[岡英史のNewFinder]Vol.17 街のビデオ屋的3D制作2 ~JVCケンウッドのGY-HMZ1に注目!
2012-01-24 掲載
JVCケンウッドにびっくり!
昨年のInterBEEで結構びっくりしたのがJVCの出展。JVCはここ最近この手のプロ機材系展示会にはさっぱりで、折角の隠れた名機と一部で言われているGY-HMシリーズがユーザーに全くプロモーションされていないので少々がっかりしていたのだ。しかし昨年のInterBEEでは4K収録することが出来る小型カメラをメインに出し本当に嬉しく思っている。今回はこの4Kカメラの話題では無く、既に販売されてはいるが目立たない業務用3Dカメラにフォーカスを当ててみた。
GY-HMZ1
昨年CP+やNABでも展示され業務機としてのコストパフォーマンスに優れた3DカメラであるGY-HMZ1、2眼1ボディ式のハンディカムとしては既に民生機でGS-TD1と言う機種があるが、本機はTD1をベースにキャノン入力が出来るキャリングハンドル兼マイクホルダーを付加したモデルという認識で良い。
「なんだ、特筆するブラッシュアップも無いのか?」...と思われるが、逆に民生機で作られているとは言えその心臓部には新世代映像エンジン「FALCONBRID(ファルコンブリッド)」が搭載されているのだ。このエンジンは民生機用に開発された訳ではなく、純然たる次世代エンジンとして開発されたと聞く。この基本エンジンだけで3Dから4Kまでカバー出来るとの事。つまり民生機として出ているTD1が順番的にはおかしいと考えて良いかもしれない。
JVC業務用カメラと言えばCCDをかたくなに使用しているイメージが大きく、そう言う意味でもCMOSを使っている本機は若干異質かも知れないが、その分CMOSの特性を上手く利用し新設計のレンズと共にF1.2と言う明るさを確保出来ている。他メーカーの同クラスハンドヘルド3Dカメラが大体F1.8程度であることから、その明るさは想像出来るだろう。実際に夜間に某所にてテストを行ったが、この手のカメラとしては十分過ぎるパフォーマンスを見せてもらえた。
使用感
収録方式も独自規格であるMPEG-4 MVC/H.264と情報の共有が簡単なMPEG-4 AVCHD/H.264(サイド・バイ・サイド方式)の2種類のフォーマットを積んでいる。特にAVCHD記録ならファイルをダイレクトにYouTubeにアップすることにより簡単に3D映像の共有が出来る。例えばロケハンでGY-HMZ1を使用しそのまま素材を制限公開(又は非公開)でYouTubeにアップすることにより、3Dモニターが無い環境でもロケハンとしての雰囲気を掴む事ができる。それを元にロケの進行台本等を速やかに作成できれば全体的な3D制作時間の短縮やコスト削減にも繋がる可能性が出てくるのではないだろうか。
今や標準装備が当たり前となった裸眼3Dモニターは、やや視線をLCDの30cm位奥に向ける感じがシックリと来る。もちろん、液晶面に対して正対するのは基本だろう。光学5倍ズームは若干寄りが足らない感じもあるが、その分画質や破綻を防ぐ方向に振ったように感じた。
3D視差調整は基本オートで問題ないだろう。無茶な距離や扱い方をしても自然に見えるようにオートで動く様は中々面白く、これにより編集時の使い部分が解りやすく感じた。もちろんマニュアルでの視差調整も出来るが、調整ポイントはメートル単位ではなく±での数字なので、これは慣れるしかない(自分的には+1程度が破綻少なく立体視を感じる事が出来た)。その他のフォーカスやアイリス、シャッター速度もマニュアル操作ができるが、特に照度的に厳しい現場では無い限りオートで問題ない。一つだけ挙げるならシャッターはマニュアル運用(1/60・1/100)の方がすっきりするかも知れない。
サンプル3D
今回はサンプルとして2種類を用意してみたが、MTBを使った映像は基本的にフルオートで手ぶれ補正は通常モードを使っている。動きの速い被写体に対してどの位破綻してしまうのか?をメインに考えていたのだが特に気になるほどの物ではなく、雑然とした林の感じと相まって遠景のワイドショットでもかなりの立体感が得られたと思っている。
もう一つは低照度(夜間)での噴水等のモニュメントを撮ってみた。手ぶれ補正のモードはアクティブモードを使っている。本来なら三脚を使ってしっかり撮りたい所だが、諸々の制約があり三脚が使えないために手持ちで撮影。思った以上に手ぶれ補正の効きが良いために少々動きすぎてしまったが、出来ればカメラスタビライザーと組み合わせたい所だ。ちなみにカメラ自体のホールドは本体グリップはもとよりどこを握ってもしっかりホールドすることが出来る。
注意点?
残念な事に+48Vのファンタム給電は無い。次期モデルでは是非改善を!
GY-HMZ1には民生機とは異なり外見上でも特徴あるマイクホルダーがあるが、ここでチョット注意が必要だ。このグリップ兼マイクホルダー。考え方としてはあくまでも本体のマイク入力(ミニステレオピン)にキャノン入力をスプリットさせている物なので、+48Vのファンタム給電には対応していない。このためガンマイク等を取り付けるときにはファンタム不要のダイナミックマイク以外を選ばなければならない(メーカーHPにはアツデンSGM-100が掲載されている)。
総評
左:SONY HXR-NX3D1J 右:JVC GY-HMZ1。大きさの違いは太く短くか、薄く長くか?※GY-HMZ1のバッテリーは内蔵式
JVCと言うメーカーは良い物を作るのに何故か宣伝が苦手なようである(2012年はこの部分を是非頑張って頂きたいです)。今回のカメラも業務用という位置づけでしかも3Dカメラだが、一般的な売価で20万円以下のプライスで買えてしまう。使用感や性能に致命的な問題があるならともかくGY-HMシリーズ以降の製品を使ってみてその様なことは全く無かった。実際知人のカメラマンに実機を使ってみてもらうと「えっ、こんな良いカメラが発売されてたの?」と言う回答を得ることが多い。確かにVHS時代の後期にサービス等での諸問題があったのも事実かも知れないが、それ以降食わず嫌いで来てしまっているユーザーも多い。社名変更して心機一転、今年は是非プロモーションをしっかりして、良いカメラをもっと製品化して欲しく思う。
[ Writer : 岡英史 ]
[ DATE : 2012-01-24 ]
[ TAG : 岡英史のNewFinder ]
関連のコラム一覧
|
|
[岡英史のNewFinder]Vol.16 NEX-VG20 限りなく業務機に近くなったコンシューマー機DSLRとの決別?! 何だかんだこの1年間での大型撮像板ビデオカメラという物が完全に定着し、高画質カメラ=3枚撮像板、と言う常識が無くなって来た。もちろん、今までのシステムを否定す .... 続きを読む |
|
|
[岡英史のNewFinder]Vol.15 地デジ化元年としてのファイルベースカメラ422カメラってやっぱり必要?! PDW-700とPMW-500 地デジ化以降、そして3.11で一時的にではあるが収録テープの供給がストップされた経緯も踏まえて、キー局や地方局では .... 続きを読む |
|
|
[岡英史のNewFinder]Vol.14 街のビデオ屋的3D制作!?そもそも立体視って? 今年は、3Dという言葉が聞かれなくなり、代わりに立体視やステレオスコピック等の言葉を何故か多く聞く。言っていることは同じなのだが内容は若干違う気がする。3D= .... 続きを読む |
|
|
[岡英史のNewFinder]Vol.13 EDIUS初の外部プラグインROBUSKEY for Videoがすごい!ISPという会社に注目だ! EDIUS初※1の外部プラグイン「ROBUSKEY for Video」が登場した。開発したのは、ISPだ。同社はPRONEWS内のコラムで好評なクリエ .... 続きを読む |
|
|
[岡英史のNewFinder]Vol.12 とっておきのD(ディレクター)・カメラを探せ!~HXR-NX70J vs HVR-A1J 比較レビュー~小さな業務機 ディレクターカメラ(以下:Dカメ)としても業界で重宝されている SONY小型業務用カメラA1JはHDV機でありながらその取り回しの良さから今でも現役稼働している。かく .... 続きを読む |
- [岡英史のNewFinder]Vol.11 ミドルレンジ・ガジェット考~NAB 1年生 (2011-05-20)
- [岡英史のNewFinder]Vol.09 ミドルレンジ・ガジェット考~UstreamはHD-SDI配信 (2011-04-29)
- [岡英史のNewFinder]Vol.09 ミドルレンジ・ガジェット考~ガチバトル!XF105 vs XA10 (2011-03-08)
- [岡英史のNewFinder]Vol.08 ミドルレンジ・ガジェット考~ブライダル撮影を考える~その現状とは? (2011-02-11)
- [岡英史のNewFinder]Vol.07 ミドルレンジ・ガジェット考~大型撮像板は次世代カメラの礎になるのか?~ (2011-01-14)
- [岡英史のNewFinder]Vol.06 ミドルレンジ・ガジェット考~Inter BEE 2010からUstream 配信とその裏側~ (2010-12-07)
最新のコラム一覧
- [東京Petit-Cine協会]Vol.30 色についての考察。もう一度考えてみよう! (2012-02-21)
- [小寺信良の業界探検倶楽部]Vol.23 ついに登場業務用HDMIワイヤレスの脅威! (2012-02-18)
- [オタク社長の世界映像紀行]Vol.19 ついに貿易赤字に転落したニッポンを考える... (2012-02-14)
- [スナック永子の勝手にMonthly Video Awards!]Vol.27 永子が愛した音楽映像たち...Best5 (2012-02-10)
- [Point of View]Vol.45 映像を作り上げていく楽しみを実現する、ピクチャープロファイル (2012-02-09)
関連のニュース記事
WRITER PROFILE
岡英史
(おか ひでふみ)
VIDEONETWORK主宰
東宝ミュージカルや芝居等の舞台撮影を主とし、最近では初心に戻り積極的にENGをこなす。また面白いと思う撮影にはなんでも参加、NLE専用にチューニングした自作PCで編集までを自身で行い、小物なら専用パーツまでワンオフで制作してしまう異色ビデオカメラマン。過去にスキーの強化選手に選考され、その後バイクレース及びF3レース参戦など、映像とはかけ離れた異色の経歴を持つ。
岡英史 のコラム一覧
Writer
|
編集部(100) PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートです。 |
|
稲田出(27) 映像専門雑誌編集者を経てPRONEWSに寄稿中。スチールカメラから動画までカメラと名のつくものであればなんでも乗りこなす。 |
|
石川幸宏(35) 映像専門雑誌DVJ編集長を経て、リアルイベントを中心とした「DVJ BUZZ TV」編成局長として活躍中。 |
|
小寺信良(24) 業界で噂の新製品を、AV WatchやITmediaのコラムでもおなじみの小寺信良氏がレポートする動画連載。 |
|
raitank(5) あまたの海外ソースを読み漁ってHDSLRを独学。海外から仕入れた情報を日本語で発信するグラフィックデザイナー/アートディレクター。 |
|
ふるいちやすし(45) 自身で脚本、監督、撮影から編集、音楽までもこなすマルチプレーヤー。 |
|
岡英史(19) バイクレース及びF3レース参戦など、映像とはかけ離れた経歴を持つ異色ビデオカメラマン |
|
手塚一佳(45) CGムービー制作、ネットワークゲーム制作を得意とするデジタルデザイン会社アイラ・ラボラトリの代表取締役。 |
|
江夏由洋(13) 兄弟で株式会社マリモレコーズを設立し、ノンリニアにおける映像技術、映像制作を中心に、最新技術を取り入れたワークフローを提案している。 |
|
山本久之(26) 映像エンジニア。フリーランスで映像設備のシステムインテグレーションと、ノンリニア編集に携わる。 |
|
林永子(27) 2005年よりサロンイベント「スナック永子」を開催。通称「永子ママ」 |
|
鍋潤太郎(19) ロサンゼルスを拠点とするVFXジャーナリスト。 |
|
高野光太郎(4) 映像クリエイター。フリーランスにてミュージックビデオ、番組オープニングタイトル、CM、劇場映画、全てをデスクトップで制作。 |
|
安藤幸央(9) 無類のデジタルガジェット好きである筆者が、SIGGRAPH ASIAやCESなど海外の注目イベントを紹介。 |
|
猪蔵(5) いつも腹ペコ。世の中の面白いことを常に探っている在野の雑誌編集者。 |
|
山下香欧(8) 米国ベンチャー企業のコンサルタントやフリーランスライターとして、業界出版雑誌に市場動向やイベントのレポートを投稿。 |
|
ヒマナイヌ(5) 頓知を駆使した創造企業 |
|
坪井昭久(5) 映像ディレクター。代表作はDNP(大日本印刷)コンセプト映像、よしもとディレクターズ100など。3D映像のノンリニア編集講師などを勤める。 |
|
萩原正喜(69) 米国コロラド州から、米国のデジタル放送事情からコロラドの日常まで多岐に渡るコラムをお届けします。 |
|
岡田智博(7) クリエイティブクラスター代表。メディアアートと先端デザインを用いたコンテンツ開発を手がけるスーパー裏方。 |
|
江口靖二(5) デジタルサイネージコンソーシアム常務理事、慶應義塾大学DMC機構研究員などを兼務。 |
|
しらいあきひこ(2) カメラメーカー、ゲーム開発などの経験を持つ工学博士が最先端のVR技術を紹介。 |
|
今間俊博(5) 尚美学園大学 芸術情報学部 情報表現学科 教授。アナログ時代の事例を通じ、教育関連の最新動向を探る。 |
|
伊藤裕美(5) オフィスH(あっしゅ)代表。下北沢トリウッドでアニメーション特集上映を毎年主催している。 |
|
秋山謙一(17) PRONEWS記者。映像業界紙記者、CG雑誌デスクを経て、2001年からフリージャーナリストとして活動中。 |
|
UserReport(10) 業界で話題の商品を実際に使ってみてどう感じたかを、各方面の様々な方々にレポートしていただきました。 |
|
System5 Labs(8) SYSTEM5スタッフが販売会社ならではの視点で執筆します。 |
