PRONEWS

  • imgABOUT
  • imgTWI
  • imgFB
  • imgYTU
  • imgInstagram
  1. トップ
  2.  > 
  3. 特集
  4.  > 
  5. [新世紀シネマレンズ漂流:フィールドインプレッション編]Vol.03 業界で噂のシグマ製シネレンズ4本をテストする
Special

Vol.03 業界で噂のシグマ製シネレンズ4本をテストする

2019-10-03 掲載

txt:倉田良太 構成:編集部

ソニーのα7 IIIとシグマのプライムレンズを組み合わせて撮影

さて今回はシグマ編。シグマのHigh Speed Prime Lineの中から「28mm T1.5 FF」「40mm T1.5 FF」「50mm T1.5 FF」「105mm T1.5 FF」の4本をお借りした。

なぜ選んだかというと、周りの評判が良かったから。知り合いのプロデューサーに「カメラマンが映画で使いたいって言ってるけどどうなの?」って聞かれたり、セカンド(フォーカスプラー)に「解像力がすごい。ピントが合っているところから急にボケる」みたいな話を聞いたこともある。

カメラはソニーのEマウントミラーレスデジタル一眼カメラ「α7 III」。完全にシネレンズなシグマのプライムレンズシリーズとαの組み合わせは非常にバランスが悪い。もしαとシグマのこのレンズでムービーで使うなら、なんらかのリグと組み合わせて使いたい。NDなどフィルターを入れるにはマットボックス必須。95mmの前枠径は最近のシネレンズでは小さい方に入る。

シグマからはEFマウントモデルをお貸し出し頂き、シグマ純正のEFマウントーEマウント変換「MC-11」を使ってαで使用した。この変換アダプターはしっかりしていて、遊びもなく良くできている。

Vol.02のコシナのフォクトレンダー編に続いて、被写体として「天気の子」のロケ地の聖地巡礼をしてみた。

28mm T1.5 FF、40mm T1.5 FF、105mm T1.5 FFは、IBC 2018で発表されて、昨年から今年にかけて発売された新製品

お借りしたプライムレンズとα7 III

天気の子のロケ地を撮影

■朝日稲荷神社
https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2019/09/201908-Lenz-VOL03-03-DSC00458-625.jpg 50mm T2.8 1/8000 ISO 800
※画像をクリックすると拡大します

朝日稲荷神社は銀座の一角にある。アニメ上では、代々木会館の上。まずは50mmで撮影。隅々までシャープな印象。



https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2019/09/201908-Lenz-VOL03-06-DSC00477-625.jpg 40mm T4 1/3200 ISO800
※画像をクリックすると拡大します

この日は晴れて、光量がありすぎた。マットボックスはあるのだが、NDフィルターは手持ちで良いものがなくて絞りをT4に絞っている。



実はこの写真は、上の写真中央の鈴の緒一部をピクセル等倍に拡大したもの。ピクセル等倍でもねむく感じないレベル。ベイヤーセンサーのピクセル等倍に今までいい印象はなかったが、レンズやカメラの進化、現像技術によってかなり改善されている。



https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2019/09/201908-Lenz-VOL03-09-DSC00493-625.jpg 28mm T4 1/8000 ISO 800
※画像をクリックすると拡大します

屋上はスペースが少ない。28mmの広角で、街並みとの高さがわかるショット。フォーカスの位置は手前ののぼりにあるが、奥の背景は28mmでもこれぐらいボケる。

■のぞき坂
https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2019/09/201908-Lenz-VOL03-11-DSC00671-625.jpg 105mm T4 1/4000 ISO 800
※画像をクリックすると拡大します

映像での坂の表現は難しい。アニメではここがよく使われるらしいが、坂に対して平らな部分がレイヤー状に見えるのが理由かもしれない。すでに劇場で2回天気の子を観ている息子と回った。105mm T4の絞りのピントの芯はシャープ。T2やT2.8くらいで使うと気持ち良さそうだ。腕のいいフォーカスプラーが必要だけど。

■田端駅付近
https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2019/09/201908-Lenz-VOL03-11-DSC00559-2-625.jpg 105mm T4.5 1/5000 ISO 800
※画像をクリックすると拡大します

縮小画像ではモアレがあるが、実際には無い。この柵のような細かい網目はデジタルの宿敵。写真の右側は斜面で木が多く、横位置での引き画を撮れるアングルが見つからず。この柵の上のトゲトゲ(忍び返しと呼ぶらしい)は、アニメではなくしていると思われる。

聖地巡礼の撮影はここまで。レンズテストの話から脱線するが、聖地巡礼撮影の感想をまとめよう。

「天気の子」のロケ地は実写でも魅力がある場所ではある。コンテ、作画の高い技術力により実際にはカメラが入れない位置や、写真のようにレンズを通してできるパース感の再現、美術的な省略など、より良い方向へとアニメーションならではの強みを生かしている。

「天気」という現実世界ではコントロールできないモチーフを選んだこと、逆ズームまで表現できる技術力には大変感心している。

■銀座にて
https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2019/09/201908-Lenz-VOL03-14-DSC00507-625.jpg 28mm T4 1/8000 ISO 800
※画像をクリックすると拡大します

28mmのパース感とレンズのキレのテスト。クリックしてぜひピクセル等倍でみて欲しい。小さい画像ではレンズの持ち味は伝わりづらい。6000×4000のピクセル等倍での描写力は、ひと昔前とは明らかに違っている。

フォーカスの位置は手前の横断歩道あたりにある。奥の方のビルがややあまいのは深度の範囲に入っていないと思われる。ワイドで遠景でもある程度絞らないとパンフォーカスにならない。観客の視点の誘導、立体感の表現において絞りをどう決めるか?撮影の面白さであるがなるべく大きな画面で確認したい。

フートキャンドルに挑戦

フートキャンドルという言葉をご存知だろうか?光量を表す単位の一つで、ロウソクの光が1フィート離れた所に届く光の明るさのことである。セコニック社の伝統的な名機「スタジオデラックス」で現在も使われている単位である。

キューブリックの映画「バリー・リンドン」(1975年)ではロウソク光による照明のシーンを低感度のフィルムで撮影するためにCarl Zeiss Planar 50mm f/0.7という非常に明るいレンズを使用した話は有名だが、それから40年以上経った現在はデジタルによる高感度化でかなり撮影しやすくなった。

今回はチャッカマンを使用したので、1チャッカマンの光量に挑戦!とでも言うべきか。

https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2019/09/201908-Lenz-VOL03-16-DSC00839-2-625.jpg 105mm T1.5 1/50 ISO 800
※画像をクリックすると拡大します

ロウソクの炎の色温度は約2000K。チャッカマンも同程度だろう。今回もISO 800でシャッターは1/50に設定した。炎や花火の飛び具合も考慮して、もっと高感度にするのはやめた。シグマのレンズは開放T1.5なので、それでもいけると判断したのだが…。

結果から言うと、1フートキャンドルではアンダーだったと思われる。S-Log3の設定で写真を撮るということが根本的に間違っていたのかもしれない。感度2000や5000のほうがノイズが少なく、発色が良いかもしれない。

T1.5の深度は恐ろしく浅く、ムービーでは状況に応じて絞ることも検討すべきだろう。



https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2019/09/201908-Lenz-VOL03-18-DSC00778-625.jpg 50mm T1.5 1/50 ISO 800
※画像をクリックすると拡大します

花火が明るいと光量も増えて発色も良くなった。 50mm開放のテスト。繰り返しになるがフルサイズのT1.5は深度が浅すぎる。よほど狙いでなければ、少しは絞った方がいいと考える。



https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2019/09/201908-Lenz-VOL03-20-DSC00742-625.jpg 40mm T1.5 1/50 ISO 800
※画像をクリックすると拡大します

今回の花火撮影のベストショット。レンズテスト的にはあまり意味がないかもしれない。動きがあって表情が良い瞬間をマニュアルフォーカスで捉えるのは至難の技だった。

総評

今回はα7IIIと共に写真を撮るというかなりバランスの悪い使い方になってしまった。シグマのシネレンズは各レンズの前枠径が95mmに揃えられていて、フォーカスリング、絞りリングのギアの位置も揃っていて解像感も高い。

本格的なシネレンズであるのに値段はリーズナブル。ぜひとも映像を撮影して紹介したかったが、今回はできなかった。また最近、高解像感とクラッシックな表現を両立させたというFF Classic Prime Lineも発表された。このレンズも非常に楽しみにしている。リベンジの意味を含めて、今度SIGMA fpで映像をテストしてみたい。

今回このようにペリカンのケースに入れて機材を運んだ。本格的なレンズはカメラや三脚含めて全体に機材の重みが増す。車両やスタッフの人数などバランス良く制作する体制が必要と痛感した

■撮影Tips03 シネスコ撮影に備える

フルサイズ機で撮影すると、やってみたくなるのがシネスコの画角。上下トリミングすることになるが、スーパー35よりかなり横長のセンサーサイズにはなる。

シネスコの魅力の一つである、大型センサーの魅力(厳密には横1/2に圧縮)は出せる。その時、上下を切るとどんなことが起こるか?

1:1.5
先ほどの写真の例。



HD 1:1.78
これはまだ画として成立している



シネスコ1:2.35
こうなると成立しない。もう少し引かざるを得ない。レンズをワイドにするか、もしくはカメラポジションを後ろに下げるか。

つまり結論としてシネスコでは縦が短くなる分、レンズ的に全体にワイドが必要になる場合が多い。そしてひとひきすると、横が大きく入ってくるため美術的により横方向の飾りこみが必要になってくる。これは予算に直結するため、要注意事項である。

txt:倉田良太 構成:編集部


Vol.02 [新世紀シネマレンズ漂流:フィールドインプレッション編] Vol.04

[ Category : ]
[ DATE : 2019-10-03 ]
[ TAG : ]

この記事に関連する記事一覧

Voigtlander VMシリーズメインカット

[新世紀シネマレンズ漂流:NewTrend 2021編]Vol.05 Voigtlander VMシリーズでフォーカスコントローラーが使えるギアリング登場

txt:栁下隆之 構成:編集部 ライカMマウント互換のVoigtlander VMマウントに注目 2019年の年末に駆け込むように購入し、2020年の撮影はこれらのレン... 続きを読む

DZOfilmPictorZoomメインカット

[新世紀シネマレンズ漂流:NewTrend 2021編]Vol.04 RED KOMODOにシネマズーム「DZOFILM Pictor Zoom」を選んだ理由

txt:松本和巳 構成:編集部 ■DZOFILM Pictor Zoomシリーズ 価格とラインナップ: ・DZO Film Pictor 50-125/20-55 T2.... 続きを読む

Meikeメイン

[新世紀シネマレンズ漂流:NewTrend 2021編]Vol.03 MeikeからMFT対応8種類の焦点距離をラインナップするコンパクトシネマレンズ登場

Photo&txt:熊木浩司 構成:編集部 ■Meike MFT対応Cine Lensシリーズ 価格:税込43,560円(8mmのみ税込47,300円) 問い合わせ先... 続きを読む

Vazenメイン

[新世紀シネマレンズ漂流:NewTrend 2021編]Vol.02 VAZENからコストパフォーマンスに優れたMFT対応1.8xアナモフィックレンズ登場

txt:SUMIZOON 構成:編集部 ■VAZEN MFTアナモフィックシリーズ 価格:3種類とも439,780円(税込・送料込) 問い合わせ先:サロンフィルムズジャパ... 続きを読む

[新世紀シネマレンズ漂流:NewTrend 2021編]Vol.01 F0.8という驚きのスペックで登場したSUPER NOKTON 29mm使用レポート

txt:照山明 構成:編集部 ■コシナ SUPER NOKTON 29mm F0.8 Aspherical Micro Four Thirds 価格:税別225,000円 ... 続きを読む

[新世紀シネマレンズ漂流:NewTrend 2021編]Vol.00 2021年のレンズ選びを考える

txt・構成:編集部 2020年は、魅力的な映像制作向けレンズが数多く登場した。手軽な価格のシネマプライムレンズやより身近な価格で新しく登場したアナモフィックレンズ、スー... 続きを読む

[新世紀シネマレンズ漂流]番外編 シグマ山木社長インタビュー。同社シネレンズが映画「トップガン マーヴェリック / Top Gun:Maverick」で使われた背景を語る

txt・構成:編集部 トム・クルーズ主演映画「トップガン マーヴェリック / Top Gun:Maverick」の撮影でシグマシネレンズが大活躍 シグマはIBC 201... 続きを読む

[新世紀シネマレンズ漂流:フィールドインプレッション編]Vol.04 柔らかい表現を可能にしたキヤノンプライムレンズ「Sumire Prime」をテストする

txt:倉田良太 構成:編集部 ミュージックビデオをSumire Primeで撮影 シネマレンズレビュー、今回は柔らかな映像描写を実現したキヤノンのPLマウントのプライ... 続きを読む

[新世紀シネマレンズ漂流:フィールドインプレッション編]Vol.02 コシナのフォクトレンダーのソニーEマウント3本をテストする

txt:倉田良太 構成:編集部 ラインナップが充実のフォクトレンダーEマウント用レンズ さてレンズテスト編第一回は株式会社コシナのフォクトレンダー。 フォクト... 続きを読む

特集記事

ARRI, my love ARRI, my love
映画機材界の雄であるARRI。日本での販売拡大に注目されるARRIの歴史から実用例までフィーチャーする。
SXSW2021 SXSW2021
3/16~20日にオンライン開催となった「SXSW2021」をレポートする。
Virtual Production Field Guide Virtual Production Field Guide
国内のバーチャルプロダクションの展開と、映像制作ワークフローへの影響について紹介
CP+2021 CP+2021
オンライン開催のCP+2021で発表された新製品をレポート。
新世紀シネマレンズ漂流:NewTrend 2021編 新世紀シネマレンズ漂流:NewTrend 2021編
2020年末から2021年に発売されたレンズ新製品をピックアップする。
映像基礎講座 映像基礎講座 Episode 2
2020年8月に公開された特集「映像基礎講座」続編。引き続き映像の基本や基礎知識を学ぶ。
CES2021 CES2021
オールデジタルのオンライン開催となったCES2021をレポートする。
年末イッキ読み! 年末イッキ読み!
2020年に話題になった製品の特集やコラム記事をまとめて振り返る。
PRONEWS AWARD 2020 PRONEWS AWARD 2020
激動の1年となった2020年の映像業界を、PRONEWS編集部が総括する。
2020年11月特集:[再現:Inter BEE 2020]-Web Trade Show- 再現:Inter BEE 2020-Web Trade Show-
11月18日(水)からオンライン開催されるInterBEEを解説する。
Inter BEE 2019 ぼくらのEDIUS X
約3年ぶりのメジャーバージョンアップとなる「EDIUS X」の魅力を紹介。
InterBEE 2019の歩き方 Broadcast & Cinema EXPO 2020
映像制作者、映像業界関係者向け情報イベント配信番組。
ATEM WORLD ATEM WORLD
ラインナップ充実のATEM Miniシリーズの選び方や使いこなしをご紹介。
SIGGRAPH2020 SIGGRAPH2020
オンライン開催されたVFXの祭典・SIGGRAPH2020をレポート。
映像基礎講座 映像基礎講座
映像の基本や基礎知識を学ぶ。映像制作初心者はもちろん、熟練者ももう一度初心に立ち返ろう。
  1. トップ
  2.  > 
  3. 特集
  4.  > 
  5. [新世紀シネマレンズ漂流:フィールドインプレッション編]Vol.03 業界で噂のシグマ製シネレンズ4本をテストする