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[Camera Preview 2020]Vol.09 ソニーFX9ファームウェアVer.2.0発表。カメラマン田村雄介氏がFX9企画・設計者を直撃!

#SONY #PXW-FX9 #Camera Preview 2020

2020-08-31 掲載

txt・構成:編集部

5Kサイズスキャンによる4K60P記録やフルHD180fps撮影などを機能拡張

ソニーは2020年5月1日、XDCAMメモリーカムコーダー「FX9」の5Kサイズスキャンによる4K60P記録やフルHD180fps撮影などの新機能を追加したファームウェアアップデートVer.2.0を発表。2020年10月提供開始を予定している。そこでカメラマンの田村雄介氏にFX9 Ver.2.0の試作機を早速使っていただき、新機能の感想や疑問についてFX9企画、設計の担当者3名とオンライン対談を行った。その様子を紹介しよう。

商品企画担当の賀川氏(左上)、設計プロジェクトリーダーの近藤氏(左下)、仕様検討リーダーの森本氏(右上)、カメラマンの田村雄介氏(右下)
田村雄介
コロナ禍直前の2020年明けにフリーランスを卒業して株式会社YT Visions設立。今年も愉快に機材を購入しながら仕事を頑張っていきたい計画は脆くも崩れ去ったけど、割とまぁまぁ機材は買ったり買えなかったりしている。

FX9 Ver.2.0の新機能※2020年10月リリース

■撮影機能

  • ハイフレームレート撮影/フルサイズスキャン/フルHD180fps
  • 5Kスキャン/4K60P記録
  • ユーザー3D LUT
  • RAW出力(要別売 拡張ユニットXDCA-FX9)
  • ハイブリッド・ログ・ガンマ
  • 4K/17:9記録
  • ISO感度上限の拡大(ISO102400<基準ISO4000時>)

■AF機能

  • 瞳AF
  • フォーカスタッチコントロール

■その他

  • メニュータッチオペレーション
  • 6G-SDI
  • DWXデジタルワイヤレスレシーバー対応(要別売 拡張ユニット XDCA-FX9)
  • XLRアダプターキット XLR-K3MのデジタルI/Fに対応

5Kスキャンで60P記録を実現する新スキャニングモードを追加

田村氏:僕の近況から紹介しますと、FX9は2020年1月に購入しました。しかし正直なところ、新型コロナウイルスの状況下で活躍の機会が減っているのは事実です。そんな状況の中でも、FX9はオールラウンドで使えるところが非常に気に入っています。中規模の現場から、高画質で撮りたいと思う記録系の現場まで持っていけるのはありがたいですね。

そしてFX9 Ver.2.0の試作機を早速体験させていただきましたが、目玉の5Kセンサースキャン60Pやフォーカスタッチコントロール、タッチによるメニュー項目操作、瞳AF搭載と、しっかり新しい機能を搭載してきたなと感じました。特に目玉となる5Kスキャン/4K60P記録で、より自由度が上がったと思いました。僕はこれまでも「4Kスキャン+4K記録」よりも「6Kスキャン+オーバーサンプリング+4K記録」のほうが画質が良くなることを体感していて、今回4Kスキャンよりもセンサー領域を広く使う「5Kスキャン+オーバーサンプリング+4K60P記録」を撮れるようになったことで、さらにFX9で撮影する領域が広がるのではないかと思います。

sonycine.comより。左から2番目の「FF crop 5K」が新しく追加されたモード

さっそく質問ですが5Kスキャン/4K60P記録を体験してみると、6Kスキャンの時と同じように5Kスキャンは5K記録ができればと思いました。FX9クラスを使うレベルの人たちですと、4K制作の際にもう少し大きいサイズの映像があれば、その後の編集の自由度を高めたりできると思います。ユーザーは結構期待しているところだと思いますが、5Kスキャンで5K記録の実現は難しいでしょうか?

近藤氏:FX9の設計コンセプトは、映画制作の現場で評価されたVENICEのすぐれた画作りを継承するとともに、多くのクリエイターから支持をいただいているFS7 IIの上位モデルとして、CM・ドキュメンタリー・ミュージックビデオなど、プロの制作現場での使い勝手をさらに進化させたモデルになります。

FX9では6K撮像や5K撮像のセンサーの解像度を十分に生かした状態で、4Kにオーバーサンプリングして記録のデータ量を抑え、なおかつ高精細な画質を提供する方法を採用させていただきました。今回のVersion 2.0では5Kサイズスキャンで、より高解像度の画を60pまで記録可能になっています。

現在は4K記録を上限としていますが、今後もお客さまの要望などを聞きながら検討していきたいと考えています。

田村氏:解像度的に少し余裕を持ってくれればユーザーとしてはもっと使いやすくなると思います。今後も、そこには期待していきたいと思っています。

5Kスキャン4K60P記録でツァイスのLightweight Zoom LWZ.3やシグマの18-35mm F1.8 DC HSMが使える?

田村氏:実はVer.2.0のフィーチャーである5Kスキャン/4K60P記録は少し利便性が高まるかなぐらいかな?と思っていました。しかし、実際に使ってみると、予想していた以上にありがたいバージョンアップだと感じました。

中でもテストしてみておっ!と思ったのはレンズのフィッティング、5Kスキャン/4K60P記録とスーパー35mmレンズの組合せです。今までスーパー35mmレンズは、スーパー35mm用の「S35 4K」クロップモードで使うしかありませんでした。しかし、今回追加された5Kスキャン/4K60P記録では、スーパー35mm用のツァイスLightweight Zoom LWZ.3やAPS-C用シグマ18-35mm F1.8 DC HSM、50-100mm F1.8 DC HSMなどがぎりぎり使えました。人によってその許容範囲の差はあるかもしれませんが、これは凄くありがたいです。ソニーとしては、5Kスキャン4K60Pの推奨レンズをどのように考えていますか?

4Kスキャンモードと6Kスキャンモードの様子。Ver.2.0ではこの間に相当する5Kスキャンモードが追加された

近藤氏:技術的な面から申しますと、6Kフルサイズは横幅36mm、今回の5Kクロップは横幅約30mmになります。ですので、横幅27~28mmのAPS-Hサイズよりも若干大きいサイズになっています。横幅24mmのスーパー35mmのイメージャーよりも若干大きいスキャンモードですので、フルサイズ対応レンズ推奨としています。

賀川氏:公式的な推奨は、フルサイズ対応レンズです。ただ、世の中には、スーパー35mmレンズであっても、スーパー35mmよりも大きいイメージサークルを持ったレンズもたくさんあると思います。結果的にスーパー35mmレンズで、5Kスキャニングモードのときに四隅が暗くなったり、ケラレないで使えるものもあるという話は聞いています。

田村氏:僕が先ほど挙げましたツァイスLightweight Zoom LWZ.3やシグマ18-35mm F1.8 DC HSM、50-100mm F1.8 DC HSMは、確かに四隅に薄くケラレている影響は感じられました。ただし、真っ白な背景である際に若干気になる程度で、案件によっては気にすることなく使えるものではないかと思いました。

フルHD180fpsや瞳AFを新たに追加

田村氏:次に、フルHD 180fpsについて質問します。ハイフレームレート撮影のフレーム数はどこまで上がってもありがたいものです。今回フルHD180fpsに対応していただいたのは、非常にありがたいです。180fpsで撮ることによって、カメラ機能の制約や注意点などありますか?

近藤氏:機能的な制約は特にありません。120fpsを超えて180fpsになったからといって変わることはありません。単純に、120fpsから180fpsまで対応の幅が上がったと思っていただいて大丈夫です。

田村氏:今まで通りで問題ないのですね。次に瞳AFに関する質問です。FX9のオートフォーカスに関しては、現段階の状態でも結構満足しています。以前執筆した記事(「[OnGoing Re:View]Vol.76 ソニー「FX9」に最適なアクセサリー&交換レンズ選び」)でも紹介した息子のズーム撮影の通り、信頼性が高いオートフォーカスだと僕は思っています。あのときはシグマレンズでテストをしましたが、あのぐらいのオートフォーカスがFX9のようなカメラで実現できるのは本当に有益だと思います。そこにVer.2.0ではさらに瞳AFが追加されて、ありがたいことこの上ないというのが正直な感想です。

ちなみに瞳AFは、カメラマンからの要望が高かったのでしょうか?

賀川氏:ご要望は結構ありました。α7含めた一眼カメラ系の動画撮影ではすでに瞳AFが実現しており、業務用の映像機器でも瞳AFを搭載しないのか?というお問い合わせを多くいただきました。

実は発売前までは、FX9クラスやFS7クラスはもう少しマニュアルでフォーカスを調整したり、もしくはカメラマンの意図をもって被写体にピントを合わせる使い方のほうが多いのではないかと予想していました。しかし、そうしたご要望を受けて、αシリーズの持つ最新のオートフォーカス技術を、FX9にも搭載しました。

田村氏:瞳AFは、左右選択できますか?

近藤氏:左右選択の機能は用意していません。動画の場合、必ずきちんとピントが合っている状態で撮られないといけません。そのため、誤って隠れやすい目の方を指定してしまって、それが隠れたためにフォーカスができないという事態を防ぎたいと考えて、搭載していません。

基本的に2つとも目を検出した場合は、できるだけ手前にあって隠れる恐れがない瞳を優先してフォーカスが合うようにコントロールしています。ただ、今後もニーズがあれば、左右選択対応も検討していきたいと思っています。

田村氏:将来的に、瞳AFや顔認識AFは180fpsのハイフレームレート撮影でも動くようになるものでしょうか?

近藤氏:180fpsはスロー&クイックモーションなので、オートフォーカス機能、オートアイリス機能、オートシャッター機能は無効になります。処理時間といった技術的な課題はありますが、お客様の声も伺いながら、将来的なバージョンアップなどで検討を続けていきたいと思います。

田村氏:ちなみに、瞳AFは頭部がすべて写っていない状態でも瞳の形として認識できますか?また、このご時世なのでマスク着用での撮影が結構あり、色々なメーカーさんのカメラを使う機会があるのですが、マスクのせいで顔検出ができない、顔が検出できないから瞳を検出できない、と言ったケースがいくつか見られました。FX9はどこまで対応できているのでしょうか。

近藤氏:頭部がすべて写っていない状態ですが、顔を認識した後に瞳を認識して、瞳を追従する構造になっています。瞳AFはアップになっても、目にきちんと合うように考慮して設計していますので、大丈夫だと思います。

マスクを装着した顔については、どこまで正しく認識できるか具体的に検証してみないとわかりませんが、今後も機能向上の検討を進めていきます。

田村氏:ミラーレス一眼のαシリーズの技術を転用してFX9を強化していくのは大変ありがたい話です。コロナ禍で撮影を行う中でマスク顔やフェースガードをした状態でも、人間の頭と認識できるとより便利になりますので、ご検討をいただければと思います。

タッチスクリーンによる設定変更が可能に

田村氏:次はメニュータッチオペレーションについて質問します。Ver.2.0が発表されたときに、このモニターがタッチパネル対応モニターだったことに大変驚きました。実はこの機能、発表を見てかなり期待しており、これができることによって大幅に操作性が向上するのではないかと思いました。タッチメニューオペレーションを実現するうえで、特に意識されたところはありますか?

森本氏:今からカメラを始める方はスマートフォン世代であることを意識しました。タッチパネルの中でも静電容量式と呼ばれるスマートフォンと同じ技術を採用しており、ドラッグやフリックも可能です。

これまで、コンシューマーではタッチパネルを搭載していましたが、業務向きではないという風潮もありました。ですが使う方の「当たり前」が変わってきているので、業務用の世界にも積極的に取り入れていこうと考えました。 もともと業務用のカムコーダーには、ステータス画面が用意されています。この画面で設定変更ができたらスムーズに作業が進むのでは?業務効率を上げるためにはどうしたらいいのか?を考えました。

田村氏:個人的には、タッチパネル機能を開放してくれるだけで、驚きと感謝でいっぱいです。しかし、現段階の試作機を実際にさわってみると、最近のスマートフォンのタッチパネルに比べてスクロールなどに少しラグを感じました。設定のページをめくる際に若干ねむいかなという印象を受けます。このへんは、積極的に改善していただきたいと思いました。

また、タッチメニューオペレーションを実現したことによって、FX9用の大型モニターがほしいと思いました。開発される予定はありますか?

賀川氏:今のFX9に対して、後発として大型のモニターは難しいと思われます。現在のビューファインダーにはアイピースを取り付けられますが、それを使ったときの最適なサイズで今の3.5インチになった経緯があります。アイピースに入っているレンズなどを加味したうえでのサイズなのです。

撮影の際に、太陽の照らされる屋外でもきちんと視認性よく、カメラが捉えている映像を確認できることが、カメラにとって一番大事という前提でアイピースを同梱して設計されています。

ただ、田村さんにご指摘いただいた直感的な操作性を重視するならば、おっしゃる通りだと思います。いまの大きさでは小さいし、反応はどうしてもスマートフォンと明確な差があるのはご指摘いただいた通りだと思います。これも含めて将来、技術やデバイスの面で、商品企画・設計共に、検討させていただきます。

田村氏:ありがとうございます。ちなみにタッチパネルでオートフォーカスのポイント選択も可能でした。現場でもフィックスのシーンや、ちょっとしたインサート撮りなどで、フォーカス移動をタッチAFでタイミングをコントロールすることができそうです。メインカットではマニュアルフォーカスを活かす機会が多いと思うので使用頻度は減りますが、アクセントとして使う映像を撮るときはFX9クラスのカメラでAFができることがかなり役に立つと思います。

制作でも記録でもいろんな選択肢で使えるカメラ

田村氏:カメラマン側の視点から5K記録や6K記録などの要望をさせていただきましたが、ユーザー側からすると、FX9はいろんな選択肢が用意されているところが大変ありがたく感じています。「映画の現場」「ドラマの現場」「WebCM」「ドキュメンタリー」など、大きな企画から小さな企画まで、色々な場所で使われるカメラだと思います。今後も機能の選択枝をさらに増やして、さらに色々な現場で使いやすいようにしていただけるとありがたいです。

賀川氏:FX9はVENICEの持つ表現力、αの最新のオートフォーカステクノロジー、FS7シリーズの使い勝手という、ソニーが持つ技術を結集したモデルになります。われわれも一台三役などの意味としてマルチパーパスカメラと社内で呼んでいますが、いろんな用途に使われることが期待される、求められるのがFX9ということですね。

田村氏:そうですね。恐らく僕が言っていることは、VENICEを使うような現場ではちょっと違う部分がいくつかあると思いますが、FX9は真のマルチパーパス、どんな現場でも使われるカメラだと思います。僕はFX9を制作案件でも使っていますし、少々オーバースペックで予算度外視な使い方なんですけれども地元の公民館で子供たちの勉強の成果を披露する際の記録用カメラとしても使用しています。

小さい中にものすごい機能を詰め込んだミラーレス一眼とは役割が違って、FX9は信頼性を持って回し続けられる、かつ高画質で収録できるという、今の時代に合っているカメラだと僕は思っています。普通の記録だからFX9を選ばないということではなく、色々なことが許すならば記録だってFX9を使用して高画質で撮って良いのではないか?選択肢の一つに加えることができて良いのではないか?と思っています。贅沢な使い方であっても、自分の裁量が効く現場であれば、どんどん使っていきたいと思います。

賀川氏: いろいろな場面で使っていただけると伺って、こんな嬉しいお言葉はないですね。われわれはそれを忘れずに、今後とも商品を開発してまいりたいと思います。

田村氏:ありがとうございます。

FX9対応リグ選び×2020年8月版

txt:田村雄介 構成:編集部

本対談ではあらかじめファームウェアアップデートが施されたFX9を送ってもらい、自分なりの動作チェックやテストをしてソニーさんとの対談に臨んでいます。対談が終了した後、本体返却前に本記事用の写真撮影に取り掛かるといった流れのため、今回は自前のFX9と並べて写真を撮ることができました。

写真を見ていただければわかりますが、前回のレビュー時からリグ周りの現物が少々増えています。前回のレビュー時にはSHAPE一本勝負といった感じでしたが、あれから色々と動きがあって、国内代理店も増え入手が容易くなってきたTILTAやSmallRigなどのそこらへんが気になってるカメラマンもいらっしゃるのではないでしょうか?おまけ程度ではありますが、本稿の趣旨から外れない程度にご紹介したいと思います。

■TILTA:Sony PXW-FX9用カメラケージ

まずはTILTA。一番気になっていたのはリアユニットの有効性。これが上手く機能してくれれば…。

(01)スライドユニットを最大限広げてバッテリーを出し入れしてみよう…どうだ!!

(02)成功!!これならホットスワップ運用も大変楽になる。

(03)本体への電源供給ケーブルはリアユニットを最大限動かした状態でも問題ない長さのため、もちろん本来の目的であるバランス取り用途で使うこともOK。

以前から話題になっているフォローフォーカスユニットのNucleus-Mも技適対応の準備をしているところで、TILTAのFX9周りは今後いろいろと捗りそうな雰囲気が強く感じられます。

■SmallRig:Sony FX9用ハーフケージ 2912

次にSmallRig。ここ最近のSmallRigからは実に安定感を感じます。後から別メーカーのケージ買ってもいいから、まずはSmallRig買っておけば一安心!と価格帯の枠を飛び越えた、完全に「安くて良いモノ」なメーカーになりつつあります。軽くて安くて使いやすいので、悩む前に購入。SmallRigもリリース予定のFX9用アイテムがまだまだあるようなので、こちらも今後に期待大です。

本当にごくごく簡単な紹介ではありますが、周辺機器周りもFX9自体の熟成とともにじっくり見守っていきたいなーと、今宵もクレジットカードの利用枠とにらめっこな日々が続いていくのでした。

txt・構成:編集部
Vol.08 [Camera Preview 2020] Vol.10

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[ DATE : 2020-08-31 ]
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