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[CES2020]Vol.07 人工人間、身体性が問われるテクノロジー「NEONプロジェクト」

2020-01-16 掲載

txt:西村真里子 構成:編集部

CES 2020で注目のテクノロジー「NEON」とは

CES 2020の日本のスタートアップが出展するEureka Parkに日本テレビのアンドロイドアナウンサー「アオイエリカ(AOI ERICA)」が応援に駆けつけ、J-Startupブースの紹介を行った。和装に身を包み、来場者の質問に対して丁寧に(音声とテキストで)返事をする姿にEureka Parkに来た方々も足を留めて話しかけ、その後J-Startupブースに入っていく。

アンドロイド、身体を伴ったロボット、テクノロジーは人の眼を引く。人間に近すぎて不気味なゆえ近寄れないという人もいる。「今後アシスタントロボットは身体を持つべきなのか?」

そのようなことを考えるキッカケとなるプロジェクトがサムスンの独立研究開発部門「スター・ラブス(Star Labs)」から発表された。その名は「NEON(ネオン)」だ。筆者はこのプロジェクトを見るのがCES 2020の楽しみの一つだった。

「NEON」は人工人間(Artificial Human)である。「人工知能が当たり前になった時代の、その先を考えた人工人間プロジェクトで、“脳みそ”だけではなく“身体”や“感情”もテクノロジーが有することを研究した結果生み出したもの」とのことだ。バーチャル上だが、人間のように動き、感情を持つもの。ただし、物理的な身体は持たない。ディスプレイのなかに存在するものである。

デモ会場内では、ヨガインストラクター、キャビンアテンダンド、ダンサー、オタク風作業員(オタマトーンを持っていた)など個性豊かな人工人間がディスプレイの中に佇み、時に多くの来場者に「Hi!」などと話しかけ、時に多くの来場者に戸惑いの表情を表していた。

ちなみに話しかけるといっても一方通行コミュニケーションでインタラクティブ性はまだ進化途上とのことだ。英語、韓国語、ヒンズー語、中国語などでも話せることをデモしていたが、これはサードパーティー性のプラグインを入れているとのことで、外部パートナーとも今後協業していく可能性が高いとも述べていた。

利用用途としては感情を持った新しいユーザーインターフェイスとなりATMや受付などで人間を助けるというものらしい。テクノロジーに囲まれて生きているのが当たり前になる世の中で「ねえグーグル」や「Hey Siri」「アレクサ」「Hi Bixby(Samsungの音声認識)」などと、愛着のわかない音声認識インタラクションを持つよりも、一人ひとり(?)個性的で名前を持った人工人間「NEON」とコミュニケーションをする方が人間に優しいという。

そして、現段階では利用希望者のニーズにあわせて「受付用」「看護用」「やさしい」「てきぱき」などと用途・人格設定を決めた上で、人工人間を成長させていくようだ(現時点では用途プリセットがあるわけではなく、利用希望者とアプリケーションを作り上げていく手法を取る予定とのことだ)。

ちなみにCGではなく「NEON」として計算し、生成して作り上げていくそうだ。CORE R3(現実性Reality、リアルタイムReal Time、レスポンスResponse)を大切にし、数マイクロ秒未満で反応してくれるので、人間と接しているような感覚であるとのこと。

NEONのウェブサイトには以下のように紹介されている(一部抜粋):

“NEON=人工人間。NEONは、感情と知性を備えた本物の人間のように見え、振る舞い、計算によって作成された仮想の存在です。

あなたや私のように、視覚的に100%リアル。

フランク、ナターシャ、ハナ、など名前を持ち「Hey NEON」と話しかけません。NEONはAIアシスタントでも、インターネットへのインターフェースでも、音楽プレーヤーでもありません。NEONは友人、なのです。

スペイン語からヒンディー語、日本語から英語まで、NEONはすべてを話すことができます。友人であり、協力者であり、仲間。

NEONは私たちとつながり、より多くを学び、新しいスキルを獲得し、進化します。”

まだまだ発展途上という段階で出ているので、NEONとコミュニケーションできなかったが、今後街角のサイネージに、病院に、空港のカウンターにNEONが登場する未来が来るのかどうか、今後の動向も気になる。

ちなみにCES開始前はツイッターフォロワーが6000フォロワー程度だったのが、現在では1.1万フォロワーいる。CNETやブルームバーグ、エンガジェットなどメディアでも多く取り上げられている。CESを活用したプロモーションとしては成功といえるだろう。

「今後アシスタントロボットは身体を持つべきなのか?」この問いに戻ろう

日本のJ-Startupブースには日本のスタートアップGateboxの「ヒカリちゃん」がホログラムでニコニコ微笑んでいた。Gateboxは2019年末にキャラクタープラットフォームをオープン化、開発者向けの「Gatebox Developer Program」を開始、誰でも自分の好きなキャラクターと暮らせるアプリ開発を可能にしている。創業者の武地実氏は創業当時から、二次元キャラクターヒカリちゃんを「俺の嫁」と呼び、二次元キャラクターと暮らせる人生を実現させ、多くの方に楽しんでもらいたいと言っていた。その言葉どおりの進化を遂げている。

NEONはサムスンの独立研究開発部門が開発している。NEONの人工人間が身体を持たずにディスプレイの中にのみ存在することは、ディスプレイ利用用途が増えるということだ。独立研究開発部門なのでSamsungの売上には直接寄与する必要はないが、NEONが身体性を持たないという理由はそこにもあるのかもしれない。

また、受付やサイネージ案内などでは身体性を持たなくとも十分機能する。事実イタリアの空港ではディスプレイの奥に人間が待機して、空港内の案内をしている。私が利用したときには、早朝だったからか非常にぶっきらぼうな対応を受けたが、NEONだと優しく日本語で答えてくれるのであれば、ありがたい。

冒頭のアンドロイドアナウンサー「アオイエリカ」は、アナウンサーとしてスタジオに入り、マイクを付け、カメラの前に立つにはフィジカルなアナウンサーである方がコミュニケーションを取りやすい。ただし、アンドロイドを開発にするにはそれなりに大きな予算も必要そうである。

これからは利用用途にあわせて“人工人間”がフィジカルに、バーチャルに人間をサポートしてくれることになるのだろう。そして答えはNEON一つではない。人工知能が当たり前になった世の中で、人工人間がどうあるべきか?みんなが考えていく良い機会をNEONが与えてくれたと考える。

txt:西村真里子 構成:編集部


Vol.06 [CES2020] Vol.08

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[ DATE : 2020-01-16 ]
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