[オタク社長が見たAsianimationの世界]Vol.17 フランス、パリの最新オタク事情

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[オタク社長が見たAsianimationの世界]Vol.17 フランス、パリの最新オタク事情

2010-06-04 掲載

[オタク社長が見たAsianimationの世界]Vol.17 フランス、パリの最新オタク事情

世界のアニメ/漫画などポップアートの中でも、日本のそれらの持つ地位は、一種独特である。アジアに限らず、欧米先進国や発展途上国など、どこの国に行っても、日本以外の国のそうしたポップアート作品群とは明確に区別されており、日本アニメだけの特有のファンが必ず一定数存在している。日本のアニメはそういう不思議な扱いとなっているのだ。

これを一般人の視点で見た経済産業省のエリート役人たちが、ちょっと勘違いをして「日本のアニメは世界各国に通用するコンテンツなんだ!」とうっかり張り切ってしまうのもわからなくもない。  

まあ実際のところは、「世界各国在住の一部の人々に通用するコンテンツ」であって、決して世界人類全部に通用する商業力を持つわけではないのが、オタク文化のオタク文化たる所以であるのだが...。

今回は、たまたま居合の演舞会と会社の人材採用の都合が重なり、いつものアジアを一歩出て、フランス、パリを訪れることが出来た。そこで今回は、フランス、パリにおける日本アニメファンの事情を探っていこうと思う。恐らく、このパリの例を見れば、私の言う「世界各国在住の一部の人々に通用するコンテンツ」の意味がご理解頂けるものと思う。

日欧同時流行化した、EU圏のアニメ事情

従来、諸外国、中でもEU圏での日本アニメと言えば、一昔前、下手をすれば二昔前のいわゆる「ジャパニメーション」作品ばかりで、それに定着しているファンも、現地友人たちとの日常会話も怪しいようなかなりコアなオタク層、というのが定番であった。つまり、その国にとって珍しいもの故に変わり者のファンが存在する、いわゆるマニアの世界であった。

ここでいう「ジャパニメーション」というのは、実は決して褒め言葉ではない。それは、現地放送局スポンサーの都合で、安く権利を買い叩いてきた複数のアニメや特撮モノの戦闘シーンや派手なシーンを現地編集者によって適当につぎはぎされたものであり、日本のアニメの持つ特有の文学性や叙情性、その空気感等は、一切無視された代物なのだ。我々日本の制作者から見れば、偽物、あるいは頑張って褒めてもせいぜい日本アニメの亜種とでも呼ぶべき代物だったのだ。

ところが、ここ10年ほどの間に、こうした様相が一変した。ネットの影響で世界各国でも、日本国内と同時にアニメやゲームの流行が進むようになったのだ。このため、世界各国のオタクな人々が本来の日本アニメ文化のクオリオティに振れることが出来るようになり、従来の「ジャパニメーション」が一掃され、本来の日本のポップアート文化がきちんと各国で楽しまれるようになったのだ。著名作品になると、日本での放送翌日には、そのシナリオ内容が現地言語に翻訳されてファンの間に出回っているというから、驚くほか無い。

そのため、現地ファンたちも日本アニメの本質が、他国のアニメには無い、その文学性、叙情性、空気感などにあることを知るようになり、一気にファン層が変化を遂げた。今までのようなどこか文化人類学者の臭いのするような日本文化マニアたちではなく、純粋に物語性や作品そのものに惚れ込んだ、普通のオタク層が各国に誕生したのだ。

その結果、ここ、フランス、パリでも、若者の集まる有名大学の付近には必ず専門アニメショップが存在するようになり、また、「fnac」など大手のオタク系チェーン店は、フランス都市部在住者なら知らない者の方が少ないくらいメジャーな存在になっている。

今はまだそのほとんどが違法コピーの閲覧であるところから、我々制作者サイドとしては決して手放しで喜べる状況ではないが、つぎはぎだらけの「ジャパニメーション」のお陰で、日本のアニメが「暴力とセックスシーンしかない」と非難されていた時代に比べれば、だいぶマシになったのではないかと思える。

tezuka1701.jpg ソルボンヌ大学近隣のショップ外観。堂々と表通りにあるという以外は、日本国内のアニメショップとほとんど変わらない。この店の一番人気は、定番の「黒執事」と「デスノート」

[ Writer : 手塚一佳 ]
[ DATE : 2010-06-04 ]
[ TAG : オタク社長が見たAsianimationの世界 ]

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手塚一佳 (てづか かずよし)

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