txt:岡英史 構成:編集部

あけましておめでとうございます

昨年はIBCを境に色々なカメラ、特にミドルレンジには頭を悩ませるラインナップが登場した。もはやミドルレンジでも撮影素材の要求は4Kが当たり前になってきた。ちょうどDVCAMがHDVやXDCAM-EXに変わった時代の頃とオーバーラップする感じだ。そんな中で筆者が選んだカメラは先月のコラムやInterBEEでも使用した、Panasonic AG-DVX200だ。このカメラが販売されてから、何故か仕事先で用意されているカメラがDVX200が多い事と、やはり筆者の撮影体系に一番近いカメラと判断したからだ。

そしてもう一台はJVC GY-LS300CH(以下:LS300)だ。これはDVX200では補えない現場やステディカムとの組合せでスーパー35mmセンサーとレンズ交換と言うのが非常にマッチしたから。あれっ、オマエさんSony信者だろ?と思われる方もいると思うが、FS5の選択肢は無くFS7やF55はチョット食指が伸びなかったと言うのが本音だったりする。さて今回は趣向を変えて普段取り上げないカメラをチョイスした。

m4/3マウント

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このスケール感がスモールパッケージの現場には丁度良い

4Kの話をしながら今回の試用リポートはHDだったりするのが岡流。そもそもOM-Dに関してはCP+で5軸センサーで手振れ補正が凄い!と言う情報は掴んでいた程度。では何故?となるとLS300の存在が大きい。このカメラもセンサーこそS35だがマウントはm4/3と言う変則的なカメラ。基本はマウント変換を付けてEFレンズだが、マウント変換無しで付くレンズも試してみたいのはストレートな感想だ。

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外部収録はATOMOS SAMURAI BLADEを使用

そしてLS300と一番相性の良いレンズはオリンパスのレンズなので、直接連絡をしてお借りすることになったが、実際に出かけて色々な話をしていく内にE-M5 Mark IIがファームアップをしVer2.0になったことで動画性能が上がったとの説明を受けそれならば、レンズ+カメラ本体をお借りし、丁度予定にあったVPの現場に持ち込む事にした。とは言え今回はその現場写真は諸々の事情で出せないためにテストシュートでの感想を主としたい。

概要

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1が手振れ補正ON、2が手振れ補正OFF
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E-M5 Mark II登場当時は5軸手振れ補正のみが動画機能として注目された。本体内蔵のセンサーはXYZ軸の全てに働き、その滑らかさはSonyのハンディカム通称ギョロ目シリーズに匹敵するレベル。小型のミラーレスカメラだとホールドが甘いときが多々あるのでこの補正はかなり効く。更にレンズ部分の補整も加えると安い中華製スタビライザーよりは遙かにまともな画が撮れる。ただし画像を切り取っての補整になる為にその画角は若干狭くなる。

もう一つが今回の新ファームから採用された「Flat」。これはいわゆるローコントラストにする事で白飛びや黒潰れを出来るだけ解消し、擬似的にラチュードを稼ぐ感じだ。その代わりそのままではLogと同じ様に「眠たい画」の為にグレーディング作業は必須になる。またこの機能と同じくして使いたいのがハイライト&シャドウコントローラー。トーンカーブを実際のカーブと映像をリニアに見ることにより視覚的なトーンが現場で簡単に作れる。これは中々面白い。

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1が補正後、2が補整前
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ハイライト&シャドウコントローラーの画面。カメラのダイヤル2個で各々ハイとローを設定する
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その他の特筆する物はHDMIからのストレートな映像がスルーアウトで出力でき、そのビットレートは最高50Mbps 60pを筆頭にしたALL-Intraも可能なマルチレート、更にHDMI出力は内部4:2:0から4:2:2にアップサンプリングされた映像が出力される。ただし音声はエンベットされていないので別途外部録音が必要だ。

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SK8同様にベアリングに樹脂製ローラーが付いているために非常に滑らか

マンフロット スライダー「MVS060A」

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AFの追従性も十分及第点だ。m4/3レンズは明るい望遠レンズでも非常にコンパクトで良い

今回E-M5 Mark IIと共にテストした機材がもう一つある。NABshow2015で発表されたマンフロットのスライダー(60cm)だ。その時もNABからのレポートで取り上げたが、それがようやく製品となり日本上陸となった。日本でスライダーと言えばLIBEC ALLEXシリーズが有名で特にスライドの粘りが三脚ヘッドの粘りと同期するところが秀逸だが、マンフロットのスライダーは小手先抜きのストレートなベアリングを採用し、ドラッグは別にダイヤル式のつまみにて行う。そのためドラッグゼロの自重だけで動かすことが可能だ。

MVS060Aの一番の特長は、ベアリングに装着している樹脂ローラー。殆どの小型スライダー製品はベアリング直でレールに設置しているので埃や塵、更にレールに付いてしまった傷に弱いが、樹脂ローラーが付くことによって外径が大きくなり、抵抗値が減ると共に微振動を吸収してくれる。またサイズ的にもALLEXシリーズには無いちょうど中間の60cmと100cmをラインナップ。耐荷重も大きい為にヘッドだけ間に合えば中型のENGカメラも搭載できる。またマンフロットならではの豊富な脚の種類から目的に応じた物を選べば良いが、筆者的にお奨めはコスパも良いMVK502AQにヘッドはMVH502AHが使いやすい。

総評

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オリンパスとしては動画機能が他メーカーよりも一歩遅れている事を気にしているみたいだが、決して悪くない。むしろ真面目に良く作ってあるカメラだと感じた。

確かに多少の使いにくさは残っている。特にREC中のアイリス操作はタッチパネルでの受付なのでオープンで使うのは少々難しいが、明かりが一定しているスタジオ等なら問題はない。豊富なレンズ群も含めて良い物を作っているのにそれがあまり知られていないのは非常にもったいない。今回の件をきっかけに、もっと動画に振り込んだフォーマットと4K収録や、Log等のトレンドな機能も是非盛り込んでもらいたい。まずは2月開催のCP+でE-M5 Mark IIおよびオリンパスのOM-Dシリーズを見てもらえればと思う(※情報は未確認。あくまでも筆者の希望)。

WRITER PROFILE

岡英史

モータースポーツを経てビデオグラファーへと転身。ミドルレンジをキーワードに舞台撮影及びVP製作、最近ではLIVE収録やフォトグラファーの顔も持つ。