[Stereoscopic 3D 第3章]Vol.01 3DカメラAG-3DA1とKiProで実現する3D撮影の押さえどころ(撮影編)
2010-08-19 掲載
史上初、業務用二眼カメラの登場
今回は早速AG-3DA1を使って撮影を敢行した!さてこの3DA1はとにかく使い勝手がいいという印象だ。なんといっても2つのHD-SDI出力を左右映像に確保できるというのは、うれしいところ。もちろん内蔵のSDスロットで、LRの映像をAVCHDコーデックでフルHD記録できるのも相当な魅力ではあるが、外部収録機器を用意すればハイエンドワークフローを組むことができる。
今回はなるべく「高解像度」な3D映像制作のワークフローを組みたいと考えているため、このHD-SDI出力をAJAのKi Proを2台使って左右の映像を収録することにした。Ki ProはQuickTimeのProRes422で記録できる外部収録機器。SDカードにAVCHDで記録する映像より高画質であるだけでなく、編集作業においてもFinal Cut Proとの親和性が非常に高いためストレスのない環境が実現する。この場合SDカードに収録されるデータはバックアップとして使うことができるので、非常に効率的だ。UDRのような機器で非圧縮記録するのも手だが、Ki Proを使う3D撮影というのはコストパフォーマンスを考えても一番理想的だろう。
キャリブレーション要らずの素晴らしさ~「コンバージェンス」で立体調整
|
|
| コンバージェンスポイントより前の被写体はスクリーンの前に表現され、奥の被写体はスクリーンの奥に表現される |
筆者は3D撮影を1年以上前から行なっているが、3D撮影において、やっかいで時間がかかるのが「キャリブレーション」作業だ。キャリブレーションとは3D撮影における「視差」と「コンバージェンス」を調整する2台のカメラの位置調整のことだ。物理的に立体視を実現するための大切な作業といえ、3D撮影での重要なポイントだ。視差とは2台のカメラの光軸の距離を言い、コンバージェンスとは2台のカメラの光軸が交差する点までの距離を言う。実際に1時間以上の時間をかけてキャリブレーションを行なうこともあり、撮影のカットごとに行なうとなれば相当な作業量が発生するのだ。そこに登場したのが、この3DA1。二眼一体型で、煩雑なキャリブレーション作業は一切不要という長所を持っている。 3DA1の勝因は、まず「視差」を6cmに固定したところだ。従って撮影で調整するのはコンバージェンスの値のみである。二つの光軸が交わるコンバージェンスポイント上の被写体は再生時にはスクリーン上に現れ、コンバージェンスポイントよりも奥の被写体はスクリーンの奥の表現され、手前の被写体はスクリーンの手前に表現されるようになる仕組みだ。2Dの従来のカメラは、アイリスやズーム、フォーカス、色温度などを調整して撮影していると思うが、それらの値に3DA1に、「コンバージェンス」という新しいパラメーターが加わることなる。
3DA1を使えば、普段の撮影作業に加えて「コンバージェンス」の値を調整するだけでいきなり立体映像の収録を始めることができる。とにかく便利だ。コンバージェンスの値は「C」という記号を使って、C0~C99までの範囲で調節できる仕組みになっていた(検証期間現在)。これに合わせてズームの距離もテレ側からワイド側までZ0~Z99という値が設定されている。このCの値とZの値が3D撮影では肝になるのだ。ズーム距離とコンバージェンスの値の組み合わせで様々な立体感を演出することができる。
3D映像確認のためのモニター
3DA1とKi Pro2台があれば、ハイエンドな3D映像収録が可能だ。今回はアストロデザイン株式会社より2台のモニターをご提供いただいた。一台はフィールドでも使えるSDIが2系統使用可能な小型8インチモニターWM-3209-B、もう一台は偏光式の3D視聴ができる24インチモニターSM-3324である。3D制作において収録時のモニター環境を整えることはとても大切で、この2台は多くの要望をかなえてくれるモニターだ。特に8インチモニターは優秀で、左右の映像のベクトルスコープを重ねて表示できるだけでなく、映像のズレを図るための「ピクセル数計測」が可能なピクセルライン表示、あるいはアナグリフ方式による3D表示も可能で2年前から発売されたとは思えないほどの機能の充実が見られるモニターだ。Vマウントのバッテリーで使えるというのも評価が高い理由だろう。一方の24インチモニターは左右SDI信号を受けて、円偏光による3D表示が可能なモニターだ。視野角も比較的広く、操作性も素晴らしい。撮影はスタジオと屋外で行なったが、スタジオでは2台のモニターを使って3D視聴しながら波形を確認した。屋外では小型モニターだけを使用したが、アナグリフによる確認ができるので使い勝手は抜群だった。
| SM-3324(24インチ)は円偏光式の3D視聴ディスプレー。 視野角が比較的に広いため使いやすい |
WM-3209-B(8インチ)も3D撮影現場では活躍が期待される。アナグリフ表示もでき、Vマウントもいけるのでフィールドでは重宝する。波形の確認で左右の画をそろえるのに必要 |
[ Category : SPECIAL ]
[ DATE : 2010-08-19 ]
[ TAG : AG-3DA1 AJA Ki Pro Stereoscopic 3D 第3章 Stereoscopic 3D(3D映像) ]
この記事に関連する記事一覧
|
|
[InterBEE2011]AJA VIDEO SYSTEMSブースレポートアスクが国内代理店を行なっているAJA VIDEO SYSTEMSは、Ki Proや先般発表になったIo XTやアップ/ダウン/クロス・ミニコンバーターUDC、シネスタイルのカメラ .... 続きを読む |
|
|
[NAB2011:AJA]次世代を見据えた様々な製品を展開するAJAブースAJAは先に発売となったKi Pro Miniを初めとして、今回新たにデュアルチャンネルユニバーサルフレームシンクロナイザー&コンバーターFS2やHi5-Fiber、FiDO SD .... 続きを読む |
|
|
[Stereoscopic 3D 第3章]Vol.03 3D作品の納品・上映について(フィニッシュ編)株式会社マリモレコーズ 江夏由洋(FILTER KYODAI) 3D最大の壁「上映」とそれ超えるための3つのハードル 3DA1で撮影した左右の映像を編集している様子。左右映像と音声 .... 続きを読む |
|
|
[Stereoscopic 3D 第3章]Vol.02 今3D撮影素材を編集するには?CineForm Neo3D(編集編)株式会社マリモレコーズ 江夏由洋(FILTER KYODAI) 編集時にはCineForm Neo3Dを利用 Ki ProストレージモジュールSSD 250GB。Firewire8 .... 続きを読む |
|
|
[Stereoscopic 3D 第3章]Vol.00 今ここにある3D制作のすべて作る楽しみを知る時が来た! 2010年は言うまでもなく3D元年である。劇場映画に始まりお茶の間までに3Dがやってきた。これまでの3D映像が「見て楽しむもの」から「作って楽しむもの」 .... 続きを読む |
|
|
[Stereoscopic 3D 第2章]06: 画像処理の延長線で生まれた朋栄のS3D関連製品「当社では画像処理関連の技術を持っているのですが、ステレオスコピック3D(S3D)関連の取り組みは、もともとは画像処理の延長線上の機能として生まれてきたんです」 こう話すのは、朋栄 .... 続きを読む |
|
|
[Stereoscopic 3D 第2章]05: 良質のコンテンツを増やせ!ソニーが取り組むS3Dソニーはこれまで、4Kデジタルシネマプロジェクターと、RealDとの協業で3Dプロジェクションレンズユニットなど、映画市場における上映環境の充実を図ってきた。昨年末のInter B .... 続きを読む |
|
|
[Stereoscopic 3D 第2章]04: 悩む前にやってみるS3Dストップモーション「ステレオスコピック3D(S3D)活用事例取材の記事もいいけど、初めてS3Dをやってみようという人が実際にどんなことに直面するのか、とにかく何かを作ってみるという実験企画記事も欲し .... 続きを読む |
|
|
[Stereoscopic 3D 第2章]03: フジテレビがアリス東京ドーム公演を3D放送フジテレビNEXTが、アリスの東京ドーム公演をステレオスコピック3D(S3D)収録し、4月23日19時から「3D アリス~東京ドーム『明日への讃歌』」として3D放送した。この番組が .... 続きを読む |
- [Stereoscopic 3D 第2章]02: S3Dの基礎知識2~3Dリグの使い分け (2010-05-19)
- [Stereoscopic 3D 第2章]01: S3Dの基礎知識1~立体視の仕組み (2010-05-19)
- [Stereoscopic 3D 第2章]00: 3つの重要ポイント~柔軟、短時間の設置、S3D演出家の登場 (2010-05-19)
- [映像新時代2010]03: 普及フェーズに入ったステレオスコピック3D (2010-01-20)
- [PRONEWS AWARD 2009]Vol.00 2009年を振り返る (2009-12-17)
USTREAM生放送番組
|
PRONEWS Lounge テーマに沿ったゲストを招き、対談・ディスカッションなどを特設会場より生放送。過去放送分も視聴できます。 |
特集記事
|
CES 2012レポート 世界最大級の家電見本市CES2012の現場から、PRONEWSならではの切り口でレポートをお届け。 |
|
|
PRONEWS AWARD 2011 2011年を振り返りつつ、2012年へ向けて各分野の商品・サービスを絞り込み総括する。 |
|
|
Inter BEE 2011スペシャルレポート 千葉幕張メッセにて開催されるInterBEE2011。PRONEWSでは今年もInterBEEのオフィシャルメディアパートナーとして、様々なコンテンツをお届け! |
|
|
Inter BEE 2011の歩き方 最小限の力で最大の効果が得られるInterBEE2011のおすすめの歩き方を、目的に合わせたコースごとに紹介する。 |
|
|
CEATEC JAPAN 2011 10月4日(火)から10月8日(土)まで幕張メッセにて開催される最先端IT・エレクトロニクス総合展 "CEATEC JAPAN 2011"をプロの視点からレポートする。 |
|
|
Movie Maker's GIG in Europe オランダ・アムステルダムで開催されたIBC2011レポートを中心に、新たに湧き起こって来た映像技術における次世代の新テーマなど、現場から伝わって来たその温度感をレポートする。 |
|
|
PRONEWS課題図書 2011年の夏の終わりに、あらためて「映像」に関わるものとして「映像」について考え、新解釈を探る事にした。 |
|
|
SIGGRAPH2011 CGの祭典「SIGGRAPH」が8月7日から11日の5日間、カナダ・バンクーバーで開催された。受賞作品を映像と共に紹介する。 |
|
|
Stereoscopic 3D 第4章 1年ぶりの3D特集。この間に3Dを取り巻く状況はどのように変化しただろうか?押さえておくべき3Dの基礎を考えつつ、2011年の3Dを再考してみる。 |
|
|
Movie Maker's GIG in Hollywood セッション(GIG)感覚で映画が創れる時代の潮流をハリウッドではどう捉えているのか?CineGearExpoの情報もお伝えしつつ、次世代のプロ映像制作者像を追い求める。 |
|
|
Master Mind Camera 2011 今必要な理想のカメラを追求しつつ、カメラを使う人と機能から紐解いていく。 |
|
|
NAB2011 スペシャルレポート 4月11日から米ラスベガスにて開催された世界最大の放送機器展「2011 NAB Show(NAB2011)」。毎年恒例のレポート特集を現地よりお届け。 |
|
|
USTREAM最終案内+ 奇しくも、今回の震災でのライブメディアが活躍する事になった。3.11以後USTREAMをはじめとするライブメディア/ソーシャルメディアのあり方を今一度取り上げてみたい。 |
|
|
ファイルベース新時代 ファイルベースの進化は、VTRの進歩とともに現在に繋がってくる。1950年代に開発されたVTRを起点にその流れを簡単にさかのぼってみよう。 |
|
|
Into the Lens 『CP+』における取材を通じて、2011年のプロ映像界におけるレンズの世界最新事情や表現者たちの最新機材での挑戦を追う。 |
|
|
CES 2011レポート 世界最大級の家電見本市CES2011の現場から、PRONEWSならではの切り口でレポートをお届け。 |
|
PRONEWS AWARD 2010 2010年を振り返りつつ、2011年へ向けて各分野の商品・サービスを絞り込み総括する。 |
|
|
Inter BEE 2010スペシャルレポート 千葉幕張メッセにて開催されたInterBEE2010のレポート記事や動画を掲載。 |
|
|
Inter BEE 2010の歩き方 目的に合わせたInterBEE2010の歩き方を紹介する。 |
|
|
映像品質検証 -VQC- デジタル映像全盛の今、問われる映像品質検証の現状とは? |
|
|
DSMC/DSLR 2010 #2 現場感覚におけるDSLRの現状の捉えられ方を取材してみた。 |
|
|
Stereoscopic 3D 第3章 ステレオスコピック3Dの具体的な制作方法を考えていく。 |
|
|
Ustream最終案内 Ustreamの世界の可能性を実際に現場で活躍する人々から探ってみた。 |
|
|
Digital Cinematography 2010 Cine Gear EXPOの様子などから、これからのハリウッド映像制作の方向性を紹介する。 |
|
|
Stereoscopic 3D 第2章 関心が高まっているステレオスコピック3Dコンテンツの制作について整理していく。 |
|
|
DSMC・DSLR 2010 CP+のレポートを中心に、2010年のDSMC/DSLRの動向について考察していく。 |
|
|
ファイルベース収録カメラ最新案内 ファイルベース収録カメラを選択するための基準や基礎知識等を、レビューを交えて考察する。 |
|
|
Transcode ファイルベース・ワークフローの普及と共によく目にするようになったトランスコードについて整理する。 |
|
|
映像新時代2010 2010年の映像制作の潮流を様々な方面から予想していく。 |
|
|
稲田出のトレンド100選 InterBEE2009で見た2010年注目100アイテムを紹介。 |
|
|
PRONEWS AWARD 2009 2009年を振り返りつつ、2010年へ向けて各分野の商品・サービスを絞り込み総括する。 |
|
|
Inter BEE 2009スペシャルレポート 千葉幕張メッセにて開催されたInterBEE2009のレポート記事やブース動画を掲載。 |
|
|
Inter BEE 2009の歩き方 目的に合わせたInterBEE2009の歩き方を紹介する。 |
|
|
最新映像制作ワークフロー VFX 2009 最新映像制作ワークフローの中から、制作効率を改善していくヒントを探す。 |
|
|
オンボードライト特集 Light House 新時代を予感させるLEDを中心にオンボードライトを解剖する。 |
|
|
立体視映像特集 Stereoscopic 3D 再び脚光を浴び始めているステレオスコピック3D制作に焦点を当てる。 |
|
|
REDワークフロー特集 RED flow Now RED ONEの最新ワークフローを考える。 |
|
|
4Kデジタルシネマ特集 4K Ready! RED ONEの登場で一気に注目されつつある4K映像とは? | |
|
デジタルサイネージ特集デジタルサイネージ2009 急速な広がりを見せるサイネージメディアを紹介する。 |
|
|
ワークフローの鍵を握るMXF MXFファイルを活用する現場を取材し、制作ワークフロー全体に広がるMXFを紹介する。 |
|
|
フルデジタル制作移行、その課題と展望 フルデジタル制作環境に向けて乗り越えなければならない課題と、その先の可能性を紹介する。 |
|
|
2008年総括:これからの映像業界 2008年の売れ筋を見ながら、人気機材の動向を振り返ってみる。 |
|
|
次世代収録環境へのアプローチ 2008年のカメラ環境を踏まえ、次世代環境に必要なものを考える。 |
展示会レポート
- CES 2012
- Inter BEE 2011
- CEATEC JAPAN 2011
- IBC2011
- SIGGRAPH2011
- デジタルサイネージジャパン2011
- IMC TOKYO 2011
- Cine Gear EXPO 2011
- NAB2011
- CES 2011
- Inter BEE 2010
- CEATEC JAPAN 2010
- IBC2010
- CEDEC2010
- SIGGRAPH2010
- ケーブルテレビショー2010
- IMC TOKYO 2010
- デジタルサイネージジャパン2010
- Cine Gear EXPO 2010
- NAB2010
- Inter BEE 2009
- CEATEC JAPAN 2009
- CEDEC2009
- SIGGRAPH2009
- ケーブルテレビショー2009
- デジタルサイネージジャパン2009
- IMC TOKYO 2009
- Cine Gear EXPO 2009
- NAB2009
- Inter BEE 2008
- CEATEC JAPAN 2008
- SIGGRAPH2008
- ケーブルテレビショー2008
- IMC TOKYO 2008
- NAB2008
- PIE2008
- Inter BEE 2007
- CEATEC JAPAN 2007
- BroadcastAsia2007
- ケーブルテレビショー2007
- NAB 2007
- Inter BEE 2006
- CEATEC JAPAN 2006
- SIGGRAPH2006
- NAB2006
