txt:岡英史 構成:編集部

撮影に必要なものとは?

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Martin「M-Touch」。このコンパクトなコントローラーで512のDMXチャンネルを制御可能

カメラ!と言うのは当たり前過ぎて除外だが、その他にはどんなものがあるか?音声ももちろん大事だが、一番重要な事は「光=照明」だ。光がなければ映像として収録する事は不可能。近年のビデオカメラは高感度・低ノイズであたかも照明が要らないと言う様に誤解されている風潮だ。さすがにハイエンドの収録ではそんな事はないが、特に筆者と同じ様なレンジで現場を回しているカメラマンの中でもたまに見かける事がある。もちろん予算ありきで照明さんを呼べ無い場合も少なくはない。それでも最低限の照明(パルサー等)を自分で立てて工夫をしたものだが、HDになりLEDパネルがこなれた価格になった辺りで、照明を軽く見る風潮が多くなったように思われる。

カメラの感度が上がったと言う事は今まで1kwだった現場が500wに、300wタングステン×3灯が600球LEDパネル×3灯になったと言う事、ここでの予算圧縮が最大のメリットなのだ。

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まさにイージーオペレート!

しかしながら照明は本当に難しい。筆者も色々教えてもらっているが、光を足す事は理解できるが光を切るのがやはり難しい。そんな中で光を少しでも簡単にオペレートできて、光をコントロールして演出が出来たらそれはカメラマンとしての武器にもなることはいうまでもない。

興味は最大のスキルアップ

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DMXコントロール出来るメジャーな照明はプリセットで初期セッティングが出来ている

今回は連載でなかなか取り上げる事が少ない照明機材について書いてみたい。もちろん筆者は照明に関しては素人みたいなモン。それでも色々教わりつつ何となく日々精進している。

ある時機材打合せで、何時もお世話になってる方の所に寄ったら面白い機材があるよ!っと見せていただいたのが今回の機材。「Martin」と言えば照明の世界では有名なブランドである。

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これらの機器は、DMX信号で制御が出来るコントロールパネルから成り立つ。ここで簡単にDMX512信号についてミドルレンジでも解るように説明してみよう(照明さんからすれば。そりゃ違うよ!と思う所もあるだろうがあくまでも筆者の感じ方としてと思って欲しい)。DMX512信号はその規格内での機器をコントロールする為の世界共通規格で512chを256段階での制御が出可能だ。コントローラーからは1バンクに付きデジタル信号(ケーブル)をループでつないでコントロールする。

各々の機器にはIDがあるので、そのIDをコントロールパネルで制御するものとアウトライン的にはこんな感じだ。ビデオカメラに置き換えるとリモコン制御の旋回カメラと同じようなシステムと思って良いだろう。ここで512chと効くとかなりのch数があると感じるだろう。筆者は素直にそう思った。

しかし、今回コントロールしたLEDパネルとLEDムービングライトは各々1chで動くわけではない。例えばLEDパネルは照度で1ch、色温度で1ch、主電源で1chの計3chを1台で使っている事になる。更にムービングライトではXY軸にそれぞれ1ch、フォーカスやシャッターにも1chとかなりのch数を専有することになる。更に3chのLEDパネルが3台ある場合、各々を違う動きにするなら3ch×3台=9ch、全部同じコントロールで良いなら3ch分だけの占有となる。更にもっと細かい事にも対応している。が、その先の領域は照明部の方にお任せしたい。

PCコントロール

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M-TouchはPCベースである。コントロールソフト自体は無償でダウンロードでき、その機能は上位機種のコンパネとソフトウェアは同じ物を使っている。PCとコンパネの接続はUSBを使用している。コンパネ自体には機械式のスライダーは無く、タッチパネルのような感圧式のボリュームを使っているために、機械的なエラーは無いだろう。

とは言えPCベースなのでPC自体がフリーズして落ちたら?と疑問を持つ方も居るだろう。基本はPC自体に無駄な常駐系のソフトや違うアプリを立ち上げて無駄にリソースとパワーを消費しなければ落ちることはないが、とは言え100%ではない。その時は端末の機材(ライト)にセーフティーが組み込まれているのでそれをプログラムしておけば最悪の状況は免れるという。勿論全てのライトに付いている訳では無いがメジャーブランドならほぼ搭載している。逆に中国製のDMXライトにはこの機能は付いていないので注意が必要だ(但し中国製のライトにも、信号がなくなっても稀に光が明かりが点くものもある)。

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コンパネ以外でもPCがタッチセンサー液晶の場合は指で直接コントロールも可能

ミドルレンジ的DMX照明コントロールとは?

さてこれらを使って何が出来るかを考えてみた。もちろん本当の使い方としては舞台等での仕込みに使うもので小劇場ならM-Touchが1台あればコントロールは全く問題ない。しかし正直それは自分の範疇を超えている。では何か?提案したい現場としては対談等をUstream等で配信する現場などがピッタリだ。特に小さい現場で予算感が低い現場では照明は後回しされてしまう事が多い。この現場にLEDパネルを3灯入れるだけで雰囲気はガラリと変わる。

この様な現場はワンマンで全てをこなさなければいけないが、M-Touchは各々シーンごとに照明を組めるので、最初の始まりと共に明かりが入り、パネルディカッション等では順番に光が変わり最後のエンディングで明かりのオフに逃げると言うもの。ボタンを押すだけでどんどんテイクが進む事ができる。もちろんワンマンOPも可能でこれだけでも十分スタジオ感は感じれる。さらに変更があれば本番中にその修正が可能だ。

総評

今回未だ勉強中の照明が題材、岡英史風に捉えてみた。M-Touchの素晴らしい所はその価格である。10万円前後の価格設定になるとの事だ。これは照明部さんにしてみればかなり嬉しい悩み所かも知れない。更に600球LEDパネルライトでメーカー選ばないならばライトだけで3万円×3=9万円、コンパネと合わせても20万円位で揃ってしまい、パルサーの3灯の時代からすれば非常に安価だ。

更にムービングライトを1灯借りてこのシステムに入れればその効果は大きい。M-Touch本来の使い方からは外れてしまうが、コレならミドルレンジの現場でも十分自前機材で揃えれれる事が可能だ。しかし照明は本当に奥が深く面白いなぁ〜と思う今日この頃。

※今回の機材に関しての問い合わせ先はMartin Professional Japan Ltd.まで

WRITER PROFILE

岡英史

モータースポーツを経てビデオグラファーへと転身。ミドルレンジをキーワードに舞台撮影及びVP製作、最近ではLIVE収録やフォトグラファーの顔も持つ。