PRONEWS

  • imgABOUT
  • imgTWI
  • imgFB
  • imgYTU

トップ > 特集 > [IBC2019]Vol.06 メディアやエンターテインメント領域のAIと機械学習

News

[IBC2019]Vol.06 メディアやエンターテインメント領域のAIと機械学習

2019-10-09 掲載

txt:江口靖二 構成:編集部

カンファレンス、セッションからみる現状と近未来

IBC2019ではブロックチェーンと同様に、AIや機械学習(マシンラーニング、ML)に関するカンファレンスも多数開催された。これらはAIやMLを利用してメディアとエンターテイメント(M&E)のバリューチェーン全体でプロセスを自動化し、エンゲージメントを促進し、新しい収益化の機会を作り出すといったテーマのセッションが相当数あった。これらを時間が許す限り、10本ほど参加して見えてきた現状と近未来をまとめてみたい。

まず、IBCでの300本を超えるカンファレンス、セッションの中で、サマリーとタイトルで判断する限り、AIをテーマにしたものが30本も開催された。これらはAIとMLと深層学習(ディープラーニング、DL)の違いのような基本的なものから、メディアやエンターテインメント業界の上流から下流、つまり制作から配信までの各プロセスごとに解説するもの、制作過程に特化したもの、ユーザー側の体験に関するものなど幅広い。

そもそも画像というデータはAIに向いている。一言で言えば、人間の眼と同じく、そこに何が写っているかを検出することがAIは得意である。この検出ができれば、それを応用して様々な利用が可能になる。道路にカメラを設置して人間と車をカウントすると交通量計測業務を自動化できる、映画作品の出演者をリストアップする、というような話である。

AIやMLによる現在のM&Eのオートメーション(自動化)の実現状況に整理は次のとおりだ。

  • コンテンツの検出と識別
    これは一般的な技術利用の概念
  • メタデータ精度の強化
    これまでは手動で作成されてきたコンテンツメタデータの自動生成
  • 異常検出
    ノイズなどの技術的な不都合と、暴力や猥褻などの内容的な問題の検出
  • 広告の検出と挿入
    業務的な広告素材のインジェストや差し替え
  • 要約とハイライトの生成
    広義でのメタデータやレコメンドへの応用
  • サムネイルの選択と生成

などで利用が始まっている。上位のものほど浸透している傾向がある。特にメタデータの生成に関しては、まだ正確さに欠ける部分もあるが、映画などの出演者検出のような限定的な用途であれば実用レベルに達し始めている。

今後のM&Eのオートメーション(自動化)の展望

  • コンテンツのパーソナライズ
    視聴履歴や指向を解析する
  • ストーリー分析
    画像と言語の両面からの複合的な解析
  • コンテンツ生成と差し替え
    静止画から動画の生成など。一方でディープフェイクが今大きな問題になり始めている
  • 感情分析
    画像によるものと言語によるもの
  • 格付け
    定量的だけではない定性的な格付けや評価
  • 類似性検索と盗作検出
    これは実用化レベルと言ってもよい
  • インタラクティブな映画
    ニーズの有無は不明だが技術的には実用域に向かう
  • リアルタイム(動的)なコンテンツの分類
    レコメンドや編成のリアルタイムかつパーソナライズ化
Googleがコンテンツのインテリジェント化をエコシステム上で整理した図 セッションの中から、フレーム単位ではなくシーンとして認識する必要があるという指摘

こうしたAIやMLのメディアやエンターテインメントでの利用は、利用者の利便性の向上と制作者の効率化という2つの側面がある。これらは決して単独や別々で機能することではなく、表裏一体となって効果を上げるものである。たとえばメタデータの生成が自動化されることによってコンテンツ制作者の業務が効率化され、それによって提供されるレコメンドの精度が上がると利用者が便利になり、またそれを使うという好循環が生まれるようなことだ。

メディアとエンターテインメントの殆どは映像と音声で構成されているので、画像や音声の認識にAIを利用するのがまずは基本であり、その技術的な課題はある程度パワーで解決されていく。パワーというのは、一つはマシンパワーのことであり、GPU、NPU、VPUパワーの向上による。

そしてもうひとつパワーが必要になるのは学習ライブラリーである。Scikit-learn、TensorFlow、Chainer、Caffe、CNTKなどのライブラリーは、グーグルやマイクロソフトのような大手が膨大な費用、知見、頭脳を駆使して構築しているものであり、ここは誰でも簡単に手が出せる状況ではない。そしてこのライブラリーは誰に対しても共通に提供されている、利用可能な状態にあると言ってもいい。

たとえばGoogleのTensorFlowはオープンソースである。つまり、CPUを作れなくてもパソコンの製造ができるように、MLのための学習ライブラリーが作れなくてもMLはできる。差が出る部分は、例えば教師データの与え方とか量とか、入力データと出力データの関係性を示す関数の作り方、という部分がML精度を上げるための競争ポイントになる。

txt:江口靖二 構成:編集部
Vol.05 [IBC2019] Vol.07

[ Category : , ]
[ DATE : 2019-10-09 ]
[ TAG : ]

この記事に関連する記事一覧

[CES2020]Vol.11 Crystal LEDとAtom Viewで実現するヴァーチャルセット最前線~まさにリアルを超える?!

txt:西村真里子・猪蔵・編集部 構成:編集部 リアルとバーチャルの境目がなくなる影像制作 CES 2020はそれまでのCESの歴史から大きくシフトを宣言している年であ... 続きを読む

[CES2020]Vol.10 テレビ局が不在でも完全に8Kが主流のCES2020

txt:江口靖二 構成:編集部 CES 2020の主流が「8K」となった理由 CES 2020では完全に8Kが主流である。グローバルで市場を牽引する中国とアメリカでは、... 続きを読む

[CES2020]Vol.09 「次の10年のエンターテインメント・プラットフォーム」とは?〜モバイル向け動画配信サービスQuibiスタート直前

txt:加藤薫(博報堂DYメディアパートナーズ) 構成:編集部 モバイル向けストリーミングサービス「Quibi」とは? 生活を変えるテクノロジーのショーケースとして... 続きを読む

[CES2020]Vol.08 日常が“つながる”と意外なものがメディアになる?未来の生活を彩るものたち

txt:平野陽子 (大広) 構成:編集部 2020年1月7日~1月10日、米国ラスベガスにて「CES 2020」が開催された。すでに多くのメディアで語られているが、再度振り返... 続きを読む

[CES2020]Vol.07 人工人間、身体性が問われるテクノロジー「NEONプロジェクト」

txt:西村真里子 構成:編集部 CES 2020で注目のテクノロジー「NEON」とは CES 2020の日本のスタートアップが出展するEureka Parkに... 続きを読む

[CES2020]Vol.06 目の付け所がAIなプロダクトが続々登場〜会場から見えてくるAIプロダクト達

txt:江口靖二 構成:編集部 進化する画像センサーがより良い未来を作る サムスンの「Ballie」は目の付け所がサムスンなプロダクトだ。百聞は一見にしかず、サムス... 続きを読む

[CES2020]Vol.05 航空会社として初基調講演。デルタ航空が考えるイノベーション〜パラレル リアリティ ディスプレイ

txt:江口靖二 構成:編集部 航空会社として初めての基調講演 CESでのキーノートには、例年家電メーカーであったり、インテルやクアルコムのようなチップ系のメーカー、最近では自... 続きを読む

[CES2020]Vol.04 より多くの人を集めるために〜CESにおける「見せ方」と「ブランディング」効果とは?

Audiのブースは上からキラキラしたリボンが無数に装飾されており、否が応でも足を踏み入れたくなる txt:清水幹太 構成:編集部 来場者の気を引く“見せ方”は多種多様 ... 続きを読む

[CES2020]Vol.03 一般化を迎えたカテゴリーに花開く、味わい深いプロダクトたち〜展示会スタート

txt:清水幹太 / 編集部 構成:編集部 いよいよ展示会が始まる MediaDayが終わり、CES展示会場での展示がいよいよ始まった。CESの他の展示会と大きく違う点... 続きを読む

特集記事

Camera Preview 2020 Camera Preview 2020
2019年から2020年春にかけて発表された話題の新製品やカメラシステムを紹介。
AfterCOVID-19 映像業界サバイバル AfterCOVID-19 映像業界サバイバル
社会的危機となっている新型コロナウイルス拡大の状況を分析し、今何が起こり、何が必要で、その後に何が訪れるのかを考えてみる。
Film Shooting Rhapsody 上映編 Film Shooting Rhapsody 上映編
16mmフィルムトライアルルームの荒木泰晴氏によるフィルム特集第2弾。今回はフィルム現像から紹介する。
再現:NAB2020 再現:NAB2020
米国ラスベガスにて開催予定だった世界最大の放送機器展覧会 2020 NAB Showでお披露目される予定だった内容を再現していく。
Film Shooting Rhapsody Film Shooting Rhapsody
16mmフィルムトライアルルームの荒木泰晴氏によるフィルム特集第2弾。
再現:CP+2020 再現:CP+2020
開催中止となってしまったCP+2020をPRONEWS誌面上で再現して行く。
CES2020 CES2020
米国ラスベガスで開催された世界最大の国際家電見本市 CES2020をレポート。
PRONEWS AWARD 2019 PRONEWS AWARD 2019
2019年は映像業界にとってどんな年だったのだろうか。PRONEWS AWARDで部門ごとに振り返る。
Inter BEE 2019 Inter BEE 2019
千葉幕張メッセにて開催される国際放送機器展“Inter BEE“をレポート。
InterBEE 2019の歩き方 InterBEE 2019の歩き方
今年もInterBEEの歩き方をジャンル別にピックアップし、6種類のコースを紹介。
Film Shooting Rhapsody Film Shooting Rhapsody
フィルム撮影の経験をしたい人に向けてフィルム撮影で必要な各種の工程について解説していく。
IBC2019 IBC2019
欧州最大の業務用映像・音響の専門展示会「IBC2019」をレポート。
新世紀シネマレンズ漂流 新世紀シネマレンズ漂流
シネマレンズを中心に一眼やミラーレスデジタルカメラの動画撮影機能と組み合わせて使われる交換レンズの最新動向を紹介する。
BIRTV2019 BIRTV2019
中国・北京の中国国際展覧中心で開催された展示会「BIRTV 2019」をレポート。
SIGGRAPH2019 SIGGRAPH2019
世界最大のコンピュータグラフィックスとインタラクティブ技術に関する学会・展示会SIGGRAPH2019をレポート。

トップ > 特集 > [IBC2019]Vol.06 メディアやエンターテインメント領域のAIと機械学習