型で多機能な「ERD-40A-D01」が登場。機能を増やして、防振のスイッチなども手元から操作可能にしている。

左から、従来機種の「ERD-10A-D01M」、新製品の「ERD-40A-D01」、従来機種の「ERD-40A-D01」

防振のスイッチなどをERD-40A-D01から操作可能

このほかにも、画質を考慮したワイコンやフィッシュアイ、クローズアップレンズなど、4K対応の新型光学アクセサリーの新製品も展示されていた。

4Kのカメラを使った4K対応レンズとHD時代のレンズの比較

4Kの46倍「UA46×9.5/13.5」とHDの42倍「HA42×9.7/13.5」の比較展示も興味を引く展示だった。どちらも4K対応カメラの映像をそのまま出しており、レンズの性能の違いをそのまま見られるようになっおり、特に数字や文字のあたりを見ると、4KとHDの違いがよくわかる。

具体的な違いを写真で解説することはできないのだが、寄りにした画で比較すると、周辺はHDだと結構ボケるのに対し、4Kはくっきり見える。4K放送には4K対応のレンズが理想というのがひと目でわかるような展示であった。

手前が46倍の「UA46×9.5/13.5」。奥がHDの42倍「HA42×9.7/13.5」

ラージフォーマットセンサー対応のシネマカメラ用ズームレンズ「Premista」

ラージフォーマットセンサー対応のシネマカメラ用ズームレンズ「「Premista」の実機も展示されていた。標準ズームレンズ「FUJINON Premista28-100mmT2.9」は焦点距離28-100mm、望遠ズームレンズ「FUJINON Premista80-250mmT2.9-T3.5」は焦点距離80-250mmの2つをラインナップする。

展示会場では、ソニーのVENICEとPremista28-100mmT2.9を組み合わせて展示が行われていた。Premistaの対応イメージサイズは最大46.3mmで、ソニーのVENICE以外にも、ARRI ALEXA LFやDSMC2 MONSTRO 8K VVなど主要なシネマカメラをカバーしている。

ソニーのVENICEとPremista28-100mmT2.9を組み合わせて展示

実際にモニターの映像を観てみると、さすがフルフレームの描画といった感じだ。寄れば独特の被写界深度の浅さしっかりと実現できており、短い距離でも背景はボケる。解像性能を高めた設計を実現しており、周辺にわたってキレのいい映像が撮れるとのことだ。

開発中の望遠ズームレンズ「FUJINON Premista80-250mmT2.9-T3.5」はガラスケースに収められて展示されていた

FUJINON Premista28-100mmT2.9は、実機を操作して描画を確認することができるようになっていた

6kmをまで飛ばせる仕様を実現したワイヤレスタリーシステム

武蔵オプティカルのコーナーで特に目を引いたのはワイヤレスタリーシステムの「HW-T500」だ。Wi-Fiの周波数を使用しているとバッティングの可能性があるが、HW-T500は920MHzのサブギガ帯の周波数帯を採用し、誤動作の恐れを回避している。さらに1台に子機10台つながり、かつ、ワイヤレスで全長見通し6kmをまで飛ばせる仕様を実現している。

「TZ-TT07」は、被写体を回転させながら撮影が可能な撮影用ターンテーブル。特徴は、天板の回転速度を調整可能。ショップチャンネルやWebの商品紹介の撮影に便利そうだ。

水滴を弾く、放送用向けの超撥水フィルターが今年も展示されていた。フィルターに付着した水滴が玉コロにように転がって落ちる。屋外の雨の撮影の際に威力を発揮しそうだ。

txt・構成:編集部


Vol.02 [After Beat NAB2019] Vol.04