txt:土持幸三 構成:編集部

GIGAスクール構想

新年度になり、まだ川崎市で筆者が講師を務めている小学校映像授業の詳細は決まっていないが、学校によっては今年度から大きな変化があるかもしれない。昨年度はコロナ禍の影響で一校だけでの対面授業だったが、その学校は年度末からすでに変化が起きていた。それまでグループで使用していたタブレットに変わって、子供一人一人にPCが配られたのだ。

皆さんは「GIGAスクール構想」という言葉を聞いたことがあるだろうか?携帯電話料金の宣伝文句のようだが、GIGAとはGlobal and Innovation Gateway for Allの略で、簡単に説明すると、教育現場に高速ネットワーク環境の構築と、子供に一人一台のPCを持たせてICT(情報通信技術/Information and Communication Technologyの略)教育の環境を整えるということ。

10数年前から川崎市の公立小学校で映像授業の講師を受け持っているが、当時からパソコン室はあり、小型のデスクトップパソコンが7~8台置かれていたと記憶している。子供たちは遊びを通じてパソコンに慣れることに重点が置かれていて、先生方のPCに対する知識もかなり限定的だった印象がある。それが5、6年前だったかノートパソコンに変わり、先生方もUSBドライブ、SDカードの扱いも馴れ、ご自分のタブレットを授業に活かしている先生もいらっしゃった。

黒板やテレビモニターを使う機会も減るだろう

このように小学校のPC環境は変化してきてはいたが、映像制作授業(主に動画編集作業)となるとやはりハードルが高く「映像のまち・かわさき」推進フォーラムの協力で学校に動画編集ソフトがインストールされたノートパソコンをグループの数だけ持ち込んで編集作業をおこなっていた。

理由は学校のPCにある編集ソフトでは満足いかない子供も多いのとWindows 10になってからは動画編集ソフトが標準装備されていないためだ。ただ、近年はノートパソコンを持ち込むことも難しくなった。編集ソフトの問題である。

以前はインストール時の認証時だけネット環境が必要だったが、最近では常時とまではいかなくとも、ランダムにネット環境に接続を求めるものもあり、サブスクリプションのみのソフトも含めて価格と扱いやすさなどを考慮すると編集ソフトの選択に苦労が多い。

小学校にはもちろんWi-Fi環境はあるのだが外部のパソコンの接続はできず、またパソコン室のPCにインストールするのも含め、セキュリティの問題で業者に依頼する必要があり、その後の管理も含めると、小学校に動画編集ができるPC環境を整えるハードルは高かった。

無料の動画編集ソフトShotcut。充分な機能が備わっている

映像制作授業に限っていえば「GIGAスクール構想」で一番興味があるのは、整備される高速ネットワークがどのぐらい「高速」であるかだと思う。現在のパソコン室でも子供たちが使うノートパソコンと先生が使うパソコンはネットワークでつながっており、先生側のコンピューターで子供のパソコンをコントロールできる。

ただ、先生のコンピューターに撮影済みの素材を入れて子供たちのパソコンで編集ソフトを立ち上げて、その素材にアクセスして編集するというサーバーのような使い方は速度不足で、数台が同時にアクセスすると動作が遅くなり編集できないようになってしまう。

これが通信速度の速さが上がることによってクリアできると、子供たちがグループごとにUSBドライブで管理していた映像素材の消失やプロジェクトの保存忘れが防げるのではないかと考えられる。

「GIGAスクール構想」によって筆者が講師を務める小学校では今までのWindows PCがChromebookへと変更になるようだ。冒頭に書いた小学校ではすでに子供一人一人にChromebookが配られていた。当然、ChromebookではWindowsで使っていた動画編集ソフトが使えないので、代わりとなるソフトを探さなければならないが、学校と相談しながら進めていけば何かしらの答えはでると楽観している。

子供たちの一人一人がPCの操作に慣れることで映像編集の効率もずいぶん上がるのではないかと期待もしている。新しいスタイルでの映像授業が始まることが待ちきれない気分だ。

WRITER PROFILE

土持幸三

鹿児島県出身。LA市立大卒業・加州立大学ではスピルバーグと同期卒業。帰国後、映画・ドラマの脚本・監督を担当。川崎の小学校で映像講師も務める。