株式会社バイオス(以下:バイオス)は、2006年に他社に先駆けて高速なハードウェアRAID-6にこだわり、自ら設計・製造を手掛ける国産ストレージメーカーだ。

バイオスの代表取締役 中井一氏にインタビューして、バイオス製品の魅力やInter BEE出展に関するホットな情報を聞いてみた。

日本のハードウェアRAID事業を継承。そして、メルコグループの傘下に

――90年代のDTPの黎明期の頃、バイオスさんはどちらかというとMacに対応したストレージをラインナップするメーカーだったと記憶しています。そのバイオスさんは現在、RAIDの高い技術力を有する企業に転身していますが、どのようにして今の存在になられたのでしょうか?

大手コンピューターメーカーのハードディスク製造管理部門の関係者がスピンオフし、RAID装置を開発・製造する会社を立ち上げました。その会社が2007年に閉鎖することになり、同社のハードウェアRAID事業をバイオスが継承することになったのです。

バイオスはこれを機にハードウェアRAID事業を中心としたメーカーに舵を切りました。

バイオスが採用しているハードディスクは、主に大手コンピューターメーカーのハードディスク部門から技術継承したHGSTブランド製にしています。バイオスはハードディスクの中身まで熟知している技術者の集まりだからこそ、ハードディスクにこだわり、なお且つRAIDコントローラーを自社で開発することで、高速でありながら高品質な製品を提供できるのです。

バイオスの代表取締役 中井一氏

――2014年にバイオスはメルコホールディングスの傘下に入りましたが、その狙いは何でしょうか?

2014年6月にメルコホールディングスの傘下に入りました。メルコホールディングスとしては、国内市場におけるデジタルデータの一気通貫サービスを実現したいと言う狙いがあったのです。一気通貫サービスとは、設計、製造、販売、保守は勿論のこと、信頼保管や、データ復旧、そして役目を終えたデータの完全消去に至るまで、まさにデジタルデータの 「一生」 を支えていくことを目的としているのです。この目的を果たす為に、メルコグループは、データ復旧及びデータ完全消去の老舗である、アドバンスデザイン株式会社を傘下に置くことで、文字通り 「デジタルデータの一気通貫サービス」 を実現しました。

バッファローがコンシューマやオフィス向けのデジタルデータを支えるなら、バイオスは放送事業を中心とした、映像・監視・医療・印刷 といった産業市場で生まれるデジタルデータの 「一生」 を支える会社として、その役割を担っています。

FPGAの設計技術で超高速の書き込み、読み込みの実現や、アドバンスデザインの復旧サービス、完全消去を提供する

――御社の他社にはない特色を挙げていただくとしたら何でしょうか?

バイオスの拠点は東京、山梨、名古屋、大阪の4拠点で、東京では我社の頭脳とも言うべき設計・開発・デザイン機能が本社機能と一緒に同居しています。東日本の保守サポートも本社でおこなっています。山梨では、設計検証や製品解析・分析の機能を備え、我社の品質の関所となっています。また名古屋は製造拠点として、メルコホールディングス傘下の株式会社バッファロー協力の元、調達・製造管理という国内メーカーとして 「ものづくり」 の真髄をしっかり日本の真ん中でコントロールしています。大阪は、西日本全域のサポートの拠点として、お客様から信頼をいただいております。そう、バイオスの全ての機能は、「日本国内」でお客様に寄り添いながら動いているのです。

さて、もっと掘り下げて各機能における我社の特色を紹介するならば、やはり何といっても一番は、渋谷本社でRAID-6コントローラーを、FPGAを利用して自社で開発していることです。バイオスは、ハードウェアRAID-6にこだわり続けています。理由は、標準RAID-6構成によって同時に2台のハードディスクに障害が起きても、データロストしないからです。

一般的に、ハードウェアRAID-6コントローラーボードは、市販のコントローラーを使って製品化されています。当然ながら普通にオフィスで利用する分は、問題は発生しないでしょう。しかし、放送・映像業界で4K・8Kのような大容量のデジタルデータを、マルチストリーミングで複数書いたり、複数読んだりすると、遅れが発生してスムーズに映像が流れないことがしばしば発生します。

バイオスの製品が万一スムーズに映像が流れないことが発生しても、渋谷本社で解析・チューニング・改版を短期間に行い、解決していきます。このように、ホスト側やアプリ、或いはインターフェイスに最適なコントローラーを、お客様に寄り添って作り上げられるのは、唯一私たちだけと自負しています。

FPGAのコントローラーを手にして解説する中井氏

RAIDコントローラを自社開発で実現

自社開発のコントローラーで高信頼なストレージを実現し、データ転送の高速化、長期供給を可能にしている

バイオスは、メルコホールディングスの傘下に入るまでは、山梨ファクトリーで製造を行っておりました。メルコホールディングスの100%子会社になってからは、山梨ファクトリーでの製造は行われなくなりましたが、量産に至るまでの設計検証や解析・品質管理は、引き続き山梨で行っています。バイオスの製品は、設計・製造・検査の全ての工程を、すべて国内でおこなう “オールジャパン” にこだわっているのも特徴です。

ハードディスクのエラー回避策として、私たちはFPGA RAID-6コントローラーに(1)ハードディスク全領域を定期的に自己診断する「パトロール機能」や (2)障害を自動的に修復する 「スポットリカバー機能」という、ユニークな機能を備えています。 製品にハードディスクを搭載する前に、独自のハードディスク検査装置を使ってハードディスク全品全セクター検査する工程も、品質に対するこだわりの一つです。これら全てが製品の信頼性に繋がる大きな特色ではないかと考えております。

信頼性を確保するためのさまざまな仕組みが搭載されている

お客様が必要としている機能があればNOと言わないで取り組む

――御社のストレージはどのような業界で扱われていますか?

当社は、映像・監視・医療・印刷の事業領域に対してアプローチしています。その中でも映像編集用途にもっとも力をいれており、同じくらいに監視システム用途にも注力しています。私たちの会社の売上に占める割合も、この2つの事業が柱となって、会社全体を支えています。

――映像業界向けのストレージにはどのようなモデルをラインナップしていますか?

弊社に隣接する大手放送局は、ストレージを大量にご利用頂いておりますが、それは、安全性とセキュリティーの両面から、「素材を外に出さない」 「ネットワークを介さない」 というポリシーで全て局内で編集されています。

放送局内には小さな編集室が200室以上あり、撮り溜めた映像素材(放送する前のデータ)を私たちのストレージ製品に収めて、ネットワークに乗せずに、素材を手で運んで編集室に移動する「スニーカーネットワーク」で運用されています。 ストレージユニットを持ち運びやすくするために、取っ手をつけた小型(2.5インチ)ハードディスク搭載の 「6Bay可搬型ストレージ(Best RAID)」シリーズは、スニーカーネットワークのご要望にお応えした特徴ある製品に仕上がりました。

さらに、2K編集用途ではUSB3.1TypeCをインターフェイスに持ちたい。ホスト側eSATAインターフェイスに対応してほしいなど、お客様のご要望には 「NO!」 と言わない取り組みも、私たちが大切にしているモットーです。

可搬型ストレージ「Best RAID」シリーズ

取っ手やクッションを付属することで、持ち運びやすさを実現している

左はバイオスが標準モデルとして販売中のモデルで、USB3.1のインターフェースを1個搭載している。右は放送局の要望に合わせたモデルでUSB3.0とeSATAを搭載している

Inter BEEでRAID 6構築時で転送速度2000MB/s以上を実現する「EP112TB3」を展示

――映像業界向けの新製品にはどのようなものがありますか?

Thunderbolt 3を搭載した大容量 超高速ストレージEclairPRO RAID-6を発表しました。アクセススピードは、実測ではRAID-6で 約2200MB/sです。他社のモデルでは、RAID-0 2800MB/s とアピールしますが、私たちはRAID-6にこだわっているので、RAID-0では測定しません。この12bayモデルは、9月25日より順次出荷させていただいております。

12台のHDDを搭載したThunderbolt3対応・超高速ストレージ「EP112TB3」

RAID 6で書き込みは2171MB/sec、読み込みは2190MB/secを実現

――8Kの映像編集環境を求めている放送局やプロダクションに注目されるのでは?

もちろんInterBEEでは、8K対応をアピールします。放送業界で一番の悩みごとは、データの処理速度が非常に遅いので、「書き込む」「読み込む」「バックアップする」の動作に、いちいち時間が掛かってしまうのです。そうした悩みを解決していく事こそが、私たちの存在意義だと考えます。如何に高速に安全にデジタルデータを処理できるのか?私たちの技術力が試されます。

私たちのRAID-6には、工夫があります。製品がお客様のところに届いた時点で、すぐにRAID-6ストレージが使用できます。一般的にRAID-6の構築には多くの時間を必要としますが、私たちの製品は、データを書きながらRAID-6を構築していくので、事前にRAIDを構築する手間がいらないのです。使用前の初期設定で「RAID-5」にするのか「RAID-6」にするのかを選ぶだけです。

Eclair PROシリーズのThunderbolt3を搭載した「EP106TB3」モデル

コンパクトな筐体に3.5インチドライブを6ドライブを搭載

――御社のラインナップの中でもセキュリティロック付きハードディスクは面白いですよね。

今年のAfter NABでは、ICカードでセキュリティー管理が可能なポータブルハードディスク「EP25CB3」を発表して大好評でした。カメラで撮った映像は、ポータブルハードディスクに入れて持ち運びますが、大抵はセキュリティーが掛けられていません。放送前の映像データを落としたりしたら、大変なことになります。私たちのポータブルハードディスクは、登録済みICカードを本体に 「かざす」 だけで、USB接続の認識を解除したり、ロックしたりできる為、他人にデータを見られる心配はありません。

セキュリティ付きポータブルハードディスク「EP25CB3」

対応ICカードを使ってロック、解除が可能

――最後に御社は、どのようなサポートを行っていますか?

保守サポートは、渋谷本社で自社専任者が電話やメールで対応したり、お客様の現場に伺ったりします。24時間365日フルサポートや、オンサイトとセンドバックを合わせたユニークなメニューをご用意させて頂きながら、お客様に寄り添ったサポートに心がけています。

その他にも、信頼のあるサポート会社と提携して、日本全域に展開した長期保守サポート体制を構築しています。こういった体制づくりも、国産メーカーの強みではないかと思っています。

私たちは、デジタルデータの 「一生」 を支える会社です。このポリシーの元、自社開発、国内製造、全国保守体制を根本とした “オールジャパン” をモットーに、常にお客様に寄り添いながら、信頼される製品を提供し続けてまいります。

弊社は、2018年11月14日~16日まで、幕張メッセで開催される放送機器の展示会国際放送機器展「Inter BEE 2018」に出展いたします(Hall5/ブースNo.5305)。会期中、弊社ブースへお立ち寄り頂くと抽選で、セキュリティ機能付きポータブルHDDをプレゼントいたします!
皆様のお越しを心よりお待ちしております。

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編集部

PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。