取材・文:編集部

CINEMA EOSやソニーFS&FXと組み合わせもOK!6.5kgペイロード対応「CRANE 3S」

軽量・小型なジンバル「WEEBILL S」が人気のZhiyun。2年連続でCP+に出展を予定していた。そこで、日本正規代理店のVANLINKSにお伺いして、今年のCP+で予定していたZhiyunブースの出展内容について聞いてみた。

Zhiyunは中国に本社を置くメーカーのため、CP+で新製品発表はないと予想していた。しかし、嬉しいことに予想は裏切られた。「CP+の会期をきっかけに新商品を発表する予定でした」とのこと。実は、シネマカメラ向けに開発された新製品「Crane 3S」を展示予定があたっという。

Crane 3Sは、各モーターの大きさを一新して、より重量のあるカメラに対応する6.5kgのペイロードに対応。ソニーFX9やFS7、キヤノンEOS-1D XやCINEMA EOS、REDなどのシネマカメラをサポートする。スマートフォンやアクションカム、ミラーレス向けのジンバルからスタートしたZhiyunだが、「ついにシネマカメラの領域にも踏み出してきた」という感じだ。

互換リストを見ると、パナソニック「EVA1」、ソニー「FX9」、キヤノン「EOS C200」「EOS C300」、Blackmagic Design「URSA Mini Pro 4.6K G2」、ARRI「Alexa mini」「ALEXA mini LF」、ミラーレスカメラではα7 IIIやGH5、ソニーのα6000シリーズなどに対応。ライト層からヘビー層まで対応できるジンバルとなっている。

パッケージには、REDのDSMC2、AngenieuxのズームレンズとCrane 3Sを組み合わせた写真がプリントされている。シネマカメラ対応であることを実感する。

パッケージには、REDとCrane 3S、Angenieuxの30-90mmT2の「EZ-1」を組み合わせた写真が使われている

新型モーターを搭載して6.5kgまでのペイロードに対応したCrane 3S

ロール軸モーターにはCraneシリーズでお馴染みの「智云」の文字が入っている

Crane 3Sの特徴はアームだ。全長のあるシネマカメラに対応するエクステンションアームを採用。アームの長さを拡張できることによって、ショルダースタイルクラスのカメラでも接触しない構造を実現している。

モジュラー設計も特徴だ。ハンドルの分離やサイズの異なる複数のネジ穴を備えており、ドリー、ジブなどと組み合わせて使いやすくなっている。ハンドルには、グリップのみの「TransMount EasySling」と、コントロールパネル機能やOLEDスクリーンを備えた「TransMount SmartSling」の2種類が用意されている。

ハンドルは取り外しが可能。グリップはTransMount SmartSling

ロックシステムも変更されている。これまでの同社ジンバルは2段階のロックシステムだったがが、Crane 3Sでは「ロック解除」「セミロック」「ロック」の3段階のロックシステムに変更されている。バランス調節の際には、セミロックに合わせて調節し、かばんに収納する際はロックにすることで一切動かなくなる。

ネジを外して、拡張アームを追加することによってアームの長さを延長できる

Crane 3Sの米国での販売価格は、SmartSlingハンドル付きの「CRANE 3S」が739ドル、EasySlingハンドル付きの「CRANE 3S-E」が649ドル、フォロフォーカスやトランスミッター、バッテリーパックなどのアクセサリーをセットにした「CRANE 3S Pro」が1149ドル。

国内市場実勢価格はCrane 3Sが約8万円で、現行モデルのCRANE 3 LABは約10万円。CRANE 3SやCRANE 3S-EはワイヤレスフルHD画像転送テクノロジー(別売で1万6,500円)を搭載していないが、CRANE 3 LABと市場実勢価格は大きく変わらないという点も見逃せないポイントだ。

コンパクトでパワフルが特徴のミドルレンジモデル「WEEBILL S」

Zhiyunの現行モデルのラインナップの中で、もっとも売れているのが「WEEBILL S」だ。WEEBILL Sは、WEEBILL LABをリニューアルしたモデルで、アームが長く変更されている。後方に重量をかけることができ、EOS 5D系などのフルサイズ一眼レフにより対応しやすくなっている。

WEEBILL Sは発売当初、約3.5kgまでのペイロードに対応と発表していたが現在、ペイロードは非公開となっている。バランスによって対応する重量が変わるためだという。対応するカメラとレンズの組み合わせ一覧が公開されているので、そちらを参照してほしい。

左がWEEBILL LAB、右がWEEBILL S。アームの長さが変わることでWEEBILL Sのほうがより幅広いカメラとレンズに対応できるようになっている

WEEBILL Sは、通常の垂直に立てて使う「直立モード」のほかに、三脚をバッテリーコンパートメントのベースに取り付けて使う「スリングモード」と呼ばれる吊り下げ型で使用できる。吊り下げ型にすることで、ローアングル撮影がしやすいのも特徴だ。

直立モードの例。両手でしっかりと固定できる

スリングモードの例。ローアングルを楽に撮影できるようになる

各軸のロックスイッチも特徴だ。Crane 2などの以前のモデルにはロックスイッチがなく、持ち運びの際にブラブラしてしまって不便であった。WEEBILL Sには各軸にロックスイッチを搭載しており、各軸を固定して持ち運びができるようになった。

各軸についている赤いスイッチがロックスイッチ

カメラへの取り付けは、クイックリリースプレートモジュールとアルカクイックリリースプレートによるツーインワンクイックリリースプレートを採用している。ロックをしたままカメラから簡単に外すことが可能で、リバランスすることなく機器間をすばやく移行できるようになっている。

左がクイックリリースプレートモジュール、右がアルカクイックリリースプレート。バランスを設定した状態で外すことが可能になっている

WEEBILL S対応のワイヤレスシステム3製品が2020年3月27日より発売を開始した。「TransMount画像転送送信器」はワイヤレスの送信機で、リモコンスマホやタブレットへのリアルタイム映像転送が可能になる。「TransMount画像転送受信器」はワイヤレスの送信機で、モバイルモニターやPCモニターと接続して送信機の映像を確認できる。

TransMount画像転送モジュールは、WEEBILL Sのクイックリリースプレートの下に取り付けることが可能

TransMount動体センサーリモコンは、TransMount画像転送受信器と組み合わせることで、カメラとジンバルをリモートコントロールするユニット。離れた場所でもRECのON/OFFやジンバルモード切り替えが可能になる。また、モーションセンサーを使用して、ジンバルを自在に動かすことも可能になる。

取材・文:編集部


Vol.04 [再現CP+2020] Vol.06