[映像新時代2010]02: 重要性を増すテープレス同時収録

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[映像新時代2010]02: 重要性を増すテープレス同時収録

2010-01-20 掲載

[映像新時代2010]02: 重要性を増すテープレス同時収録

PCキャプチャーに見る同時収録

HDVと言うフォーマットが所謂"ハイビジョン"を身近にしたのは周知の事実だと思う。当時、小型テープ収録でのHDフォーマットをどう実現するのかと言うのが論点でもあった。筆者にしてみれば、ファイルベース収録は今に始まった話ではない。得意分野であった舞台撮影時において、長時間収録には欠かせない収録方法として、PCスペックがPentium III/1GHzになったぐらいのSD時代から現場にノートPCを持ち込んでビデオキャプチャーしていたからだ。ノンリニア編集製品で言えば、カノープスのDV-STORMが、Windows製品の事実上のスタンダートになった頃だ。

なぜ当時からファイルベース収録の前身とも言えるPCキャプチャーをしていたのかと言えば、バックアップ的な意味合いが一番強かった。報道系カメラマンにはバックアップ収録はピンと来ないかもしれない。しかし、筆者のように、インハウスでさまざまな収録を行うようなミドルレンジでの業務内容では、バックアップ収録は切っても切れないものだ。例えば,舞台収録やブライダル収録、企業相手のオンデマンド系収録では、取りこぼしがNGなのも当たり前だが、1フレームでも欠落するとロケ自体が使い物にならなくなる可能性も強い。ドロップアウトしてしまったら、バックアップ機材からその部分だけ映像を戻すこともする。カット・シーンごとにプレビューする時間や状況があれば、テイク2をお願いすれば良い。しかし、それすら出来ない現場では、スタジオに帰ってから収録映像に愕然としないように保険をかけておくのだ。

バックアップ収録とはいえ、2台もENGを現場に入れられる予算があるはずもない。そこで、小型民生カメラや据置テープデッキを使って同時収録したのだが、テープ収録であるために2台同時にドロップアウトという可能性も捨てきれない。こうした背景で行われたのがノートPCによるHDD収録であった。これがファイルベース収録の始まりであったかもしれない。

しかし、ビデオキャプチャーで同時収録時に、予期せぬシステムエラーが発生してPC自体がフリーズし、ビデオキャプチャーが終了してしまったことがある。こうなると、メイン収録でトラブルが出ないように神頼みするしかない。これを恐れると、PC収録からWテープ収録に戻ったりして本末転倒の自体に陥る事になる。 その後は、PCを使用しないHDD収録デバイスを選択してみたが、外国製品であるからなのか、IEEE1394の相性の問題なのか、なかなか安定して動作してくれない時もあった。保険のための同時収録が、保険にならないとすれば問題だ。

ファイルベースだからこそ同時収録を

ノンテープの収録をどうするかと検討していた時にソニーから登場したのがHVR-Z7JとHVR-S270Jだ。この2機種にはCFカードに収録できるレコーディングユニットが付属しており、ミドルレンジには理想的な同時収録を実現させたシステムだった。HDV画質をテープとCFカードに同時記録することは、ある意味、マスターテープと編集用ワークテープの2種類を同時に現場で作ることにもなった。これにより、撮影終了後のワークフローが俄然やりやすく時間短縮にも繋がった。

HVR-270J.jpg ソニーHVRー270Jと付属のCFカード レコーディングユニット(右)RecordingUnit.jpg

このCFユニットは、DV端子から吐き出される信号を全て受け止めてくれるので、ソニーの上位機種であるXDCAM EXのHDV互換モードでの出力はもちろん、実は他社カメラの独自フォーマット(Canon 24Fなど)も扱えてしまうというマルチユニットだった。ここに至って、筆者はダブルメモリー収録の可能性を考えるようになってきた。メモリーの方がテープエラーによるノイズの発生が皆無になるため、メイン収録もメモリー収録にしたいと考えたのだ。

さまざまなパターンでのダブル収録が考えられるが、その根底にあるのは、やはり"保険"だ。しかし、ファイルベースではテープ収録時とは若干、保険の意味が変わってきたようだ。テープ収録であれば、テープが回りタリーが入れば"録画されている"と体感できた。実際にテープが回る音はしなくても、振動やかすかなメカノイズで"記録"を判断しているはずだ。

しかし、ファイルベースでは、メモリーにファイルが"記録"されることで振動やメカノイズが発生するわけではない。デジタルカメラであれば、メモリ記録ランプが点滅して、撮影した画像のプレビューが表示されるので記録されたと分かる。しかし、映像をリアルタイムで収録していくビデオでは、収録時に録画できていると判断する手段が無いのだ。メモリーがトラブっていて収録できていない可能性は収録後にしか分からないというところに、ファイルベース収録に対する不安を感じるカメラマンが多いのだ。撮り直しがきかない現場であれば、なおさらだ。同時収録ができれば、かなり不安を軽減出来るはずだし、ファイルベース移行も一気に進む可能性がありそうだ。


[ Category : SPECIAL ]
[ DATE : 2010-01-20 ]
[ TAG : テープレス 映像新時代2010 ]

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