1月9日(米国現地時間)は8日に引き続きプレス向けの各種イベントが行われた。基調講演でトレンドを把握するも良し、各社の新製品・新サービスについてのプレゼンを聞くも良しの1日だ。当然人気の企業には多くの期待が寄せられ、いつにもまして開場時間よりも早く長蛇の列ができるのを目の当たりにした。特に今回SMART TVで業界を牽引する企業の一つであるサムスンは、実に1時間半前に並んだ人でも入場制限されたというからその注目の高さが窺い知れる。今回はその中から昨年人気に火がついたレンズ交換型ミラーレスカメラの次世代機を発表した富士フイルム、家電とインターネットの融合へ本格参戦を表明したSONY、Panasonicのプレゼンテーションを取り上げたい。

新たなユーザー体験を創出するSONY

ソニーは、例年、プレスカンファレンスをブースで行う事が定番となっている。黒というイメージが多いのだが、今年は白を基調としたブースであり、かなり違った印象を受けた。巨大3Dディスプレイを使った演出は、昨年同様だった。

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ハワード・ストリンガー(左)、ウィル・スミス(中)、バリー・ソネンフェルド監督と豪華な顔ぶれ

この夏公開の映画「Men In Black 3」の主演のウィル・スミスとソネンフェルド監督が大量のスモークに姿を現し、会場を沸かせた。ブースにも掲げられたキーワードであるPlay. Watch. Listen. Shareというキーワードとともに、ネットワークサービスを中心に製品展開される事をアピールした。

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前半、登壇した平井一夫代表執行役副社長は、「Sonyの製品や豊富なコンテンツ、ネットワークサービスなどのリソースで、豊富なエンターテインメント体験を提供できる事が、Sonyの大きな強み」と語り、さまざまなSony製品に対応する横断的なコンテンツサービスの説明が行われた。

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その中でも注目すべきは、ニュースでもお伝えした通り、Google TVプラットフォームを採用した新製品として、ネットワークメディアプレーヤー「NSZ-GS7」とブルーレイディスクプレーヤー「NSZ-GP9」の2機種を発表したことだろう。「ブラビア」シリーズの上位機種にも実装されていく予定だ。昨年のソニーが掲げた「テレビを再定義する」は、まさしく本年のSMART TVの潮流に流れ着く。同社には引き続き牽引していただきたい。

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この時期に毎年新ラインナップを繰り出してくるBloggie。ー昨年は360°撮影、昨年は3D化され、今年はいよいよライブ配信が行える様になった。その年のトレンドを反映した機能を実装してくるのも面白い所だ。ライブ配信時は、現在Skype子会社のQikに対応している。録画しながらのライブ配信も可能で新しいコミュニケーションの形が考えられるだろう。Bloggie Live(MHS-TS55)は、フルHD MP4ビデオを採用、8GBメモリーやWiFi機能を実装している。値段は$250で日本での発売はないそうだ。

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その他にも同社製品とサービスを結ぶ新しい体験できるラインナップになっていた。Crystal LED Displayや裸眼3Dディスプレイなどいくつかのプロトタイプも出展されており、非常に興味深い物ばかりであった。SMART TVをはじめとするネットワークされたプラットホームがやってくる事を感じるプレスカンファレンスであった。

プロの表現力と質感を凝縮したXシリーズの実力は? 富士フイルム

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富士フイルムのXシリーズは、コンパクトデジタルカメラの大きさでプロの表現力を謳ったモデルである。X10、X100と進んできた流れをさらに加速させる「X-Pro1」を発表した。X-Trans CMOSセンサーは有効1,630万画素で、センサーサイズは23.6×15.6mmのAPS-Cサイズだ。カラーフィルターの配列をベイヤー方式の2×2ピクセルセットから6×6ピクセルセットに変更し、画質の向上を実現した。

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また、複数の画角に対応したHybrid Multi Viewfinderを搭載し、装着したレンズに合わせ倍率が2段階(広角時:0.37倍、標準時:0.6倍)に自動で変倍、同時にファインダー内液晶で画角が表示される設計になっている。

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筐体だけではなく、レンズ、アクセサリー類も高級感を漂わせる質感となっており、オトナの所有欲と撮影欲の両方を刺激してきた。Xマウントに対応したXF-Lensも2012年はSuper WideとZoom Lensの2系統に絞って3タイプを販売。来年2013年にはSuper new PrimeとZoom Lensを販売する予定だ。

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レンズ交換型ミラーレスカメラの市場争いは昨年特に激化した。その競合他社製品とX-Pro1を比較し、他社製品をConservativeとLow Qualityの枠に分類することでX-Pro1で猛攻をかけたい富士フイルムの強い意思が示された。

SMART VIERA構想に見るPanasonicの家電とインターネットの融合へのロードマップとは

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Panasonicは冒頭にPanasonic Smart Solutionsとして創業100年の節目である2018年までに環境対策のイノベーションを起こすと表明。アメリカにおける勢力パーセントを競合他社と比較し、PanasonicがNo.1であることを示した。その上で、今後展開する戦略をConsumer、Solutions、Devicesの3文字で表現し、Panasonicは単なる開発会社ではないと力強く断言した。新製品ではないが、Consumerの中に含まれる業務用技術を必要とするプロのために昨年夏に発表したZ10000を取り上げて、個人のための製品づくりだけにとらわれない姿勢をアピールすることも忘れなかった。

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家電とインターネットの融合に対する姿勢としては、Skypeを使うことができる折り畳み式の端末である「Skypeコミュニケーター」のプロトタイプを紹介。プロトタイプのため、年内に商品化に向けて検討が進められているものであり、詳細については明らかにされなかった。また、4K2K表示ディスプレイとして世界最小、最薄となる20型4K2K液晶パネルを開発したと発表して会場を沸かせた。

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そして、一番の目玉として液晶テレビVIERA 55型のTC-L55WT50、47型のTC-L47WT50など18機種を発表した。WT/DTシリーズは滑らかな動画表現を達成。業界最速となる1.4msの新3D超高速スキャン技術によって、3D映像の二重像を低減する。加えて、インターネットとの連携によりソーシャルメディアならびにエンターティメント機能を強化し、VIERA Connectを通じた新サービスを提供すると発表。テレビの視聴と、Skypeが同時に楽しめる機能やMySpace TVへ対応し、子供向けサービスとしてDisney Publishing Worldwideを提供する。

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シンガーソングライターのJustin Timberlake

MySpace社CEO Tim Vanderhook氏も登壇しこの連携に対するコメントを寄せ、さらにスペシャルゲストとして、ソーシャルメディアの利用で様々な物議を醸したこともあるJustin Timberlakeが登場。ソーシャルメディアと生活の中に溶け込むテレビとの連携に対する期待感をもってコメントを寄せた。

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編集部ではUnveiledで今年のテーマをおぼろげながらも定めていたが、Panasonicの「SMART VIERA」構想発表からも「SMART TV」は、外せない所である。特に新シリーズの液晶テレビにインターネット連携機能を厚く盛り込んでいるところも注目すべき所だ。


Vol.01 [CES2012] Vol.03