VJと映像制作とその周辺

映像を楽器のように演奏する、それがVJ(ビジュアル・ジョッキー)です。世に広まったのは、今から15年以上も前の2000年前後でしょうか?これまで映像制作は、一部の限られた人のみが行ってきたものでした。それが機材や進歩により、自ら映像制作を行い、日夜クラブを発表の場として、活躍したのがVJ達でした。

当時活躍していたVJ達は、その後、映像業界の最前線で活躍されている方も多いといいます。VJが映像を誰でも制作できるように門戸解放した一端であるともと言えます。VJが勃興して15年ほど経った今、その間に何が起き、現在へと至ったのか?“映像というものとは?”と壮大なテーマを掲げ、VJを通して、制作ワークフロー、機材、人など映像演出の世界を考えてみたいと思います。今回はその第一弾です。

広告、映像、Webとジャンルを問わない幅広い制作活動を中心に、VJとしても国内外の大型野外フェスティバルから東京アンダーグラウンド・パーティーまでボーダレスに活躍をされているREAL ROCK DESIGN代表の千葉利之氏にお話を伺いました。

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VJプレイ中の千葉利之氏

──VJ活動をスタートされたのはいつからですか?

1996年から活動を開始しました、来年で20周年になりますね。グラフィックデザインの制作をメインにしていて、野外イベントの立ち上げに関わったことからフライヤーやWebなどを作ることになり、会場演出やVJなどにも関わることになっていきました。

──必要なものは自分たちで用意するということですね。

そうですね、イベントに必要なものを準備していく中で、グラフィックだけでなくあらゆるプロモーションツールを作っていったという感じです。そこからスタートしているので、VJやティザーサイトやムービーを作る際にも、自分の中にはモーショングラフィックを作っているという感覚が常にあります。

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渋谷にあるリアルロックデザインのオフィス

──様々な活動における、VJのポジションとはなんでしょうか?

とにかく、好きだからやってるんですけどね。でも、会社の代表という立場で言うと、プロモーションの役割を担っていると言えるんじゃないかと思っています。リアルタイムでデモリールを披露しているようなイメージですね。

──VJを通じて、仕事の依頼がくることもありますか?

どこまで直接的に依頼に繋がっているかはわからないですけど、VJというキーワードで検索してREAL ROCK DESIGNに辿り着いたという話は、よく聞きますね。広告やプロモーションの仕事を獲得するためではなくて、パーティーやイベントのためにVJをやっているんですけど、それが結果として、いろんなお仕事に繋がっているという実感はあります。

── 一般的な映像制作とVJ活動の大きな違いはなんですか?

一番の違いは、思いついたことがすぐに出せる、という点ですね。試写したり、会議したりすることなく、素材を作ったらスグに大画面に出せる。そうすることで、お客さんの反応もダイレクトに感じることが出来るので、「もっと、こうしてみよう」とか「ここの反応が良かったな」というのをどんどん反映させることができるのが、楽しさに繋がってます。

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透過性LEDパネルを用いた演出

──実験場的な側面もあるわけですね。

クラブのクリエイティブって、ローコストでハイパフォーマンスが求められる現場なんですよ。だからこそ、クリエティブの自由度が高いと思っています。そのためには、+αとなるアイデアが重要。低価格の機材でも工夫次第で、クリエイティブは発揮できると思います。

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VJプレイではローランドの新製品V-1HDを導入してパフォーマンスが行われていた

──今回のイベントでは、LEDを導入されているんですね。

はい。透過性LEDパネルを設置し、映像の間からDJが見えるという空間を作り出してます。もちろん、予算があって困ることは無いので(笑)。要求されている内容に合わせて、制作方法から機材構成まで考えていきます。

──VJにとって機材とは?

最初にVJをやったときは、映像をその場で混ぜる方法を知らなかったので、編集したビデオテープを持って行って流していました。ローランドのV-5が、僕らにも買える値段で出てきたことで、VJに映像をミックスさせる楽しみを与えてくれたというのは大きいですね。元々が音楽やDJがやりたくて、音を混ぜていく楽しさへの憧れがあったので、「映像でもそれが出来るようになったんだ!」という転換点になったと思います。

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──現在の機材構成を教えてください。

メインのソフトウェアとして、Modul8とMadMapperを組み合わせて使っています。MIDIコントローラーには、こだわりたいので色々と試して、いまはLIVIDを使っています。

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ハードウェアのビデオミキサーにV-4EX。あとは、V-800HDなども必要に応じて使っていますね。機材が小さくなることで移動が楽になるので、地方を含めていろいろな現場に行きやすくなるのは助かりますね。

──これからVJを始めたい人に向けてメッセージをお願いします。

VJ、もっというとクラブ空間において最高の演出は、ブラックアウトだと思っているんですよ。究極を言えば、映像いらないじゃん!っていう(笑)。でも、だからこそ暗く締まっている空間に、自分の映像を流して勝負できる楽しさがあると思っています。DJや照明と息を合わせて、パーティー空間を作り上げていく。大好きな音楽を大音量で聴きながら映像を大画面でミックスする体験は、一度体験したらやめられない。昔に比べて映像機材も手軽に買えるようになったし、ノートパソコンとかでVJ素材は作れるようになっているので、VJを始めるハードルは下がっていますし、VJをやる人がもっと増えてくれたら嬉しいです。

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編集部

PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。