デジタルがもたらしたファイルベースのワークフローを押さえよう

開催2日目の今日も昨日に引き続き快晴に恵まれ、午前中からの出足も良かったようで、昨日の10485人を上回りそうな勢いだ。今年はユーロ危機による経済的な問題だけでなく、タイの大洪水や東日本大震災による生産拠点の消失という人類始まって以来の大惨事が相次いだが、復興へ向けての力強さがこの会場にはみなぎっているように思えた。

アナログの時代からデジタルへ、VTRが記録の主流だった頃はオフライン編集や1インチやD2への一本化という作業は当たり前だった。すでにノンリニア編集が広く普及し、ファイルベースワークフローにより一本化やキャプチャー作業から解放され、FCPのような編集ソフトがオフライン編集とオンライン編集の境界を無くしてしまった。撮影から完パケまでの道のりはみるみるうちに短縮化され効率化されている。編集システムも特別なことを行わない限り個人でも充分手の届く範囲になり、難しいといわれたH.264系のファイルフォーマットもリアルタイムで編集を行えるようになってきた。個人で行う編集作業はすでに完成の域に達したといえよう。ただ、テロップやCGなど個別のスタッフが共同で作業する場合やファイルベースで作業を行う上でのメタデーターの管理ではまだ決定打は無いようで、SMPTEなどが共通化に向けて規格化を進めている。ビデオの業界では馴染みのないアセットマネジメントをどのような形でワークフローに組み入れるかや過去の資産であるVTRの映像をどのような形でアーカイブし、ファイルベースとの整合性を取っていくのか。多種多様な制作形態が存在する以上ひとまとめにくくれない課題である。さて、開催2日目はファイルベースワークフローに関わる編集ソフトやファイルサーバーなどのシステムにスポットを当ててみよう。カメラ等に比べて非常に地味ではあるが外せないソリューションである。

Avid Interplay MAM
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映像制作のワークフローにおいて、素材の撮影場所などの情報のほか編集過程のファイルの管理、映像の権利関係といった情報が放送や販売を目的としたコンテンツの場合重要になる。従来はそれぞれのパートで管理していた情報を、Interplay MAMでは一覧することが可能だ。こうした情報はノンリニア編集でお馴染みのタイムライン状に一覧できるようになっており、映像のラインのほか、字幕や素材情報、コメントなども自由に配置することができる。また、Webクライアント上での閲覧が可能となっており、特別な端末を用意することなく運用することが出来る。

Square Box Systems社CatDV
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アスクが今月から取り扱いを開始したアセットマネジメントシステムで、銀行業務や金融業務システムの開発を行なっていた会社が開発したWebベースのアセットマネジメントソフトウェア。

ソースクリップや、その他あらゆるメディア資産を編集者にとって必要なプロパティと共にカタログ上に管理することが可能で、自動的にムービーや静止画のサムネイルを生成することが可能なほか、低解像度のプロキシムービー作成機能によってオフラインメディアのプレビューが可能。そのため、メディア本体がオフラインの場合でもカタログ上での検索や情報の閲覧が可能となっている。REDやAVCHD、XDCAMなどの多彩なメディアに対応しており、Avid ALEファイルなどのバッチリストやXML書き出しによるノンリニアシステムとの連携に対応している。また、Cache-AオプションによるLTOへのアーカイブ/リストア制御ができる。Standard、Professional、Workgroup、Enterpriseといった規模に応じた選択ができるようになっており、個人でも利用可能なスタンドアローンから大規模なプロダクションや放送局での運用が可能なネットワークまで対応できるようになっている。

朋栄MediaConcierge
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MediaConciergeは、各種メディアファイルを一元管理し、必要な形式に変換/出力を可能にするファイルベーストータルソリューションの総称で、インジェストやメタデーター付加、簡易編集、ファイル変換、検索や閲覧アーカイブ、進行管理、送出などに対応している。特定のフォーマットに依存することなく、各種ファイルを一元管理することが可能で、検索結果はサムネイル、メタデータのほか、プロキシデータでの映像確認もできる。また、添付ファイル機能によりWORDで作成した原稿やEXCELなどの表計算データのほか、PDFファイルなど素材に関連した各種ファイルをメールソフトのように添付ファイルとしてファイリングすることが可能。

Grass Valley STRATUS
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STRATUSは、制作ツールや機器コントロール、アセットマネジメントなどの機能を1つのインターフェースから操作できるようになっており、用途に応じた柔軟なカスタマイズが可能。 K2 Summitシリーズのサーバーやストレージ製品と組み合わせて使用することで、すべての操作が1つのアセットマネージメント用データベースによって管理され、用途やワークフローに応じて拡張することが可能。P2、XDCAMメディアのトリムやインポート、マージのほか、QuickTime、MXF、GXFファイルのインポートやエクスポートに対応。検索、オーガナイズ、タグ付けやファイルのアクセス権をユーザーごとに設定することができるほか、ライセンスとユーザーごとの使用可能ツールを集中管理可能。

ソニーMedia Backbone Sonaps
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Media Backbone Sonapsは、映像の取り込みから、編集、送出、アーカイブまで制作ワークフローにおける各プロセスや社内業務システムとの連携を可能にするMedia Backboneを元にニュース制作ワークフローに特化したコンテンツマネジメントシステム。誰がいつ承認するといったビジネスルールを設定できるほか、各プロセスのスケジュール進捗や機材などの使用状況をグラフで表示する「ダッシュボード機能」を搭載し、簡単に全体状況を把握することができる。

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