txt:江口靖二 構成:編集部

LGがイメージするニューノーマルの世界観とは

CES2020において、LGはプレスカンファレンスに加えてCES Spotlight Sessionとして「LG Future Talk」を行なった。登壇したのはLGエレクトロニクスの社長で、CTOのI.P.Park氏である。モデレーターは役者やモデルのAmy((Hayashi)Aleha氏だ。

セッションにはCES主催社であるCTAのCEO Gray Shapiro氏もリモートで参加した。オンライン開催となったCES2021とLGの目指すものは同じであり、共にイノベーションを推進していこうとエールを送り合った。またPark氏はShapiro氏の著書を紹介するなど、リップサービスも欠かさなかった。

CTAのShapiro氏の著書を紹介するPark氏

はじめにPark氏は、COVID−19によるパンデミックは、「我々にニューノーマルに対しての新たなイノベーションを加速させるための機会を与えてくれた」と、前向きに捉えた上で話し始めた。

「LG Future Talk」は、LGがイメージしているニューノーマルの世界観を示す内容となっていた。そのための直接的なプロダクトとして、「LG PuriCare」というマスクを開発した。これは2つのファンを内蔵し、ウイルスの増殖アルゴリズムを分析して呼吸をサポートするものだ。他にもUV-C LEDライトを照射しながら家や飲食店、ホテルを自立して動き回るロボットを紹介するなど、パンデミック対応製品の紹介からスタートした。

LG Puri Care
左右に2つのファンを内蔵している
自走式のUV-Cライト

こうしたパンデミックを受けてPark氏は「ニューノーマルにおける新たなイノベーションはLG自社のみでは実現不可能であり、大企業、スタートアップ、さらにはたとえ競合であっても、コラボレーションをしながら進めていくべきである」と語った。

オープンイノベーションをパートナーと共に進めると語るPark氏

こうしたコラボレーションは、ThinQアプリからスタートさせるという。当初のThinQアプリは、自社の家電製品のコントローラーでしかなかったが、今後はデジタルライフスタイルプラットフォームとして位置付けられている。たとえばオンラインストアで消耗品を購入できるようになっているが、今後はエコシステムの核となるという。

LG ThinQ Appはオープンイノベーションプラットフォームの中核と位置づける
ThinQアプリは家電コントローラーからライフスタイルプラットフォームへ

具体的には、冷蔵庫の中の状況、すなわちどんな食材が残っているのかを認識し、そこから個人の特性、ダイエット食とかを考慮した料理メニューをレコメンドしてくれる。また選択したメニューを作るために足りない食材をそのままThinQアプリから購入することもできるようになる。

冷蔵庫内の在庫をAIで認識
中身はThinQアプリでどこからでも確認ができる
手持ちの食品から料理メニューをレコメンドして、足りないものをオンラインで購入

さらに、ミールキットを提供するシカゴベースのスタートアップであるtovalaとも協業していく。tovalaのミールキットにはQRコードが添付されており、これをThinQアプリで読み込むとスマートオーブンに送られ、最適な調理を行なってくれる。

ミールキットを提供するtovalaと協業
tovalaのミールは一流シェフが監修し、食事制限などにも対応可能

またスマートミラーもコラボレーションによるエコシステム展開をしていくことを示した。鏡の前に立つと顔色などを判断し、タッチパネルディスプレイになっているミラーをタッチして医師のアドバイスを受ける例や、その日の気分に合わせたフェイスメイクをアドバイスしてくれる例、またファッションコーディネートをアシストする機能なども紹介された。

顔色などから健康状態を判断する
不安がある場合にはスマートミラーからそのまま医師と相談することも可能。
その日のイメージに合ったメイクを選択
メイクをアシストする機能
ファッションコーディネートもアシストしてくれる

続いてモビリティに話題が移り、移動中の車がオフィスになったり、エンタメ空間になったり、時には仮眠スペースになる。自動運転を見据えた「車内で何をするか」については、ここ数年のCESで各社から示されたコンセプトの域を出ておらず、具体性やそのニーズについては残念ながら新たな話を聞くことはできなかった。

移動中のクルマの中でミーティングをする
移動中?の車で仮眠もできる

最後に、前日に行われたLGのプレスカンファレンスでさり気なく紹介された、サイズが変わるスマートフォンに採用されると思われる「Rollable Technology」にも言及した。LGはCES2020で巻取り型のOLED TVを発表しているが、それのスマートフォン版である。

内容自体について具体的な言及はなかったが、タッチ機能を持った巻取り型OLEDのようで、2021年の早い時期に登場すると語った。さらにこのRollable Technologyは「これまでの経験を再定義し、再形成するもので、私達の基本的な生活を再構築するものだ」と語った。

ディスプレイを巻き取ってサイズが可変できるスマートフォンはまもなく正式発表
Rollableディスプレイの意義を語るPark氏

今回の「LG Futere Talk」全体を通して感じたことは、パンデミックを契機にしてさらなるイノベーションを進めていこうという強い意思が伝わってくる内容だ。具体性や実現性に疑問が残るものがあるのは事実だが、パンデミックそのものへの対応、食という根源的なことに対するオープンイノベーションは具体的であり、時間や手間を削減してくれる。Rollable自体は果たしてどれだけのイノベーションなのかという意見もあると思うが、ディスプレイの大きさや形状を変えることができるという、既成概念を超えていこうという意思は明確であり、決して壮大な未来物語ではないが地に足がついたプレゼンテーションであったのではないだろうか。

「LG Future Talk」は一般公開されている。是非この時期にご覧になることをおすすめする。

txt:江口靖二 構成:編集部


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