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[OnGoing Re:View]Vol.14 こなれた価格と作り込まれた画作り〜SONY PXW-Z150を試してみる

2016-06-03 掲載

txt:猿田守一 構成:編集部

4Kカメラ入門としては十分な性能

OGRV_14_1050369_b PXW-Z150

前回HXR-NX100のレビューを紹介させていただいたのは去年(2015年)の10月であったが、今回また新たなカメラという事でPXW-Z150を編集部より預かった。

満を持してSONYより低価格帯の業務用レベルの3リング4Kカメラがお目見えした。HXR-NX100の4Kバージョンといったところだろう。元々NX100は1インチ2000万画素のExmor Rセンサーを搭載し、光学系の基本形態もほぼ同じである。Z150は比較的コンパクトなレンズ一体型で、往年の名機PD150系のサイズ感と使い勝手が甦ったカメラとして今後の4K市場を圧巻するのでは?との期待感が垣間見られる。

外見はほぼNX100と同じといった所ではないだろうか。また内部的には1インチ単版CMOSイメージセンサーという事でPXW-X70の流れを受け継いでいる。今回それらとの違いを検証したかったのだが、あいにく両機の実機がなかったため、今回はSONY初の4Kハンディカム機AX100とかなり共通する部分があるのでこの機種との比較を一部交えて検証してみた。

新開発センサーの実力

OGRV_14_y_PXW-Z150_001

本機の新たにフューチャーされた部分であるが、X70で採用されていた1インチExmor Rセンサーから新開発のExmor RSへと大きく変わった。このセンサーはExmor Rセンサーで採用されていた画素領域の上下にある伝送回路領域の設置場所を見直し、画素領域の背面に伝送回路を配置することにより伝送回路の大型化を実現できた。これらの変更により読み出し速度の高速化(2倍)ならびに全画素読み出しによる高画質化が実現できた。またHDでの使用では120fpsでのスロー撮影にも対応。なによりも読み出し速度の高速化により今まで問題となっていた動体ひずみがかなり解消されたという印象を持った。

http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2016/05/OGRV_14_Z150.jpg PXW-Z150動体歪(Exmor RS)1/30
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http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2016/05/OGRV_14_AX100.jpg AX100(Exmor R)1/30
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OGRV_14_1050378 このような状態でパンニングを行い動体歪をチェックした

極めて低ノイズ

本機の光学系の開放値はF2.8~F4.5と望遠域ではかなり暗い。はっきり言って室内撮影でゲインを0dBで使う事はよほど照明を焚かないかぎり現実的ではない。しかしながら新開発のExmor RSの超低ノイズな新センサーの恩恵により、この光学系のウイークポイントを見事に解決した。昔のCCDカメラ時代では低ノイズと言われているカメラでも12dBまで感度を上げてしまうとかなり厳しいノイズに晒されていたのだが、本機では極めて良好なS/N特性のためかなりいけてしまう。筆者的には12dB辺りまでなら何とかいけるのではないかという感じがした。

本機は1インチの大型センサー搭載という事なので、今までのNXCAMなど1/3インチセンサーと同じ程度の光学系の明るさを求めようとする場合、単純計算で9倍の面積差がある本機では光学系もセンサーサイズに合わせたサイズが必要になる。しかしながら光学系を大きくする事で重量や前球のサイズが大きくなりその分コストやバランスの欠如を招いてしまうため、このサイズ感を実現するためのSONYの解なのかもしれない。

OGRV_14_SN

EDIUS Pro 8.2で200%拡大した。

http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2016/05/OGRV_14_0dB.jpg 0dB
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http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2016/05/OGRV_14_9dB.jpg 9dB
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http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2016/05/OGRV_14_12dB.jpg 12dB
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http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2016/05/OGRV_14_18dB.jpg class= 18dB
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http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2016/05/OGRV_14_27dB.jpg 27dB
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上記テストクリップはあくまでも元画像の1/4の面積の部分を拡大したということを念頭に入れてもらいたい。いかにノイズが少ないかという事がお分かりいただけると思う。

高品位なレンズ系

いくら4Kが撮影できるといっても光の入り口であるレンズ系がしっかりしていないと高画質な映像は望めない。今回この機種にはGレンズが採用された。ED(特殊低分散)ガラスと非球面レンズの採用により高次元の球面収差や色収差の低減が図られており、光学12倍ズームでありながら4Kで18倍、HDでは24倍まで解像度感が保たれた全画素超解像ズームの恩恵にあずかれる。広角は29mm(35mm換算)と今までのHDカメラでは26~28mmが一般的なのでちょっと引けない印象であるが、使いかた次第では問題にならないだろう。

レンズの収差などは画面の四隅に出やすい。テスト映像でもお分かりいただけると思うが、最広角から光学最望遠まで非常に良好な結像をしてる。特に注意して見てもらいたいのは画面の隅に近い部分。この様にコントラストの高い映像ではレンズの性能がもろに出てくる。細かい部分が色ずれやボケが無くすっきりと描写されている本機はとても優秀な光学系を持ったカメラであることは間違いない。

http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2016/05/OGRV_14_Still0516_00012.jpg 最広角
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http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2016/05/OGRV_14_Still0516_00011.jpg 光学最望遠
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http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2016/05/OGRV_14_Still0516_00010.jpg 超解像ズーム最望遠
※画像をクリックすると拡大します

何よりも低価格帯4Kカメラではレンズ周りの3連リングは非常に待ち望まれていた機能であり、本機でようやく実現した。実際使ってみての印象だが、ズームリングの追従性はまずまず。今までのZ5Jクラスとの比較でもそれほど違和感がないと感じた。ただ、超解像ズーム併用の場合光学領域が終わった時点で一瞬止まる。なので光学領域から連続で超解像ズームに移行する場合は注意が必要だ。

フォーカスに関してはフォーカスアシスト機能がこのカメラには付いていない。なので、オートフォーカス時にピント位置を迷っているカメラに対して送ったり戻したりすることが出来ないのは残念だ。

OGRV_14_1050325

果たして操作性はいかに!

なによりもこの機種、筐体に関してはボタン配置などNX100とほぼ共通ということがわかる。ある程度SONYの小型ハンディカメラを使い慣れた人であれば違和感なく使いこなす事ができるだろう。

OGRV_14_1050331--- OGRV_14_1050333---

ただ上位機種と比べるとアサインボタンが6箇所のみとなっており、この割り振りをどうするかのカスタマイズは使用者の腕にかかっている。できればWB SETボタンは専用ボタンとし、アサイン専用のボタン群が欲しいところである。

OGRV_14_1050341--- この位置にアサインボタンというのも珍しい

アサイン6ボタンに関してはビューファーの脇に付いており、なかなか見つける事が出来なかったのはご愛嬌。

OGRV_14_Z150VF--- 高解像度のOLED

ビューファインダーには144万画素の高精細の有機EL(OLED)が採用された。4K映像のフォーカシングにはこの程度の解像度があればピントの山をつかみやすい。

しかしながら接眼部分の開口サイズがいかんせん小さすぎる。というのも付属のアイカップを装着した状態では眼球と、接眼部との距離が数ミリ遠いため、このアイカップが装着された状態ではOLED画面がケラれて全てを見ることが出来ない。アイカップの形状を変えるか接眼部分の開口面積を広くしてもらいたい。またOLEDの焼きつき防止のためのセンサーが取り付けられている。

このセンサーに顔を近づけると液晶パネルの映像が消えOLEDのみとなる。このセンサーがオートモードの時にVF近くに撮影者の身体などが近づくと液晶パネルの表示が消えてしまうので上部ハンドルを使用したハンディでの撮影スタイル時などは注意が必要だ。OLEDと液晶モニターは同時使用はできない。

OGRV_14_1050340---

液晶パネルを開くと操作ボタンが出てくるのだが、この辺りはNX100と全く同じでかなり簡略化されている印象だ。

記録モードの充実

OGRV_14_1050349

4K(QFHD)ではXAVC 4K(264.H/AVC 4-MPEG)100Mbps/60Mbps、3840×2160、30P/24Pが選べる。収録時間の目安は64GBのSDカードで約65分/100Mbps、100分/60Mbpsとなっている。

またHDモードではXAVC HDの場合、最大で60P/50Mbps。MPEG HD 422の場合60i/50Mbpsとなっている。現在のところSDカードの物理的記録速度の関係から60Pまでの対応は出来ていない。この部分は上位機種であるZ100が対応しているので住み分けができているのだと思う。

記録モードは最近のカメラでは定番の同時記録、バックアップ記録、リレー記録に対応している。

実勢価格も40万円以下(2016年6月現在)という事なので、この価格で高性能な4Kカメラが手に入ると言うのもなかなか素晴らしい。ただ、上位機種と比べるとかなり割り切った部分も見受けられる。しかしながら画質に関しては手を抜かないというSONYの心情が漂う本機だった。

今まで使用していたNX系からのリプレイスにはちょうどいいカメラではないだろうか。


WRITER PROFILE

猿田守一 企業用ビデオ、CM、ブライダル、各種ステージ記録など撮影から編集まで地域に根ざした映像制作活動やCATV局などへの技術協力なども行っている。


[ Writer : 猿田守一 ]
[ DATE : 2016-06-03 ]
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