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[CES2020]Vol.05 航空会社として初基調講演。デルタ航空が考えるイノベーション〜パラレル リアリティ ディスプレイ

2020-01-12 掲載

txt:江口靖二 構成:編集部

航空会社として初めての基調講演

CESでのキーノートには、例年家電メーカーであったり、インテルやクアルコムのようなチップ系のメーカー、最近では自動車メーカーが登壇することが普通だ。今年2020年のキーノートには、航空会社として初めて、デルタ航空がキーノートを行った。

CTA(コンシューマー・テクノロジー・アソシエイション)CEOであるゲイリー・シャピロ氏は冒頭で、「生体認証、AR/VR、モバイルテクノロジーなどにより、旅行は簡素化されつつあり、将来的には根本的に変わるだろう。これは、世界中の数百万人の雇用を支える一兆ドルの成長産業だ。今日ここに集まった皆さんは、旅行業界や観光業界の将来を担う有望なテクノロジーを体験することができる」としてデルタ航空CEOのエド・バスティアン氏を壇上に招いた。

デルタのCEO、エド・セバスチャン氏(左)を招き入れるCTAのCEO、ゲイリー・シャピオ氏(右) デルタのCEO、エド・セバスチャン氏 

キーノートの中では、バゲージの配達サービスやリアルタイムのトラッキングサービス、Lyftとの連携、顔認証によるボーディングなど、空港から目的地に到着するまでの一連の体験を、テクノロジーによって快適にするという取り組みを紹介した。また、機内WiFiを無料にすることや、機内エンターテインメントの利用時にブルートゥースを利用できるようにすることなどを計画していると述べた。

これらはキーノート中に紹介されたこちらの動画でその内容を見ることができる。

デルタ航空が考えるイノベーション〜パラレル リアリティーとサポートロボット

今回のキーノートの中では、新技術を使ったサービス、「パラレル リアリティ」はディスプレイ技術として非常にイノベーティブである。これはいまの空港においては、搭乗ゲートや時刻を確認するためには、デジタルサイネージのモニターを見る必要がある。しかしこのモニターには膨大な数のフライト情報が表示されるので、自分のフライトを探し出すのには非常に苦労する事が多い。そこでこの課題をパラレル リアリティによって解決するというのである。

ワシントン州ベースのスタートアップ、Misapplied Science社の「パラレル リアリティ」技術がそれを現実のものとした。CES2020では、デルタ航空のブースで実際に体験することができた。

Misapplied Sciencesの CEO アンドリュー氏

デルタブースでは4人一組になって、まず最初にタブレットで名前とフライト先、使用言語を入力して、QRコードが付いた架空の搭乗券を発券する。これをスキャンさせるとディスプレイ上にゲート案内や搭乗時刻などのフライトインフォメーションが表示される。ここまでは普通の話だが、驚くことに、4人それぞれのいる場所から見ると、それぞれのフライトインフォメーションが表示されるのである。あくまでもディスプレイは1台なのに、である。もちろんメガネやゴーグルはなく、肉眼でそれが可能にしているのである。映画「マイノリティ・リポート」の世界が現実のものとなるのだ。

搭乗券を発券 自分のフライトインフォメーション(だけ)が見える

仕組みはこうだ。新技術による単独ディスプレイによる複数画像の表示と、AIによるオブジェクト認識によって、自分の今いる位置から見ると自分向けの情報だけを表示させることを実現させている。

さらにオブジェクトトラッキングによって、移動してもそれに追従してくる。これは、「マルチビューピクセル」によって可能になる新しいタイプのディスプレイだ。 それぞれがすべての方向に1色の光を放射する従来のピクセルとは異なり、各ピクセルが数万または数百万の方向に異なる色の光を送ることができるとのことだ。

移動しているところを動画で撮影したが、実際に肉眼で見るようにはっきりとは写っていない。これはカメラレンズの位置と目の位置が異なることが原因ではないかと推測する。それだけピンポイントでの表示が可能だということだ。

オブジェクト認識用のカメラとディスプレイ部分の拡大

パラレル リアリティーによるサービスは、デトロイト空港のデルタのターミナルで2020年夏から開始される予定である。

またキーノートでは、顧客だけではなく、デルタ航空は社員に対してもテクノロジーを使った業務改善を行っていることを示した。その一つが重いバゲージを運ぶときのサポートギアである。SACOS社が開発したものを導入。デモでは150ポンド、68キロの荷物を軽々持ち上げるところを紹介した。

ブースに展示されていたサポートギア

またキーノートの途中とラストでは、多くのデルタ航空の社員が壇上に上がり、記念写真を撮ることでキーノートを締めくくった。

もう一つ、非常に印象に残ったことは、デルタ航空のブースにいる人達のホスピタリティの高さである。サービス業を常としている会社だけあって、他の会社のような社員や、コンパニオン的な人を配置しているのと比べるとその差が歴然としている。デルタ航空はきっといい会社なんだろうなと感じた。

txt:江口靖二 構成:編集部
Vol.04 [CES2020] Vol.06(近日公開)▶︎

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[ DATE : 2020-01-12 ]
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