米マイクロソフトは現地時間5月10日、インターネット電話サービス大手のスカイプ・テクノロジーズを85億ドルで買収することを発表した。スカイプは現在、投資会社シルバーレイク社の傘下にある。買収後はマイクロソフトの事業部門となり、部門トップには現スカイプ最高経営責任者のトニー・ベイツ氏が就任する。 同社が他社を買収するのは2006年以来。

マイクロソフト本社のあるサンフランシスコで両社が記者発表を行った際、米マイクロソフト最高経営責任者のスティーブ・バルマー氏は「36年もの会社史上において最大の出来事であるといってもいい。我々に『より野心満々で、より多くのことをさせる」意欲を湧かせるものだ』と語った。買収金額は同社史上最高額となる。同社は、Office、Windows Phone、Xboxなどの主力製品に、スカイプの音声・ビデオ通信機能を組み入れていく。

スカイプは昨年夏にIPO申請を行っていたが実際の上場は先延ばしになり、先週になってマイクロソフトやフェイスブック、グーグル、シスコとの間で交渉中だとのうわさが浮上していた。バルマー氏は、今年4月に入ってシルバーレイク社にオファーを出したという。スカイプは2005年、Ebayに約31億ドルで買収された。しかしEbay は2007年には、その70%分の株をシルバーレイクに売却した。その際の取引価値は27億ドルだったという。

今回の買収は、マイクロソフトにとって大きな戦略の転換を意味する。マイクロソフトとスカイプ両社は「コミュニケーションビジネス」という点で、Ebayよりもはるかに共通点がある。バルマー氏は、マイクロソフトの近年の成長のバックボーンは、このコミュニケーション技術によるもので、スカイプはその技術を使ったビジネスを確立した企業であるという。事実スカイプは現在、1億7000万人以上のアクティブユーザを持ち、2010年には8億6000万ドル以上の収入を記録している。またマイクロソフトは、スカイプをアップル社のデバイスやアンドロイドOSに対応させることも引き続き行っていくという。