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[SIGGRAPH2019]Vol.01 CGの祭典SIGGRAPH2019開催!今年のテーマは「THRIVE」

#SIGGRAPH #SIGGRAPH2019

2019-08-08 掲載

会場となったロサンジェルスコンベンションセンター
txt:安藤幸央 構成:編集部

リアルタイムCGが映像制作の現場に。VR技術で映像制作の可能性が広がる現場

SIGGRAPH(シーグラフ)は世界最大のコンピュータグラフィックスとインタラクティブ技術に関する歴史ある学会・展示会である。第46回となるSIGGRAPH 2019が、7月28日から8月1日の5日間、米国ロサンジェルスコンベンションセンターで開催された。

今年のテーマは「THRIVE」。単語の意味としては、栄える、繁栄する、よく成長する、すくすく育つ、流行る、盛んになる、うまくやる、といったような意味がある。

今年のSIGGRAPHでは、昨年に引き続き座席数倍増のVR専用シアターの設置や、Immersive Pavilionと呼ばれるVR/AR/MRの体験コーナーが新設されるなど、通常のCG映像よりもVRコンテンツの比重が高く、注目の集まった回であったといえる。

また従来であれば、実験的な利用、限定的な応用にとどまっていたリアルタイムレンダリングの映像制作への応用や、大規模作品でのVRの活用やバーチャルカメラの活用といった映像制作現場へ最新技術の浸透が感じられた。

さらにVR/AR/MRコンテンツに関しても、ハリウッド映画のCG/VFXを担当するレベルのプロダクションや高度な作品性やスキルをもったアーティストが潤沢な予算のもとにVR作品作りを始めており、従来ちょっとした遊び、ゲームの延長線と考えられていたVRエンターテインメントに関しても確実に新しい領域を切り開きつつあることが実感された。

練りに練られたVR作品。インタラクティブ性と、没入感に特化したVR映像に観客が殺到

1度に50人ほどが視聴できる大規模なVRシアター。古い映画館を模倣した外見
VR Theater Preview: SIGGRAPH 2019:VRシアターの予告編、ダイジェスト

2017年から始まったVR Theaterは、選りすぐりのVR専用コンテンツを数本まとめて視聴するコーナーだ。今年は5本の作品が選出された。VR作品はもともと数分の短編のものが多いので、5本合わせて約1時間ほどの上映時間であった。視聴には特別なチケットが必要で、毎朝8時半からその日の分のチケットが配布されるが、配布開始後すぐにチケットが無くなってしまう大人気のコーナであった。

今年は例年以上にVRシアターの機材が強化され、1回の上映で約50人が同時に視聴できるOculusのVR-HMDとALIENWAREのハイエンドPC機材が用意されていた。SIGGRAPHの期間中、5日間で31回の上映が行われ、合計1,620人が視聴したとのことだ。

VRシアター、内部の様子。回転する椅子と、VR-HMD装着のサポートをするスタッフが迎えてくれる

VRシアターの視聴環境や雰囲気とVRコンテンツで最初に見るインタラクティブ映像がシームレスに繋がっていて没入感のある視聴体験がよく練られていた。会場上部にある球形のライトと同じような球形がVR空間内でも光っていたり、周りを取り囲まれている星空のような映像がVR空間でも観られるため、VRと現実の区別をあまり意識することなく、スムーズにVR体験に入り込めるよう工夫されていた。

上映作品は次の5作品。インタラクティブな作品で、視聴者が操作したり、反応を返さなければ話が進まないタイプの作品と、没入感が高く、ゆったりと椅子にかまえて視聴しているタイプの作品に分かれた。視聴前にどちらのタイプの作品なのかが提示されたため、コントローラを操作する準備をしたり、ゆったりと座り直したりVR作品が始まってから戸惑うようなことなく、気楽に視聴し楽しむことができた。


■Doctor Who:The Runaway(インタラクティブ作品)BBC制作(イギリス、フランス)

FIRST LOOK:The Runaway VR Trailer|Doctor Who


Kaiju Confidential(視聴作品)easyAction, ShadowMachine制作(アメリカ)

2体の怪獣が日本っぽい都市に現れ破壊やドジを繰り返すコメディ作品。第三者の視点で、俯瞰して観ることができる。都市の細かいところまで作り込まれており、実際に自分がその現場にいる感覚が強く感じられる作品であった。


■Bonfire(インタラクティブ作品)Baobab Studios制作(アメリカ)
Bonfire|Official Reveal Trailer[HD]

未知の惑星に不時着した自分と、お供のロボット。そこで遭遇する宇宙人たちとのコミュニケーションを楽しむストーリ仕立てのインタラクティブな作品。キャンプのように薪を持って火をつけたり、マシュマロを焼いて食べたりをVR空間で体験できる。見るべきところ、操作するべきところを音や光る物体などで導くよう、VRならではの演出が考えられていた。

操作できる時にハンドコントローラからビームが出たり、左右どちらの手でも操作できる、VR空間の中でも自分の手がちゃんと見える、制限なく物体をつかんで操作できるなど細かい操作がよく考えられていた。


■a kite’s tale(視聴作品)Walt Disney Animation Studios制作(アメリカ)

ディズニーの作品a kite’s taleは昨年話題になったディズニーのVR作品「Cycles」の監督Bruce Wright氏が今回も監督を務める。王道をいくディズニースタイルのアニメーションが、VR空間の中でも再現されている。

2つの凧が、風や凧糸と戯れる映像で、上映されたのはsneak previewと呼ばれる試写用に短く編集されたもので数分しかなかったが、空と雲に囲まれた浮遊感、無機質な凧が表情豊かなキャラクターとなって飛び回る表現はVRならではの楽しみとも言える。

監督のBruce Wright氏は、凧をあげている人間が楽しいのはもちろん、凧自身も実は空を飛び回って楽しいということを映画とはまた違う新しいVRというメディアで表現したかったそうだ。


2nd Step(視聴作品)Faber Courtial制作(ドイツ)

リアルな月面着陸を再現するとともに、その後の未来として予想される火星探索、そしてさらにその先の未来である未知の地球型惑星を探検する一連の宇宙探検を自ら探検しているかのような気分で楽しむことのできる視聴型のVRコンテンツ。

あらかじめストーリーが決まっている映像を視聴しているのだが、360°見回しながら宇宙空間や惑星に囲まれた空間に佇むのは、いままで体験したことがない体験であるにもかかわらず、どこかで経験したことが再現されているような感覚で観ることができた。VR-HMDを被った視野の限られた状況のため、宇宙服のヘルメットを被っている感覚が理解しやすかったのかもしれない。

全体的な感想として、VRはインタラクティブとリラックス視聴コンテンツに二極化するとともに、ゲーム専用機の高精細な描画がなされたゲーム作品、既存の3D映画とどう住み分けしていくかが課題だと考えられる。

その理由は、既存のゲーム専用機のゲームはゲーム性によって没入感、夢中になる要素が多分にある。VRインタラクティブコンテンツはわかりやすいインタラクティブ性を設計、演出しなければいけないため、体験そのものは一度体験して面白いとは感じるが、何回も体験したくなる、やみつきになるような感覚は少ない。

また画面も広く立体視メガネで視聴するIMAX3D映画やモーションシートで座席と映像の一体感を楽しむ4DX映画の圧倒的な没入感と比べると、360°見回せる自由視点であることのメリットをさらに強く打ち出さないとエンターテインメントとしての浸透は難しい。

今回のVRシアターでは視聴用の座席数席ごとに機材補助のスタッフがついており、VR-HMDの装着もスムーズに行われた。また座席が回転する椅子に座っての視聴のため、動き回って怪我をしたりケーブルに引っかかる心配もなく、約50人全員がVR-HMDを被って視聴するという特殊な環境下でもうまくオペレーションがなされていた。

その一方、どのVR視聴体験でも課題となるが、暗闇では左右がわかりにくいヘッドホンをしていると周りから何か言われてもわからない、ハンドコントローラを正しい方向に持たせてもらわないと持ち方がわからなくなるなど、一般的な課題も露見していた。課題点に関しては来年のVRシアターではさらに改善されることが期待される。

Electronic Theaterで楽しむ短編CG作品の数々

例年、SIGGRAPH期間中に毎夜開催されるElectronic Theater/Computer Animation Festivalは、今年は近隣にある座席数7,100席という大規模な劇場、マイクロソフトシアターにて1回のみの上映となった。

Electronic Theater上映が行われたマイクロソフトシアターの様子

今年は約400本の応募作品の中から24本の作品が上映され、そのうち学生作品が10本。作品群は短編CG作品のみならず、ゲームや広告、VFX、科学映像など多岐に渡る。今年もフランスの映像学校Rubikaの躍進が目立ち、複数の作品が採択されている。

SIGGRAPH 2019 Computer Animation Festival:Electronic Theater

エレクトロニックシアターの予告編、ダイジェスト

CAF(Computer Animation Festival)受賞作

■Best in Show(最優秀賞)

作品名:Purl(アメリカ)
制作:Kristen Lester, Pixar Animation Studios

本編約9分 Kristen Lester監督と審査員、トロフィー授与の様子 Paulポスター
Go Behind the Scenes of Purl|Pixar SparkShortsメイキング
Meet the Filmmakers Behind Purl|Pixar SparkShorts監督へのインタビュー

毛糸の玉がオフィスで働くユーモラスな作品。監督のKristen Lesterはピクサー所属ですが、ピクサーの作品というよりは、SparkShortsと呼ばれるKristen Lester監督とピクサー有志によるインディーズ作品。

ピクサーでは社内インディーズの作品制作が推奨されており、監督志望のアニメーターの企画が通ると、会社からの各種リソースのバックアップを得て短編作品を作ることができる制度がある。ピクサーのSparkShortsには他にも素敵な短編作品がいくつもある。


■Jury‘s Choice(審査員賞)

作品名:The Stained Club(フランス)
制作:Mélanie Lopez, Supinfocom Rubika

本編約7分 The Stained Clubポスター

独特のstains(汚れ)をもった少年少女たちの物語。Rubikaというフランスの3DCGアニメーション学校を卒業した6人の仲間による作品。もともとの制作は学校在籍時のものだが、卒業後も制作を続けて完成させたものだそう。

The Stained Club|Making Ofメイキング
■Best Student Project(優秀学生プロジェクト賞)

作品名:Stuffed(フランス)
制作:Élise Simoulin, Supinfocom Rubika

(予告編約1分)本編未公開約6分 Stuffedポスター

毛糸の質感をもったまるでストップモーションアニメーションのようなCG作品。毛糸の質感が生かされたストーリー展開と、独特の世界観が素晴らしい映像作品。音楽とストーリーもうまく合っており、演技やストーリー展開、小粒のユーモアなどが散りばめられた心温まる作品。

MAKING OF STUFFEDメイキング

以上、残念ながら今年は日本からの入選作はなく、フランス勢の勢いが目立ったElectronic Theaterであった。続くレポートでは、リアルタイム映像系の情報をお届けする予定だ。

txt:安藤幸央 構成:編集部
[SIGGRAPH2019] Vol.02

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[ DATE : 2019-08-08 ]
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