[CES 2009レポート]Vol.01 世界最大の家電見本市開催、今年のトレンドが分かる10の傾向
2009-01-20 掲載
| 2009 International CESの第1会場ラスベガスコンベンションセンター(左上)。第2会場のサンズエキスポセンター(右上)。ラスベガスコンベンションセンター前に出現するCESロゴ巨大オブジェ(左下)。展示会場内(右下) | |
デジタル家電、オーディオ機器などに関する世界最大の見本市2009 International CES(Consumer Electronics Show、日本語公式サイト、以下CES 2009)が1月8~11日の4日間、米国ラスベガスで開催された。金融危機で景気後退が心配されている米国での開催であったが、昨年と変わらない数の2,700社の出展があった。この出展数は、日本の家電・エレクトロニクス系展示会CEATEC JAPANの4倍ほどの規模になる。
今年のCES 2009においても、各社の新製品が目白押しであり、盛況なブースは昨年以上の盛り上がりであった。CESは一般消費者向けの家電製品を多く取り揃えており、プロ用機器は含まれない。そのため、CESにおけるリサーチや商談次第で、今年1年の大型家電量販店の傾向が分かってくると考えてもいい。
それでは、今後の家電業界の行方を考えるうえで、CES 2009全体を通して今年の傾向を捉え、10のトレンドとして紹介しよう。
PRONEWSが選ぶCES 2009の10のトレンド
1●各社から3D立体視テレビの出展が相継ぐ
| NVIDIAのブースの人気コーナーであった、立体視で楽しむギターゲーム |
各社が立体視専用のメガネを使う 3D 立体視テレビを展示した。ハリウッド映画業界の立体視流行の影響もあって、ホームシアターを想定した特設シアターを設けているところもあった。立体視にはさまざまな方式があるが、主流はRealD社の偏光立体視と、液晶シャッター方式の2つだ。裸眼立体視のディスプレイは歓迎されていないようにみえた。また、NVIDIAによるPCゲームやSONY PS3の3Dゲームを立体視で楽しむデモも見られた。画質が向上したことにより、長時間見ていても目が疲れない機構が、今後の浸透へのキーとなる。
2●テレビやビデオ機器のジェスチャー操作
| テレビのジェスチャ操作例。写真は日立製作所ブースにて |
多機能化、複雑化したリモコン操作は誰もが面倒だと感じているだろう。CES 2009では、手振り身振りを使ってテレビを操作する「ジェスチャー・インタフェース」の試作品が見られた。東芝、日立製作所、パナソニックの各社はプロトタイプデモを公開した。この分野においては、家電業界全体が、より使いやすいもの、解りやすいものを作ろうという意気込みが感じられた。
3●エコとグリーンコンピューティング
| 大型テレビの脇には、必ずといっていいほど、消費電力の表示が見られた。写真はパナソニックブース。 |
大型ディスプレイの開発企業はいずれも、いかに電力消費が少ないかをアピールしていた。リサイクルや低消費電力をウリにした「グリーンコンピューティング」が流行し始めている。
4●テレビ上のウィジェットが浸透
| テレビを見ながらYouTubeも見られるサムスンのテレビ |
PCの画面上に常駐して、各種情報を表示するためのミニツールがウィジェットだ。CES 2009では、大型テレビもネットに繋がるようになり、ごく普通に画面上にウィジェットを表示できるようになってきた。テレビのウィジェットは、スポーツ観戦、ニュース分野、映画を楽しむときの付随情報などを表示し、テレビをより楽しむための情報として使われているようだ。さらに、テレビだけではなく、カーナビやフォトフレーム、携帯情報端末にウィジェットが載る事例もあった。
5●有機ELディスプレイテレビがさらに新時代に
| ソニーの折れ曲がるOLEDディスプレイ。ビヨンセのPVが表示されている。 |
ソニーだけでなく、韓国メーカーも、OLED(有機発光ダイオード)方式を使用した美しく薄い有機ELディスプレイを展示した。ソニーの折れ曲がるOLEディスプレイを含め、各社のディスプレイ競争はますます特殊になり、薄く大きくという段階に入っている。その一方で、単なるスペック争いは購買層にとっては意味がないものと気付いてきていることもあり、今後は低価格化が進む段階に入っていきそうだ。ここまでくると、自然と淘汰されていき、付加価値競争へと移っていくだろう。
6●4Kレベルの超高解像度の世界に突入
| 東芝のCELL TVは、4K×2K の解像度を誇る |
東芝のCELL TVの存在が際立つが、ついにコンシューマ家電も4K解像度(横4000ピクセルの超高解像度)に足を踏み入れた。しかし、HD解像度では不満足な映像で、今後まだまだ綺麗になると感じた。確かに4K解像度の映像は美しく生々しいが、コンテンツの不在も議論に上り始めている。
7●超小型プロジェクターの幕開け
| 3Mの超小型プロジェクターMPro 110 |
携帯電話に搭載したものから手乗りサイズまで、超小型プロジェクターが登場した。ただし、明るさを示すルーメン値が、通常のプロジェクターの1/100程度であることから、現実的な利用にまではあと一歩という感は否めない。次世代の製品に期待したい。
8●ネットブックという新しいカテゴリが確立
| HP のネットブックvivian tam editionはデザイン性も重視 |
昨年は、Eee PCをはじめ各社の小型PCが出揃い、全世界的に爆発的に売れた。従来頭打ちだと思われていたノートパソコンの市場に、「ネットブック」という新しいカテゴリーが生まれた年となった。小型、安価、性能はそれほど求めない代わりに、バッテリーが長持ちするなどの特徴がある。今年のCES 2009では、この新しいネットブック市場に向けた製品も登場した。ソニーのVAIO TypePや、HPのvivian tamのコラボレーションモデルなど、デザインに力を入れたものも出てきた。
9●ネットワーク化するデジタルフォトフレーム
| ネットワークウィジェット表示機能を持つIPEVO製フォトフレーム |
日本とは異なり、欧米では、そこここに写真を飾る文化がある。そのためか、フォトフレームは、より安価なものから、有機ELを使ったとても美しい表示ものまで、さまざまなものが出てきた。同時にデジタル化、ネットワーク化も顕著になってきていた。より高機能化し、枕元に置くウィジェット機能を持ったチャンビーフォトフレームもあった。
10●無線機能とサービス連携の時代
| YouTubeへのビデオ自動アップロード機能を持つ無線LAN搭載SDカードEye-Fi |
これまでは無線機能のなかったデジタル製品に、普通に無線機能が搭載される時代になってきた。例えば、ソニーのデジタルカメラCyberShot G3では、無線機能だけではなくWebブラウザ機能も持ち、写真サービスとの連携まで考慮されている。日本でも12月に発売となった、SDカードにWi-Fi無線LAN機能を内蔵したEye-Fiは、どのデジカメにも使え、YouTubeへのビデオ自動アップロード機能も搭載したと、CES 2009会場のあちらこちらで話題の中心となっていた。
不況なんて吹き飛ばせ! 新たなビジネスモデル構築が活性化
こうしたトレンドに見られるさまざまなデジタル家電機器が登場する一方で、デジタルコンテンツの流通に関しても新しいビジネスモデルが模索され始めている。例えば、ビルボード Top 1000曲が最初からメモリに入っているミュージックプレーヤーの登場もその1つだ。PCやネットとは関係無く、メモリで音楽を購入する。CDでも iTunes Store でも無い、最初から音楽が入っているメモリという新しいデジタルデータの流通経路が考え出されていた。
CES 2009の時期に、オバマ次期大統領がデジタルテレビ移行の延期を提案したことにより、CES会場内でも関係者の話題を集め、議論を巻き起こしていた。この不況下だからこそ、CESに出展した各社は、どこがビジネスになって、どこに注力すべきなのか、ますますどん欲に追求しているように感じられた。新しいビジネスモデルの構築に向けた取り組みが活性化していきそうだ。
(安藤幸央)
[ Writer : 安藤幸央 ]
[ DATE : 2009-01-20 ]
[ TAG : 2009 International CES 4K CES CES2009 エコ 有機EL ]
関連のコラム一覧
|
|
[CES2010レポート]CES展示会場で見かけた映像系ガジェットあれこれ2現在ラスベガスで開催されているCESも3日目。昨年よりも来場者減少傾向にあるというが、それでも扱うジャンルを問わず規模が世界最大の家電展示会ため連日の大賑わいである。まず印象的だっ .... 続きを読む |
|
|
[CES2010レポート]CES展示会場で見かけた映像系ガジェットあれこれ1展示会場から見たあれこれ 世界最大の国際家電見本市、International CES 2010 が米国ラスベガスで開催されている。巨大な展示会場は1月7日から10日の4日間オープ .... 続きを読む |
|
|
[CES2010レポート]CES2010展示会初日に行われた熱い夜の出来事CES本会場よりも伝えたいコト 絶賛展示会開催中である。ラスベガスの展示会場をフルに使用する過酷なInternational CESの中でおススメは?と聞かれれば、間違いなく、「 .... 続きを読む |
|
|
[CES2010レポート]NXCAM、気になる幾つかの事SDとAVCHDを組み込んだソニーの戦略にシュプレヒコール! Inter BEEで参考出展されたソニーの新しいライナップ「NXCAM」HXR-NX5Jが2010年1月7日正式発表 .... 続きを読む |
|
|
[CES2010レポート]開催直前!SONYがUstreamでプレスカンファレンス生中継する意味とは?世界に向けて生中継される内容とは?Online TV Shows by Ustream ▲現地時間6日16時半(7日9時半ごろ:日本時間)で開催される。 いよいよ7日から米国ラスベ .... 続きを読む |
|
|
[デジタルサイネージ2009]特別寄稿: ラスベガスのデジタルサイネージ事情背景:ラスベガスのショッピングモール「ファッションショーモール」の外観風景 2009 International CES(Consumer Electronics Show)に参加 .... 続きを読む |
- [CES 2009レポート]Vol.02 ついにやってくる! 本当の立体視ブーム (2009-01-27)
- [コロラド紀行]Vol.7 2008年 International Consumer Electronics Show開催! (2008-01-07)
最新のコラム一覧
- [raitank fountain]Vol.03 EOS C300インプレッション番外編〜"普段使い"のC300 (2012-02-03)
- [コロラド紀行]Vol.69 アメリカの郵便制度の台所事情 (2012-02-03)
- [DigitalGang!]Shoot.01 GoPro HD HERO2に思いを馳せる! (2012-02-01)
- [Do it]今求められるDIT(デジタル・イメージング・テクニシャン)とは? (2012-01-25)
- [岡英史のNewFinder]Vol.17 街のビデオ屋的3D制作2 ~JVCケンウッドのGY-HMZ1に注目! (2012-01-24)
関連のニュース記事
- ソニー、8K CMOSイメージセンサーを搭載したCineAltaカメラ新製品「F65」の出荷を開始 (2012-01-17)
- アストロデザイン、4K対応のJPEG2000コーデックシステムを発表 (2011-11-17)
- アストロデザイン、4K解像度に対応した28/36/60インチモニター3機種を発売 (2011-11-17)
- ソニー、世界初4Kホームシアタープロジェクター「VPL-VW1000ES」を発売 (2011-10-03)
- [IBC2011]ソニー、有機ELパネルを搭載した25型/17型業務用マスターモニター「BVM-Fシリーズ」を発売 (2011-09-09)
- アイキューブド研究所、HD映像から4K映像を生成する技術を開発 (2011-05-16)
- AJA、KONA 3Gで4K出力をサポートするドライバソフトウェア 「v.9.0」を公開 (2011-04-13)
- ソニー有機EL搭載業務用マスターモニターBVM-E250/BVM-E170発売 (2011-02-18)
- CineFormのNeo3D、インテルCEOの2010 CES基調講演にて、リアルタイム3Dムービー制作デモで再注目 (2010-01-15)
- ソニーが提唱する、3D・高付加価値コンテンツ制作ワークフロー (2009-11-25)
安藤幸央 のコラム一覧
Writer
|
編集部(99) PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートです。 |
|
稲田出(27) 映像専門雑誌編集者を経てPRONEWSに寄稿中。スチールカメラから動画までカメラと名のつくものであればなんでも乗りこなす。 |
|
石川幸宏(35) 映像専門雑誌DVJ編集長を経て、リアルイベントを中心とした「DVJ BUZZ TV」編成局長として活躍中。 |
|
小寺信良(23) 業界で噂の新製品を、AV WatchやITmediaのコラムでもおなじみの小寺信良氏がレポートする動画連載。 |
|
raitank(5) あまたの海外ソースを読み漁ってHDSLRを独学。海外から仕入れた情報を日本語で発信するグラフィックデザイナー/アートディレクター。 |
|
ふるいちやすし(44) 自身で脚本、監督、撮影から編集、音楽までもこなすマルチプレーヤー。 |
|
岡英史(19) バイクレース及びF3レース参戦など、映像とはかけ離れた経歴を持つ異色ビデオカメラマン |
|
手塚一佳(44) CGムービー制作、ネットワークゲーム制作を得意とするデジタルデザイン会社アイラ・ラボラトリの代表取締役。 |
|
江夏由洋(13) 兄弟で株式会社マリモレコーズを設立し、ノンリニアにおける映像技術、映像制作を中心に、最新技術を取り入れたワークフローを提案している。 |
|
山本久之(26) 映像エンジニア。フリーランスで映像設備のシステムインテグレーションと、ノンリニア編集に携わる。 |
|
林永子(26) 2005年よりサロンイベント「スナック永子」を開催。通称「永子ママ」 |
|
鍋潤太郎(18) ロサンゼルスを拠点とするVFXジャーナリスト。 |
|
高野光太郎(4) 映像クリエイター。フリーランスにてミュージックビデオ、番組オープニングタイトル、CM、劇場映画、全てをデスクトップで制作。 |
|
安藤幸央(9) 無類のデジタルガジェット好きである筆者が、SIGGRAPH ASIAやCESなど海外の注目イベントを紹介。 |
|
猪蔵(5) いつも腹ペコ。世の中の面白いことを常に探っている在野の雑誌編集者。 |
|
山下香欧(8) 米国ベンチャー企業のコンサルタントやフリーランスライターとして、業界出版雑誌に市場動向やイベントのレポートを投稿。 |
|
ヒマナイヌ(5) 頓知を駆使した創造企業 |
|
坪井昭久(5) 映像ディレクター。代表作はDNP(大日本印刷)コンセプト映像、よしもとディレクターズ100など。3D映像のノンリニア編集講師などを勤める。 |
|
萩原正喜(69) 米国コロラド州から、米国のデジタル放送事情からコロラドの日常まで多岐に渡るコラムをお届けします。 |
|
岡田智博(7) クリエイティブクラスター代表。メディアアートと先端デザインを用いたコンテンツ開発を手がけるスーパー裏方。 |
|
江口靖二(5) デジタルサイネージコンソーシアム常務理事、慶應義塾大学DMC機構研究員などを兼務。 |
|
しらいあきひこ(2) カメラメーカー、ゲーム開発などの経験を持つ工学博士が最先端のVR技術を紹介。 |
|
今間俊博(5) 尚美学園大学 芸術情報学部 情報表現学科 教授。アナログ時代の事例を通じ、教育関連の最新動向を探る。 |
|
伊藤裕美(5) オフィスH(あっしゅ)代表。下北沢トリウッドでアニメーション特集上映を毎年主催している。 |
|
秋山謙一(17) PRONEWS記者。映像業界紙記者、CG雑誌デスクを経て、2001年からフリージャーナリストとして活動中。 |
|
UserReport(10) 業界で話題の商品を実際に使ってみてどう感じたかを、各方面の様々な方々にレポートしていただきました。 |
|
System5 Labs(8) SYSTEM5スタッフが販売会社ならではの視点で執筆します。 |
