変わりゆく時代とともに

[InterBEE 2013]会場出口インタビュー

初日に引き続き快晴となり、天候に恵まれたInterBEE二日目。初日の来場者数は10,906人。例年と変わらない来場者数だ。あらゆる物事が目まぐるしく変わる昨今、ビデオ業界もその例外ではない。旧来からの伝承や継承、伝統も必要だが、変わるべきところは変えなくては進まないこともある。ビデオ機器はデジタル化やファイルベースが進むにつれ、コストが下がるものはどんどん下がっている。一方、人手にかかわるものやデジタル化やファイルベース化できないものは相対的に高価なものになっていく。そんなコントラストのなかで業界人は機材を選定し、仕事をこなしていかなくてはならない。

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新たな撮影スタイルを提案するキヤノンiVIS mini。一見するとメモカメラ的に見えるが、1920×1080で24Mbpsと実際の画質はなかなかの物。iOS、Androidの携帯端末からWi-Fi経由でモニターしたり設定が行える。本体だけでなくこうした端末に映像記録も可能

さて、ビデオ機器も正にそうした渦中にある製品の一つといえ、放送機器イコールかつてのように高価な物という時代ではなくなってきている。もちろんそれは機能性能的に使えるものでなくてはならない。数何円のカメラも市民権を得られる時代となり、キヤノンブースには9月に発売になったiVIS miniがブースに並んでいた。こうしたカメラはGoProに始まりJVCやソニー、パナソニックなどからも発売になっており、新領域のカメラといえよう。以前から放送業界での仕込みカメラは池上通信機やソニーなどが作っていたが、こうした新領域のカメラはレコーダーも機能も搭載されており、数百グラム、大きさも手の中にすっぽり入るサイズとなっている。気になる画質だが、広角単焦点のレンズで機能を欲張っていないせいかHDの大型ディスプレーで見ても大きな破綻はない。

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映像業界に新境地を切り開いたGoPro HERO3+。トイカメラ並みの価格だが、充分通用する画質をもっている。スキーやスケートボード、バイク、スカイダイビングなどスポーツ系から火が付いたが、最近ではミュージックビデオや放送番組でも使われている

スキーやスケート、自転車競技などでは競技者に直接取り付けたり装具に取り付けてもそれほど邪魔にはならないだろう。テレビ番組などでもアクションシーンなどで活躍しそうだ。何よりも軽くて小さく扱いも簡単で価格も安いので、企画次第ではこうしたカメラを使って面白い番組が作れるかもしれない。なによりも、今まで撮影できなかった映像を撮影できる可能性があるところが将来性を感じさせる。

スタンダートになったファイルベース化

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グラスバレーGV STRATUS。制作ツールや機器コントロール、アセットマネージメントなどの機能を1つのインターフェースから操作できるようにデザインされており、QuickTime、MXF、GXFなど様々なファイルをハンドリングできる。検索、オーガナイズ、タグ付けなどを行うことが可能

一方、ファイルベース化は様々なフォーマットやコーデックを生み出し、なおかつ大量な映像素材があふれるほどになってきた。いきおい、何らかの管理をワークフロー上で行わないと収拾がつかない事態を招いているだけでなく、フォーマットやコーデックの変換、SD・HDさらには4Kも視野に入れた相互変換も必要になり、機器間の接続を自由にアサインするシステムも必要となってくる。

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メディアファイルを一元管理し、必要な形式に変換/出力できる朋栄MediaConcierge。素材の取り込み、データベースによる一元管理、メタデータおよびプロキシデータによる検索・閲覧機能、アーカイブ / ライブラリシステムとの連携などが可能

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ドラッグ&ドロップするだけで簡単にバックアップができるソニーMedia Gateway。放送局などでもっと複雑な管理を行う場合はMedia BackboneやOPSIGATEなど規模や用途に応じたシステムが用意されている

今までは単体の機器を組み合わせてしのいできたが、総合的に解決する時代になりつつある。とはいっても放送局など大規模なシステムだけでなく、小規模なシステムもとなると難しい現状があると思う。こうした事態はいままでビデオ業界ではあまり経験がなく、国内ではその必要性あまりなかったが、アセットマネジメントシステムを初めとして様々なメーカーがソリューションを打ち出してきている。

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パナソニックのMedia Asset Management System。収録、編集、送出、アーカイブを統合的に管理することが可能で、映像のダイレクト再生、切り出しなどVTRより高速に行うことができる

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ルーター、アップ/ダウン/クロスコンバーター、FS、カラーコレクター、ベクトル/波形モニター、オーディオレベル調節など様々な機能を備えており、ネットを介してPCから簡単に設定することができるLAWO V_pro8(オタリテック)