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3年ぶりにMFTのハイエンドモデル登場

パナソニックは、「DC-GH6」(以下:GH6)の開発発表や、新製品「DC-GH5M2」(以下:GH5 II)の発表、Gシリーズのファームウェアアップデート、レンズの新製品発表を行った。GH5 IIは2021年6月25日発売、希望小売価格はオープン、市場想定価格は以下の通り。

■GH5 II

  • ボディのみ:税込194,000円前後
  • 標準ズームレンズキット(LUMIX G VARIO 12-60mm付属):税込219,000円前後

現在LUMIXシリーズは、ハイエンドモデルとして2019年に発売したフルサイズのS1Hと、マイクロフォーサーズのGH5とGH5Sをラインナップ。一見すると描写力や高感度に優れたフルサイズのS1HがLUMIXのフラグシップ機と思われるが、パナソニックはフルサイズとマイクロフォーサーズに上下関係はないとしている。マイクロフォーサーズであってもS1Hを超える機能も含めて開発を進めているという。

さて、気になる部分は、GH6の開発発表とGH5 IIの正式発表だ。久々にマイクロフォーサーズの新製品でハイエンド機の発表は嬉しいが、2製品の違いに戸惑う人も多いもしれない。

2017発売のGH5は、ハイエンドハイブリッドミラーレスという位置づけで、静止画/動画両方に対応。かつ、業務で使える価格の中でできる機能を詰め込んだモデルだった。その結果、YouTuberたちからも無制限記録に注目が集まり、配信現場でも積極的に導入されているという。

それを踏まえて、フルサイズでも実現できない表現を求めるプロ向け業務機種と、コスト重視の利便性を追求したニーズに分かれるというのがパナソニックの見解だ。この求められる2つのニーズ実現のため、ラインナップを分けたのがGH6とGH5 IIだ。

■新商品GHシリーズ2機種の考え方

  • ビデオグラファー→さらなる高性能→GH6
  • Youtuber→GH5の利便性と評判→GH5 II

ユーザーとセグメントごとに二分したニーズに対応し、マイクロフォーサーズ新製品「GH6」「GH5 II」を発売

次世代エンジンと新開発イメージセンサーを搭載したGH6を開発発表

まずはGH6の開発発表から紹介しよう。2021年内に発売開始される見込みで、明らかにされている概要は以下の通り。

■LUMIX GH6商品特徴

  • 次世代エンジンと新開発イメージセンサー搭載
  • C4K60P 4:2:2 10ビットの時間無制限記録
  • 4K120P 10ビット HFR/VFR
  • 5.7K60P 10ビット

■発売

  • 2021年内

GH6の第一の特徴は、次世代画像処理エンジンプラットフォームの採用だ。GH6はまったく新しい画像処理エンジンプラットフォームを搭載。画像処理エンジンが代替わりするのはGH5発売以来で、実に4年以上ぶりとなる。

さらに全く新しいイメージセンサーを採用し、従来のフルサイズでもできない動画記録モードの実現を特徴とする。例えばCinema 4K 60P 4:2:2 10ビットの時間無制限記録実現は、S1Hの本体内部SDカード記録でも実現できない動画記録モードだ。

また、4K120P 10ビット撮影が可能で、120Pを記録するハイフレームレートとカメラ内でスローモーション化して記録するVFR(バリアブルフレームレート)記録機能の両方に対応。いずれも10ビットベースで使用可能。特にバリアブルフレームレートが10ビットで使えるのはGH6が初めてとなる。また5.7K 60P 10ビット高解像度モードも搭載。GH6は全く新しいイノベーションを起こす機種として登場予定だ。

価格は、グローバルプライスで2,500ドル前後を予定。GH5ボディの値段と比較すると、わずかに上がる価格帯での登場となりそうだ。

AF、カラーサイエンス、PD対応などGH5の不満を解消したGH5 II登場

最新のカラーサイエンスに対応

GH5 IIは、2021年6月25日発売。市場想定価格はボディのみが税込194,000円前後。GH5発売時のボディ単体の実勢価格税込260,000円前後から、6万、7万円安くなる想定価格が設けられている。スペックと照らし合わせて考えるとリーズナブルといえるだろう。

外観はGH5と全く同じで、ほぼ見た目は一緒。ただし、「II」の名称からしてほぼマイナーチェンジと思われるが、中身のデバイスはほとんど新しくなっているという。

まず基本性能では、画作りが強化されている。GH5はカラーサイエンスは一世代古く、フルサイズSシリーズのLog撮影以外では若干のズレがあった。GH5 IIでは最新世代を採用し、LUMIX S5に搭載している新しいフォトスタイルを踏襲。2021年4月6日公開のS5アップデートで搭載したL.クラシックネオやL.モノクロームSとモードなどにも対応する。

■GH5 IIに搭載のカラーサイエンス
GH5で未対応だった最新のカラーサイエンスを搭載

  • シネライクD2(ダイナミックレンジ優先のシネマルック)
  • シネライクV2(コントラスト優先のシネマルック)
  • V log L(グレーディングに適したLog撮影モード)
  • Lクラシックネオ(カラーフィルム風のノスタルジックな色合い)
  • LモノクロームS(ポートレートに適した柔らかなモノクロ)
  • フラット(コントラスト低めの柔らかな効果)

フレアを抑制するARコーティング対応

イメージセンサーは、GH5と同じ有効画素数20.3Mを実現したLive MOSセンサーを採用。感度等の特性に差はないが、新しくARコーティングに対応する。GH5はフレアが入ると予期しない結果になることがあったが、GH5 IIでは効果的にフレアを抑制している。画像処理エンジンは、S5やBGH1と同じ最新のヴィーナスエンジンを搭載。これによって動画の記録モードが増えたり、オートフォーカスのシステムを一新している。

従来機からセンサーのコーティングやエンジンをアップデートし、基本性能を向上している

5軸6.5段の手ブレ補正に対応

GH5では、周囲の温度が40°であっても基本的にはオーバーヒートで止まらないのを特徴としており、GH5 IIでもこの特徴を継承する。オートフォーカスは最新のリアルタイム認識AFに対応し、人の頭部の検出、人体の検出、動物の検出にも対応している。

手ブレ補正に関しては、GH5の5軸5段から5軸6.5段に進化。また、S1Hと同じ動画補正用アルゴリズムを搭載し、パンやチルトの動きを解析しながらべたっと止めた際に、より戻しのような違和感のある動きを抑制する働きも兼ね備えているという。

手ブレ補正を5段から6.5段に強化。また、S1Hの動画用補正アルゴリズムに進化

メニュー周りは、GH5 IISシリーズと同じメニューを採用。ボタンはほとんどGH5のレイアウトを踏襲している。

3連ボタン(WB/ISO/露出)やジョイスティックなどのレイアウトはGH5を踏襲

輝度は約1.5倍明るくなった背面の液晶モニターに対応

背面の液晶モニターも強化しており、輝度は約1.5倍明るくなった。特に屋外撮影で効果を発揮する。色域は広くなり、一般的なスマートフォンと同等の色域を実現可能。GH5では緑色や赤が少しくすみがちだったが、鮮やかに見えるようになる。

自撮りにも便利なフリーアングルモニターを搭載。従来比約1.5倍の明るさで屋外でも見やすくなった

ファインダーは368万ドットOLEDファインダーで、GH5から変わっていない。スペック的には今の時代でも問題のないスペックといえるだろう。

2基のSDカードスロットを搭載。ボディは防塵、防滴、耐低温の堅牢性を引き継ぎでいる。写真撮影に関しては、明るく変化した部分を合成して1枚の写真として記録するライブビューコンポジットを今後のファームウェアアップデートで対応予定としている。

V90対応SD×2

C4K60P 4:2:0 10ビット内部記録に対応

記録モードは、GH5やGH5SのC4K60P 4:2:0 8ビット内部記録対応に加えて、GH5 IIではC4K60P 4:2:0 10ビット内部記録に対応。Cinema 4Kも含めたところもポイントだ。新しい画像処理エンジン搭載により、新しい記録制御も開放されているという。

また、GH5ではHDMIからは4:2:2 10ビット出力を可能にしていたが、「本体内部のSDカード記録」または「HDMIの外部出力」どちらかしか選べなかった。GH5 IIでは、内部記録しながら4:2:2 10ビット出力を可能としており、外部モニターと本体記録でバックアップが可能としている。

LUMIXフルサイズモデルの4K60Pは、すべてAPS-C領域もしくはスーパー35mmの領域にクロップされるが、GH5 IIの4K60 10ビットは、クロップされずにフル画角撮影が可能なのを特徴としている。

また、GH5では、別売のアップグレードソフトウェアキー「DMW-SFU1」購入でV-Log Lに対応としていたが、GH5 IIでは本体にプリインストールされている。GH5 IIボディの実勢価格はGH5よりも低く抑えられているが、この価格には別売のV-Log Lも含まれると考えてよいだろう。

S1Hで評価の高かった赤枠表示や動画用コントロールパネルを搭載

GH5 IIは、S1Hで評価の高かったメニュー系のアシストを継承している。赤枠表示、フレーム表示、電子輝度計のスポット輝度やウェーブフォーム、ベクトルスコープをS1Hから譲り受けている。また、S1Hではレイアウトを整理して視認性と操作性を向上させた動画用コントロールパネルをGH5 IIでも対応している。

■充実の撮影アシスト機能

  • V-Log Lビューアシスト
  • フレーム表示
  • 赤枠表示
  • アナモフィックデスクイーズ
  • ゼブラパターン(2つ同時表示)
  • スポット輝度メーター

待望のPD充電に対応。GH5と同じバッテリーDMW-BLF19が使用可能

GH5は無制限記録対応だが、バッテリーの持続時間に悩まされることがあった。GH5 IIではGH5の「DMW-BLF19」よりも18%大容量化を実現したS5と同じバッテリー「DMW-BLK22」に対応。さらに、容量は少ないがGH5のDMW-BLF19がGH5 IIでも使用可能。すでに複数のDMW-BLF19を持っているユーザーには朗報だ。

また、GH5 IIはUSB充電/給電(USB PD対応)に対応。フル電源量をDCカプラー「DMW-DCC17」やUSBから給電可能だ。ちなみにライブ配信では、熱暴走せずに時間無制限での配信が可能だが、給電しながらのライブ配信も行える。これは充電中にスマートフォンを使うような熱を持ちやすい条件となるが、それでもオーバーヒートせず時間無制限で使用可能。このあたりはGHらしい仕様といえるだろう。

フォーカスリングの回転角に対してピント移動量が選べるフォーカスリング制御に対応

また、フルサイズのSシリーズで評価が高いフォーカスリング制御だが、マイクロフォーサーズで初のMF(マニュアルフォーカス)の「リニア制御」に対応する。GH5 IIにはMFの際に回転角度に応じてフォーカスを動かす「リニアモード」と、フォーカスリングの回転速度に応じて加速度をつけてピントを移動する「ノンリニアモード」を搭載。シネマカメラ的な使い方が可能で、回転角度まで含めて制御できるのは他社メーカーにはない特徴だ。

ただしリニア制御はレンズ側でも対応が必要で、GH5 II発売までにレンズのファームアップを予定としている。最新バージョンにすることで、GH5 IIとレンズの組み合わせで機能が使用できるようになる。特に主要なズームレンズはほとんど対応予定で、これによって使い勝手が向上するとしている。

5G対応端末などと連携した無線ライブ配信に対応

GH5 IIのもう1つの大きな特徴は、無線ライブ配信だ。つまり、スマートフォンとカメラだけあれば配線等は一切不要でライブ配信が行えるのだ。これまで一眼の映像をライブ配信に載せるためには、キャプチャーボードに繋いだパソコンでOBSを稼働させ、そこから有線無線問わず自宅の回線に繋いだ状態が一般的であった。ワンカメで配信するにしても、これは必須である。

一方、GH5 IIではカメラとスマートフォンだけあれば、ケーブルを一切繋がずにライブ配信が可能となる。移動しながらのライブ配信も実現可能だとしている。

スマートフォンの役割は2つあり、1つがカメラに対して電波を分けるテザリング。2つ目がカメラのインターフェースだ。YouTubeやFacebookのアカウントをカメラの端末から操作してログインするのは大変困難な作業で、アカウント情報を一個一個手打ちしなくても、スマートフォンからポップアップで簡単にログインできるようになる。

また、有線のIPストリーミングにも対応予定で、カメラのUSB端子にUSBからLANに変換するアダプターを使うことで実現する。有線接続はファームアップで利用可能となる。無線ライブ配信の詳しい詳細については、本特集のVol.02で紹介予定だ。

G9とGH5Sはファームアップでオートフォーカス改善とRAW出力に対応

GHシリーズ発表と同時に一眼カメラ「Gシリーズ」のファームウェアアップデートの発表もあった。G9とGH5Sは機能強化、G100は機能修正のファームウェアアップデートを2021年6月9日に公開する。

今回のファームアップの目玉は、G9、GH5SともにAF性能の向上だ。S5と同等のリアルタイム認識AFが適用される。もう1つ、大きなポイントはGH5Sの動画RAWデータの出力対応だ。先日BGH1で初めてマイクロフォーサーズでのRAW出力に対応しており、GH5Sは2機種目の対応となる。RAW出力の仕様はBGH1と同じだ。

Gシリーズ ファームアップ項目

項目 概要 対象モデル
G9 GH5S G100
AF 基本性能向上 AF性能向上(頭部認識対応等による追従性・認識性能の向上)
1点AF時の自動認識対応
V-log L撮影時のAF性能向上(S5レビュー動画での指摘の対応)
動画 動画性能強化 動画RAWデータ出力対応
使用性向上 動画記録時の赤枠表示 対応済
動画縦撮判定 対応済
縦撮り動画時のON/OFF
フレーム表示(GH5Sはビデオガイドライン表示の進化) 対応済
その他 使用性向上 AC電源使用時のエコモード対応

25mm-50mmのズーム全域で開放値F1.7の大口径ズームレンズを開発発表

今回の一連の発表では、25-50mmの大口径ズームレンズの開発予告も行われた。パナソニックはズーム全域で開放値F1.7を実現した「LEICA DG VARIO-SUMMILUX」を2019年に発売し、映像系クリエイターから大好評だ。これに続く25mmから50mmのズーム全域で開放値F1.7のレンズを発売する。発売は今夏を目指して開発中だという。

ハイエンド機の魅力を幅広い層へ訴求

世界初のミラーレス一眼で4K動画撮影を実現した「GH4」や、4K60P動画記録を実現した「GH5」を発売してきたGHシリーズだが、GH5 IIでは4K動画記録や無制限記録の優れた機能を、より幅広い層へ訴求できる新製品となりそうだ。

GH6は開発発表の段階で詳細は明らかにされていないが、引き続きクリエイターを虜にするオンリーワン的なカメラの登場を期待したい。





[GH world] Vol.02