PRONEWS

  • imgABOUT
  • imgTWI
  • imgFB
  • imgYTU
  • imgInstagram
  1. トップ
  2.  > 
  3. 特集
  4.  > 
  5. [SXSW2021]Vol.02 XRでイッキ見必至!アルゼンチン発短編映画「4 Feet High」を見逃すな!
Special

[SXSW2021]Vol.02 XRでイッキ見必至!アルゼンチン発短編映画「4 Feet High」を見逃すな!

2021-03-19 掲載

SXSW

txt:長谷川朋子 構成:編集部  VR内写真:ぴちきょ(VRジャーナリスト)

世界最大級の映画、音楽、テクノロジーの祭典「SXSW」初のオンライン版が今週16日に開幕した。今回の目玉は間違いなくXR開催だ。VRヘッドセットのOculus Quest2を装着すれば、目の前にバーチャルのオースティンの街が広がっている。

SXSW2021

そこでVR制作の隠れた名作に出会うことができた。アルゼンチンのクリエイターによるその作品のタイトルは「4 Feet High」。「ディサビリティ」と「アイデンティティ」がテーマの青春コメディをVRで見るべき理由がある。

車椅子に乗る青い髪の17歳の美少女ファナが主役の青春コメディVR映画

今年は米オースティンからオンラインで開催中のSXSWでバーチャルの祭典が展開されている。世界でも有数のイベントがXR開催されるとあって、映像コンテンツビジネスや作品解説を専門とする筆者もテック弱者ながらOculus Quest2に初トライし、おぼつかない操作でバーチャルのオースティンの街に飛び込んだ。

SXSW伝統の音楽ライブやセッション、ネットワーキング等の体験がソーシャルVRプラットフォームの「VRChat」内に作られたSXSWワールドで可能にしている。対応作品数は限定されるが、フィルムスクリーニングも行われ、オースティンの街中にあるシアターで視聴した過去のSXSW体験が蘇ってくるのだ。

そんななか、出会ったのがアルゼンチンのVR短編映画シリーズ「4 Feet High」だった。VR作品と言えば、自然や動物、宇宙・科学のジャンルが多いが、この作品は違った。車椅子に乗る青い髪の17歳の美少女ファナが主役の高校を舞台にした青春コメディだったのである。見始めた瞬間からVRらしい主観的なカスタムメイドの視点でドラマの世界に入り込んでいく。

そして、実生活でも車椅子生活の主演女優Marisol Agostina Irigoyenの吸い込まれそうな目力に惹かれる。インディペンデント映画の祭典、サンダンス映画祭で今年、公式セレクション作品としての実績を持つ実力派であることに納得。毎エピソード約10分の4話で構成される短編映画シリーズを、VR酔いを忘れるほどにイッキ見した。

4 FEET HIGH
実際にVRで視聴体験

見るべき理由は親しみやすい青春物語に乗せながら、VR制作が活かされた演出とアニメーションを駆使したポップな映像美から、唯一無二のオリジナリティを作り出していることに集約される。例えるならば、Netflixで人気のティーン作品「セックス・エデュケーション」のトレンド要素と、「エターナル・サンシャイン」を代表作に持つフランス人監督のミシェル・ゴンドリー作品のような没入感、巨匠スタンリー・キューブリックのような色彩美が組み合わされている。

4 FEET HIGH

ストーリーは転校したばかりの高校で主人公のファナが自我を追求しながら、性に目覚め、「今こそ性教育が必要だ!」と抗議する学生グループに巻き込まれていくというもの。ファナと同じ目線で撮影されていることもこの作品のユニークさのひとつで、VRで視聴するとさらにファナの息づかいを感じる距離感がある。

それによって、感情移入しやすい。だが、そんな珍しさに気を取られる以上に、「ディサビリティ」と「アイデンティティ」2つの明確なテーマが芯にあることで、思考に誘う作品として昇華させている。力強い作品であることを間違いなく実感できる。

障碍者セクシュアリティに一石を投じる女性監督コンビ

制作したのはアルゼンチン在住のインディペンデントの監督、脚本家、オーディオビジュアル・プロデューサーであるMaría Belén Poncioと、自身も障害のあるRosario Perazolo Masjoanの女性コンビの若きクリエイター。VR監督はアルゼンチンのVR制作集団360 Argentinaに所属するDamian Turkiehが務めた。フランス/ドイツのテレビ局ARTEも出資し、フランスとアルゼンチンの合作になる。

社会にインパクトを与え、ジェンダーの視点を持つアートコンテンツを生み出すことに拘るMaría Belén Poncio監督と、障害者のセクシュアリティに一石を投じることを信じ、メガホンをとったRosario Perazolo Masjoan共同監督のクリエイティビティが炸裂するシーンが満載であることも保証する。

それは記憶に残るシーンに象徴される。車椅子を持ち上げながら、段差の先に向かったポルノショップでの一場面や、車椅子のベルトをひとつひとつ外す初体験、学校のホールでファナを含む高校生男女がジェンダーを越えて戯れる締め括りに至るまで、これまで描かれていないような視点がある。VRの没入感とラテンミュージックとコメディタッチの軽さも加えられ、文句の付け所がないぐらいだ。

SXSW2021

SXSW参加者はSXSWオンラインXR期間中、ワールドにあるミュージアム・ギャラリー「The Contemporary Austin」を目指して欲しい。オースティンに実際、足を運んだことがある人はコングレスアベニューにあるそれとの再現性にまず驚くかもしれない。

SXSW2021

2階のギャラリー・ルームに行くと、映画ポスターが並ぶ中に「4 Feet High」のポスターがある。その前に立って手持ちのコントローラーを操作すれば、シアタールームにワープ、ストーリーが始まる。

SXSW2021

シアタールームに一緒にジョインできる参加者がもしいれば、感想を言い合いながら、感動を分かち合える瞬間をバーチャル空間で共有することもできる。オンライン開催ながら、オースティンのシアターにいる気分になること間違いない。

SXSW2021

サンダンス映画祭でも注目され、SXSWでも「4 Feet High」をオススメ作品に挙げる参加者は多い。コロナ禍によってホームエンターテインメントに目が向けられている今だからこそ、VRコンテンツが浮上し、日の目を浴びた作品とも言える。VR体験を始めるきっかけを作るほどの力も持っている。ファナの物語はまだ無限にあるようで、シーズンが続いていく作品になっていくことにも期待したい。

txt:長谷川朋子 構成:編集部


◀︎Vol.01 [SXSW 2021] Vol.03▶︎

[ Category : , ]
[ DATE : 2021-03-19 ]
[ TAG : ]

この記事に関連する記事一覧

[SXSW2021]Vol.07 ストーリーやテーマをVRで「伝える」Virtual Cimemaの多様性を説く

txt:伊藤よしこ 構成:編集部 門戸が開かれたVR 2021年のSXSWは完全オンラインで開催されたため、Virtual Cinemaの作品もオンラインで観ることができた... 続きを読む

[SXSW2021]Vol.06 人々を平等に扱うメタバースの魅力

txt:西村真里子 構成:編集部 SXSWの特徴の一つは我々一人ひとりが次に向かうべき方向性を示してくれることにある。北斗七星を見つければ北に進むことができるように、SXSW... 続きを読む

[SXSW2021]Vol.05 今年も出会えたSXSWらしさの映画たち

txt:伊藤よしこ 構成:編集部 2021年のSXSWは3月16日から20日(米テキサス州オースティン現地時間)の5日間、「SXSW online 2021」と題して完全オン... 続きを読む

SXSE2021 vol04 VR

[SXSW2021]Vol.04 SXSW Online XRの海を泳げ!この世界はもうすぐそこに

SXSW online 2021開催の目玉は、XRをふんだんに取り入れた事。サイバー空間にいつものオースティンの街が再現されると聞き色めき立った。毎年SXSWに参加しエキスパートも... 続きを読む

[SXSW2021]Vol.03 注目カンファレンステーマ「変革するエンターテインメントの世界」見逃せない3本はこれだ!

txt:長谷川朋子 構成:編集部 世界最大級の映画、音楽、テクノロジーの祭典「SXSW online」で配信されたカンファレンスの中で、注目すべきテーマのひとつが「変革するエ... 続きを読む

記事のタイトル

[SXSW2021]Vol.01 "You of Things"あなた自身がコネクテッドになる時代へようこそ!

txt:西村真里子 構成:編集部 さあ、いよいよ始まったSXSW Online 2021。さすがはテクノロジーとカルチャーのトレンド発信基地、オンラインイベントでもインターフ... 続きを読む

[SXSW2021]Vol.00 いよいよ開催SXSW online 2021。完全オンライン開催に最適化

txt・構成:編集部 今年もSXSWの季節がやってきた。昨年はギリギリまで開催とされていたが結果オンライン開催となった。そして2021年は34年の歴史上初の完全オンラインとな... 続きを読む

[SXSW2019]Vol.09 これからの世界と自分を見据えるためのSXSWの歩き方

txt:曽我浩太郎(未来予報) 構成:編集部 SXSWの「未来が見える場所」からの脱皮 毎年SXSWインタラクティブイノベーションアワードでは「ブレイクアウトトレンド」とい... 続きを読む

[SXSW2019]Vol.08 映画でSXSWを勝ち抜くためには?勝利の掟を知る

txt:Yoko HIRANO 編集部 | 構成 編集部 SXSWは、世界でも注目されるべき映画祭のひとつ 世界に数多くある映画祭でもSXSW(以下:SXSW=映画祭)は異... 続きを読む

特集記事

ARRI, my love ARRI, my love
映画機材界の雄であるARRI。日本での販売拡大に注目されるARRIの歴史から実用例までフィーチャーする。
SXSW2021 SXSW2021
3/16~20日にオンライン開催となった「SXSW2021」をレポートする。
Virtual Production Field Guide Virtual Production Field Guide
国内のバーチャルプロダクションの展開と、映像制作ワークフローへの影響について紹介
CP+2021 CP+2021
オンライン開催のCP+2021で発表された新製品をレポート。
新世紀シネマレンズ漂流:NewTrend 2021編 新世紀シネマレンズ漂流:NewTrend 2021編
2020年末から2021年に発売されたレンズ新製品をピックアップする。
映像基礎講座 映像基礎講座 Episode 2
2020年8月に公開された特集「映像基礎講座」続編。引き続き映像の基本や基礎知識を学ぶ。
CES2021 CES2021
オールデジタルのオンライン開催となったCES2021をレポートする。
年末イッキ読み! 年末イッキ読み!
2020年に話題になった製品の特集やコラム記事をまとめて振り返る。
PRONEWS AWARD 2020 PRONEWS AWARD 2020
激動の1年となった2020年の映像業界を、PRONEWS編集部が総括する。
2020年11月特集:[再現:Inter BEE 2020]-Web Trade Show- 再現:Inter BEE 2020-Web Trade Show-
11月18日(水)からオンライン開催されるInterBEEを解説する。
Inter BEE 2019 ぼくらのEDIUS X
約3年ぶりのメジャーバージョンアップとなる「EDIUS X」の魅力を紹介。
InterBEE 2019の歩き方 Broadcast & Cinema EXPO 2020
映像制作者、映像業界関係者向け情報イベント配信番組。
ATEM WORLD ATEM WORLD
ラインナップ充実のATEM Miniシリーズの選び方や使いこなしをご紹介。
SIGGRAPH2020 SIGGRAPH2020
オンライン開催されたVFXの祭典・SIGGRAPH2020をレポート。
映像基礎講座 映像基礎講座
映像の基本や基礎知識を学ぶ。映像制作初心者はもちろん、熟練者ももう一度初心に立ち返ろう。
  1. トップ
  2.  > 
  3. 特集
  4.  > 
  5. [SXSW2021]Vol.02 XRでイッキ見必至!アルゼンチン発短編映画「4 Feet High」を見逃すな!