ソニーとパナソニックが、有機EL事業から完全に撤退する。昨年12月に、両社が共に進めていたテレビや大型ディスプレイ向け有機ELパネルの共同開発の提携を解消。両社とも大型有機ELパネルの開発はそれぞれ独自に進めていた。

今回、両社はそれぞれテレビ以外の用途も模索していたが、生産コスト高で採算がとれるめどが立たないため、官民ファンドの産業革新機構が出資する液晶大手ジャパンディスプレイ(JDI)に事業を売却するという。早ければ来月の売却で基本合意する見通しだ。JDIではタブレットやスマートフォン向けの中小型パネルを共同開発する新会社を設立し、将来の生産も含めた事業統合も検討するという。

有機ELテレビをめぐっては、韓国のサムスン電子とLG電子が先行して有機ELテレビを発売しているが、価格が高いことなどから市場は広がっていない。

ソニー、パナソニックともに高精細の「4Kテレビ」など、液晶テレビの開発に集中し不振のテレビ事業の立て直しを急ぐ。今回の両社の動きにより、有機ELの大型テレビ開発から日本勢が姿を消すことになる。

(山下香欧)