txt:土持幸三 構成:編集部

ロケハンの意味とは?

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ロケハンで奥へ奥へ

例年、川崎市の小学校での映像授業は秋から始まるのだが、今年は先月から月に一回程度、中学生も受け持つことになった。中学校では学年に関係なく、希望者を募って「総合」の時間に様々な講座をする形をとっていて9月までに撮影・編集を終える。他には昔の遊びや体を動かす講座があるのだが、映像制作は大人気で、担当の先生が大勢の中から学年・性別のバランスを見ながら30人を選ぶのに苦労したらしい。

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さらに奥へ奥へ

初めての授業では、みんな緊張していておとなしかったが、もうすでに自分達で映像を創った事のある生徒もチラホラいる感じだった。映像を通して伝えたいテーマは何か?相手にこちらの意図が伝わるにはどのような方法があるか?を説明し、ストーリーができたら学校内でロケハンをすることを話した。ロケハン=ロケーション・ハンティングの略だが、説明を始めると生徒達の表情は曇り、説明の難しさを感じた。

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ロケハンはまだまだつづく

彼等は、当然だが毎日学校に行って学校内は見ている。しかし、そこが撮影現場になるという目で見ていないので、例えば家庭科室が家のキッチンに、エレベーターが宇宙船になるという発想をするのが難しい。ストーリーは各班で話し合って、戦隊ヒーローものだったり青春ラブストーリーだったりで、テーマもきちんと練り込み、ある程度の形にはできそうだ。絵コンテも問題はない。その絵コンテに描いたイメージ通りのものを、学校の何処で撮影し、なおかつ少ない時間の中でどう効率的にこなしていくか?そこが経験値がないと難しいのだ。そこで、その現場(ロケ)からどんな映像が創れるのか?を創造しやすいように、実際にミュージックビデオのロケハンをすることになっていたので、ロケハンで撮った写真を見せることにした。

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ロケハンでは実際に動いてもらったり、立ってもらったりするとわかりやすい

通常、ロケハンは脚本を読んだ制作部が経験をいかし、さらに入念に調査して、撮影条件などを調べて監督、撮影監督等スタッフと見て周る。今回も低予算なので、撮影・演出をこなすことになり、依頼者で出演者も兼ねるミュージシャンと一緒に周った。事前に曲を聞いて歌詞を読んで話し合い、全体のイメージとストーリーを決め、僕なりに絵コンテをつくって現場に行った。

現場では実際の撮影予定時間に行き、陽の入り具合や周りの様子、色合いなどを確認し、実際に出演者に動いてもらった。普通、出演者と一緒にロケハンはしないので、実際に立って動いてもらうと、出来上がりのイメージがつかみやすく、わかりやすかった。これは中学生にも教える事にしよう。あらかじめ、インターネットで調べて気になっていた所を周るのだが、途中でも絵コンテを見ながら、このシーンで使えないか?など検討をしながら、次の場所に進んでいく。

ひと通り周ってみて実際に計画していたシーンがその場所ですべて撮影できるかの確認をする。今回は幸いにも予定していたものが全部、想定した場所で撮影できそうだ。撮影できなかった場合のことを考えて別の場所も候補に挙げていたが、そこに行く必要はなくなった。

次に考えるのは、どの順番に撮影していくか?出演者2人の順番をどうするか?衣装は?機材はどうするか?移動手段をどうするか?食事や飲み物はどうするか?などをミュージシャンと検討し、決めていった。

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このような場所は想像がふくらむ

小学校の映像授業でも脚本や絵コンテから、どこで撮影して映像にするかが思いつかない子供達が多い。ある学校では昨年から脚本が仕上がってから、ロケハンして撮影場所を決め、美術がなすべきことを把握する授業を撮影前に行ったら、ずいぶん撮影がスムーズになった。中学生にもロケハンを体験してもらい、想像をふくらましてもらおう。低予算だったり様々な要因で撮影場所は限られてくるが、身近な場所で想像力を働かせ工夫を施せば、見慣れた場所が最高の撮影場所に変わることを知って欲しい。

WRITER PROFILE

土持幸三

鹿児島県出身。LA市立大卒業・加州立大学ではスピルバーグと同期卒業。帰国後、映画・ドラマの脚本・監督を担当。川崎の小学校で映像講師も務める。