PRONEWS

  • imgABOUT
  • imgTWI
  • imgFB
  • imgYTU

トップ > コラム > 岡英史 > [岡英史のNewFinder]番外編 Vol.02 ハイブリッド・スタビライザーの可能性 〜MoVIの魅力を探る!

News

[岡英史のNewFinder]番外編 Vol.02 ハイブリッド・スタビライザーの可能性 〜MoVIの魅力を探る!

2014-11-17 掲載

NewFindertitle_top_extra

スタビライザーは職人だけの分野なのだろうか?

NF-EX_vol02_EE_SET_01

先週公開したばかりのSteadicam編から、今回のMoVI編まで実は1ヶ月弱の時間が経っている。その間、嬉しいことに数回のSteadicam仕事の受注をいただいた。厳密には通常のカメラマンワークに付帯で完全にSteadicamオペレートとは異なるが、小さな一歩は踏みだせたかと思う。

何にせよ、所有していなければこの件も無かった事である。毎日バッテリー1パック分の練習は欠かせない。更にそこからズームを使ってのレンズワークも練習に取り入れている。ワイドからテレ側に来るだけで通常のワークも難しいが、Steadicamだと更に上下の動きも加わる為に尚更その難しさは倍増する。だからこそSteadicamはプロフェッショナルと言う分野が存在する。

MoVIの最重要課題。それは使用前の調整

ブラシレスモーターで3軸を制御しているMoVI。前にもコラムで書いたが筆者的にはこの手のスタビライザーが好きではない。理由は自分で100%のコントロールが出来ないからだ。しかし撮影で使用した際に、その可能性は十分に感じることが出来た。その魅力の一部とも言える3軸ブラシレスジンバルだが、操作に関してはSteadicamの様に難しい事を深く考える事もなく、オペレート可能な事が魅力。ただし、それは気をつけなくてはならない部分でもある。

何故なら人の導線が作るあいまいな動きをモーターでは制御出来ないのだ。ギリギリの部分で0か1かの判断をしているセンサー部分なので、カメラのバランスを取らないと微妙な動きを制御できない。この辺はMoVIのみしか使っていないとこのバランス感は解らないかも知れない。事実、最初にMoVIをオペレートした時は殆ど気にしてなかった。では、設定について見ていこう。この設定をしっかりとすることが、MoVIでの基本になる。

■MoVI使用前のカメラ調整
NF-EXTRA_EE_SET_03

1.まずはカメラを確実にセットをする。MoVI M5の場合、DSLRや小型カメラを搭載するので下のプレート1穴だけではなく、上のプレートのアクセサリーシューを使って上下で挟み込んで強度を出す。細かいブレはSteadicamでもMoVIでも同じだ。

NF-EX_vol02_X_SET_03

2.一番最初のX軸である前後方向の調整をプレートスライドで芯-芯に持ってくる。この時完全に運用状態でセッティングをしなければならない。良くありがちな失敗としてレンズキャップを付けたままのセッティングだ。この重さだけでもバランスは100%狂う。

NF-EX_vol02_Y_SET_03

3.次にY軸方向として横方向のバランス、つまり左右の傾き(ロール補正)を調整。この様なスタイルで行うと楽に感じる人も居るだろう。その場合X軸とY軸の調整はやりやすい所からで問題ない。

NF-EX_vol02_XY_SET_01

4.この時点でカメラとMoVIの上下関係のバランスを取り直す。この調整がMoVIケージ内でのカメラの最後のゼロバランスとなる。

NF-EX_vol02_Z_SET_03

5.最後はZ軸方向の調整になる。このハンドル部分はおざなりになりがちだが、ココがしっかりしてないと全体のバランスが出なくなる。機体をやや傾けて静止場所をハンドルの付け根の長さで調整をする。

これらの全てを調整することにより、どの角度でもカメラが静止状態になるのが理想だ。Steadicamの様なドロップタイム設定はないので、三脚のカウンターバランスと同じく完全にゼロバランスを作る事が必要だ。

最後のスタビライズに向けて!

NF-EX_vol02_STE_MOV_91 Steadicamの様な微妙なバランスがMoVIにも必要だ

この調整でMoVI本体の中にあるカメラは完全にバランスが取れている状態なので、モーターへの負荷が限りなく少なくなり、外部からの入力に対して限りなくリニアに反応する。この反応は幾らモーターの力が強くても、バランスが悪ければそちらに応力が掛かるので反応速度が落ちてしまう事になる。勿論、その差は非常に微妙な部分であるのでワイドレンズでは気づかないかも知れないが、中望遠域ではやはり如実に遅れが気になる部分になる。

もう一つMoVIでの弱点は、上下動での振動だ。両手で保持して振動を逃がすと言うのは非常に理に適ってはいる。GH4等の軽めのカメラをセットしても全体のシステム重量としては3kgを越える事になる。この重さを胸の前に保持するのは非常に厳しく、特に長所と考えられている自由な上下動も肩のラインを腕が超した時点でFIXするのは難しい。

NF-EX_vol02_EASYRIG EASYRIG

背中から出たアームとワイヤーで吊す形状のEasyrigやReady Rigを使用するのが良いだろう。特にMoVI M10以上では必須といえる。しかしこの器具はスタビライザーと言うよりは一種のカメラ保持に近い。多少の上下動は吸収するが全てではない。MoVIのベテランオペレーターでさえ、中望遠を使っての操作はブレが出てしまうと言うのを聞く事が出来た。最もMoVIでの使用例で多い、多人数でパスをしながら繋ぐという意味ではコレでも十分なのかも知れないが、やはりそれらはコントロールと言う言葉から離れているだろう。

NF-EX_vol02_ReadyRig Ready Rig

総評

NF-EX_vol02_MoVI_08 MoVIにはこの手の無人カメラ+RCと言うのが、実は一番正解なのかも知れない

オペレートが簡単だと思われていたMoVIだが、その最初のゼロバランスを出すセッティングはSteadicamに比べると遙かに面倒である。しかし簡単にブレの無い映像を収録する事ができるのも本当である。

さて、今回は2つのスタビライザーを使い分けて来たが、バランスシステムと操作が難しいSteadicamとオペレート自体はイージーに出来るが、そのコントロールは人間よりも電子回路に任せたMoVI、使い方と場所によりどちらも一長一短がある。

筆者的には、少なくともSteadicamを知る事で、MoVIの可能性も見えてくる。速い速度でパスをする使い方も良いが、遅い速度で動き回るとそのアラも出てくる。その辺のワークはSteadicamと同じ様な動きになるとその安定性はより大きな物になる。と言う事はSteadicamのバランスと衝撃吸収性、それにMoVIの絶対的なゼロバランスと簡単な操作性を組み合わせると、スタビライズの新しい世界が埋められるのでは無いだろうか?

筆者が考えるその解答が、MoVIとSteadicamの組み合わせだったのだ。筆者は「MoVI+Steadicam」の組み合わせに大きな期待をしている。これから開催されるInter BEEでもこの辺りの試みを実際に会場で試してみようと思う。ぜひ会場で見かけた方は声をかけていただきたい。PRONEWSでの取材でもこのシステムを運用予定だ。またRAID(#5113)銀一(#4405)ブースに御立ち寄りいただければ幸いだ。それではみなさんInter BEEでお会いしましょう!


Steadicam編 [ハイブリッド・スタビライザーの可能性]

WRITER PROFILE

岡英史 バイクレース及びF3レース参戦など、映像とはかけ離れた経歴を持つ異色ビデオカメラマン


[ Writer : 岡英史 ]
[ DATE : 2014-11-17 ]
[ TAG : ]

関連のコラム一覧

NewFindertitle_top

[岡英史のNewFinder]Vol.57 ミドルレンジに最適な伝送。IDX CAM~WAVEシリーズ

txt:岡英史 構成:編集部 ワイヤレス化へと向かう伝送の世界 カメラからワイヤーが消えると、その行動範囲は広がり、撮影に関しても解放されることを想像するのは簡... 続きを読む

NewFindertitle_top

[岡英史のNewFinder]Vol.56 待望のバージョンアップ!EDIUS Pro 8の可能性

txt:岡英史 構成:編集部 EDIUSって何?〜思えば長く使って来たなー 今回のイチオシ機能、プライマリーカラーコレクション ※画像をクリックすると拡大します ... 続きを読む

NewFindertitle_cp2016_top

[岡英史のNewFinder]Vol.55 元祖業務用ハンディカム4Kの回答 Sony PXW-Z150

txt:岡英史 構成:編集部 映像に関わる人間がCP+2016を楽しむ方法 Sony PXW-Z150 国内における映像の祭典がInterBEEなら、CP+は... 続きを読む

NewFindertitle_top

[岡英史のNewFinder]Vol.54 「OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II」m4/3ミラーレスはムービーカメラとしてイケるのか?

txt:岡英史 構成:編集部 あけましておめでとうございます 昨年はIBCを境に色々なカメラ、特にミドルレンジには頭を悩ませるラインナップが登場した。もはやミドルレンジでも... 続きを読む

NewFindertitle_top

[岡英史のNewFinder]Vol.53 使って初めて分かる”赤いヤツ”の衝撃!〜Panasonic AG-DVX200ミドルレンジ的レビュー

txt:岡英史 構成:編集部 赤いヤツの衝撃 本年NAB2015で初めて見た時にこの「赤(クリムゾンレッド)」は中々衝撃的な色だった。それまではカメラ=黒と言うのが定番... 続きを読む

WRITER PROFILE

岡英史 バイクレース及びF3レース参戦など、映像とはかけ離れた経歴を持つ異色ビデオカメラマン


Writer

編集部
PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。
石川幸宏
映像専門雑誌DVJ編集長を経て、リアルイベントを中心とした「DVJ BUZZ TV」編成局長として活躍中。
小寺信良
業界で噂の新製品を、AV WatchやITmediaのコラムでもおなじみの小寺信良氏がレポート。
raitank
アートディレクター。あまたの海外ソースを読み漁ってHDSLRを独学。国内と海外の情報流通の温度差にモーレツな疑問を感じ、最新の情報を自ら日本語で発信するblogを運営中。
ふるいちやすし
自身で脚本、監督、撮影から編集、音楽までもこなすマルチプレーヤー。
岡英史
バイクレース及びF3レース参戦など、映像とはかけ離れた経歴を持つ異色ビデオカメラマン
江夏由洋
兄弟で株式会社マリモレコーズを設立し、ノンリニアにおける映像技術、映像制作を中心に、最新技術を取り入れたワークフローを提案している。
手塚一佳
CGムービー制作、ネットワークゲーム制作を得意とするデジタルデザイン会社アイラ・ラボラトリの代表取締役。
山本久之
映像エンジニア。フリーランスで映像設備のシステムインテグレーションと、ノンリニア編集に携わる。
鍋潤太郎
ロサンゼルスを拠点とするVFXジャーナリスト。
江口靖二
江口靖二事務所主宰。現在デジタルサイネージコンソーシアム常務理事などを兼務。
安藤幸央
無類のデジタルガジェット好きである筆者が、SIGGRAPH ASIAやCESなど海外の注目イベントを紹介。
高野光太郎
Cosaelu株式会社 代表取締役 / 映像ディレクター ミュージックビデオ、番組オープニングタイトル、CM、劇場映画、全てをデスクトップで制作。
ヒマナイヌ
頓知を駆使した創造企業
オースミ ユーカ
映像ディレクター。企画、脚本から演出までジャンルを問わず活動。
林和哉
映像プロデューサー/ディレクター。入口から出口まで全てのポジションを守備範囲にしている。最新技術が好物で、各種セミナー活動も豊富。
土持幸三
1970年生。鹿児島県出身。俳優を経て渡米。LA市立大卒業・加州立大学ではスピルバーグと同期卒業。帰国後、映画・ドラマの脚本・監督を担当。川崎の小学校で映像講師も務める。
茂出木謙太朗
株式会社キッズプレート代表。「楽しいInternetコンテンツ」をテーマに活動。現在VRの可能性をまさぐり中。CG-ARTS協会会員
ヒラタモトヨシ
ファッションとテクノロジーを繋ぎイノヴェーションを生み出す事をライフワークとし、WEB/ライブメディア/高精細映像表現を追求。
猿田守一
企業用ビデオ、CM、ブライダル、各種ステージ記録など撮影から編集まで地域に根ざした映像制作活動やCATV局などへの技術協力なども行っている。
黒田伴比古
報道・ドキュメンタリーエディターでありながら、放送機器に造詣が深く、放送局のシステム構築などにも携わるマルチプレーヤー。
須藤高宏
東京・国分寺市に於いて録音スタジオ「マイクロサウンド」を運営し各種録音編集に携わる傍ら最近では各種イベント配信音声を担当。
猪蔵
いつも腹ペコ。世の中の面白いことを常に探っている在野の雑誌編集者。
ベン マツナガ
未来シネマ/ディレクター。ハリウッドでの大型映像制作、映画「血族」のプロデュースを経て、現在は、映像を通じて人と人をつなげるドキュメンタリー作りに没頭している
金田浩樹
映画・テレビの映像制作を中心に、USTやニコ生等、ライブメディア各分野を横断して活動中。ジャンルや固定概念にとらわれない構成力と発想に定評あり。
ViewingLab
未来の映像体験を考える有志の研究会。映画配給会社、映像作家、TV局員と会員は多岐に渡る
稲田出
映像専門雑誌編集者を経てPRONEWSに寄稿中。スチルカメラから動画までカメラと名のつくものであればなんでも乗りこなす。
山下香欧
米国ベンチャー企業のコンサルタントやフリーランスライターとして、業界出版雑誌に市場動向やイベントのレポートを投稿。
萩原正喜
米国コロラド州から、米国のデジタル放送事情からコロラドの日常まで多岐に渡るコラムをお届けします。
坪井昭久
映像ディレクター。代表作はDNP(大日本印刷)コンセプト映像、よしもとディレクターズ100など。3D映像のノンリニア編集講師などを勤める。
林永子
2005年よりサロンイベント「スナック永子」を開催。通称「永子ママ」
岡田智博
クリエイティブクラスター代表。メディアアートと先端デザインを用いたコンテンツ開発を手がけるスーパー裏方。
しらいあきひこ
カメラメーカー、ゲーム開発などの経験を持つ工学博士が最先端のVR技術を紹介。
秋山謙一
映像業界紙記者、CG雑誌デスクを経て、2001年からフリージャーナリストとして活動中。
今間俊博
アナログ時代の事例を通じ、教育関連の最新動向を探る。
伊藤裕美
オフィスH(あっしゅ)代表。下北沢トリウッドでアニメーション特集上映を毎年主催している。
UserReport
業界で話題の商品を実際に使ってみてどう感じたかを、各方面の様々な方々にレポートしていただきました。
System5 Labs
SYSTEM5スタッフが販売会社ならではの視点で執筆します。

トップ > コラム > 岡英史 > [岡英史のNewFinder]番外編 Vol.02 ハイブリッド・スタビライザーの可能性 〜MoVIの魅力を探る!