txt:岩沢卓(バッタネイション) 構成:編集部

ユーザーの要望から誕生したソフトウェアVUメーター「TabVU」

プロ向けスタジオや放送局などで見かけることが多く、VUメーターの業界標準機ともいえるヤマキ電気のメーター。そんなヤマキ電気が、2017年のInterBEEで発表し、話題となったソフトウェアVUメーター「TabVU」。

今回、正式販売が決定したというので、ヤマキ電気の営業部 部長の村川一広氏と、営業部の相良陽介氏のお二人に開発の経緯などについて話を伺った。

営業部 部長 村川一広氏(写真右)、営業部 相良陽介氏(写真左)

――ソフトウェアVUメーター「TabVU」を開発されたきっかけはなんでしょうか。

ローランドのM-5000CとTabVUを表示するタブレットPC

相良氏:ローランドさんから、M-5000で動作するVUメーターを作れないかという打診を受けたのがきっかけです。放送局の方からローランドさんに「中継現場にハードウェアメーターを持ち出すことはせず、ソフトウェアメーターを使用したいが、既存製品では満足できる品質のものがない」というお話があったそうなんです。

業界標準機のヤマキ電気製VUメーター。写真はVUM-DF02

村川氏:実は、6年ほど前に大手映画会社さんからの依頼で、ダビング・ステージ用にソフトウェアVUメーターを開発したことがありました。最初、ソフトウェアのメーターと聞いたときには、解像度や応答速度などの心配をしていたのですが、「32インチサイズのモニターに1つのメーターを表示して、それを8つ並べたい」というリクエストでしたので、これは確かにソフトウェアでないと実現できないサイズだと思い、開発を行いました。

ダビング・ステージ用の特注品ということと、弊社としても初のチャレンジということもあり、ハイスペックのPCを用意して実現した経緯がありましたが、処理の最適化などで現在であれば市販のタブレットPCでも実現できることがわかっていましたので、「TabVU」の開発に着手しました。

メーター針の動特性を再現することに苦労したという

――ソフトウェア化するにあたって苦労された点はどこですか。

村川氏:ハードウェアVUメーターでは、使用する部品の選定が動きに及ぼす影響が大きいのですが、ソフトウェアでそれらを再現するのに苦労しました。弊社が開発するからには、弊社のVUメーターの針の動きに馴染んだ方々が使用されるので、動特性を揃えることに注力しました。具体的には。フィルター処理を調整しながら最適な振れ具合を探っていきました。

――M-5000との接続方法について教えてください。

相良氏:M-5000にUSBオーディオ・インターフェース機能が搭載されているので、USBケーブル一本のみのシンプルな接続になっています。M-5000本体のタブレットスタンドに設置してもらうことでコンパクトにメーターを設置してもらうことが可能です。

村川氏:TabVUは、ASIO対応のソフトウェアVUメーターなので、M-5000などのデジタルコンソールだけでなく、ASIO対応オーディオインターフェイスと組み合わせていただくことで、より多くの機器と繋いで使い慣れたVUメーターでのメーターリングをしていただくことが出来るようになります。

相良氏:TabVUとドライバーをインストールしていただければ、TabVU側では基本的には特に設定することなく使用可能です。表示できるメーターのチャンネル数は4chと8chを切り替えて使用できます。また、針の色や針先の形を変えたり、リファレンス・レベルを変更することなども可能です。

背景や針の色形やリファレンスレベルの設定などが可能

――今後の展開として、どのようなことを予定していますか。

村川氏:機能面では、ラウドネスメーター機能の追加を予定しています。追加機能の販売時期・提供方法などは未定ですが、TabVUユーザーの方には、追加機能販売という形でご提供できればと考えています。

相良氏:スタジオで弊社のハードウェアVUメーターを使用している方々から、多くの反響をいただけていますのでソフトウェアVUメーターの利点である、設置の自由度や拡張性を生かして、ユーザーのみなさまの新しい選択肢となれば良いと思っています。

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