Manfrottoの新製品は、三脚ではなく3軸ジンバルなのだ!

Manfrottoが三脚ではなく、新製品として3軸ジンバル発表したことは非常に興味深い。しかもJOBYも含めると3機種のラインナップとなる。筆者自身、No.1はステディカムだと思っているが、ジンバル系もRonin-M、Osmo Pocket、TH-G3等を所有し、現場によって使い分けている。

さて今回はステディカム贔屓の筆者が最近お気に入りのManfrotto 「MVG460」、JOBY「Smart Stabilizer」を紹介したいと思う。先に結論を言うと、Ronin-SC、TH-G3と同じく新たな選択肢として確実にアリなガジェットだ。

Gimbal 460+プロキット(MVG460FFR)

MVG460にプロキットを組み込んだ最上位機種

では本命のジンバルをレポートしたい。MVG460はDSLRおよびミラーレスカメラに最適化された3軸電動ジンバルだ。ペイロード(最大荷重)は4.6kgのため、DSLRに大きめのレンズを付けても問題なく作動する。

このシリーズにはペイロードが軽め(2.2kg)のGimbal 220とGimbal 460にフォローフォーカスやリモートコントローラーを付加したプロキットがある。今回は一番上位機種であるGimbal 460にプロキットを組み込んだ物をお借りした。

専用ケースは緩衝材を兼ねており、そのまま梱包や発送が可能

デザインは最近の流行りであるトップアームを若干オフセットさせる事で、ローモードにスムーズに移行できるスタイル。また後方にロール軸のアームがないので、デジイチだけではなくX70等の小型業務用ハンドヘルドも搭載可能だ。

ジンバルを搭載するプレートはManfrottoのプレートに、アルカスイス互換のプレートを搭載したハイブリット式を使用。どちらのプレートも標準で使用されており、三脚ワークで使っていたシステムをそのままジンバルワークに移行する事ができる。

グリップ部分には動作を示すLCDパネルと横にはマルチアクションコントロールが装備

基本的な動作は本体のみで設定も含めてできる。フォローモードは一般的な4種類を搭載し、その切り替えはタッチパネルのLCDパネルを使うかマルチアクションコントロールを使う事で変更可能だ。このダイヤルはプロキットに入っているフォローフォーカスのコントロールとは別に、ダイヤルをプッシュする事でフォローモードの切り替えも可能だ。

ジンバルをオペレート中の時は、LCDパネルを見ながら操作するよりも直感的にダイヤルで変更できる方がオペレートに支障なくできる。またフォローフォーカスは3種類のモードがあり、Canon EOS等に使えるUSBコントロール、Wi-Fi制御可能な機種でのコントロール、そしてプロキット付属のフォーカスモーターを使った機械式コントロールとなっている。実際にEOSでUSBモードを現場で使用しシビアなコントロールは難しかったが、単純なワークなら全く問題ないレベルだった。

フォローモード パンモード(デフォルト)

フォローモード

オールフォローモード

ロックモード

チアクションコントロール

プロキット

MVG460には、オプションでさらに機能拡張ができるプロキットも登場している。標準装備だけでも十分にワークをこなせるが、そこからさらに細かい事を希望するならこのプロキットを組み込むべきだろう。プロキット一番の特徴は機械式フォローフォーカスとワイヤレスコントローラーの付属だ。

プロキットを組み込んだ一例

フォローフォーカスは、外部モーターを使う事でより素早く正確なフォーカシングが可能となる。ローアングルブラケットは標準装備で付属し、カーボンハンドルを取り付ける事ができるが、その部分にワイヤレスコントローラーを付けるとローアングル時にも狙った画角を積極的に作る事が可能だ。

またこのワイヤレスコントローラーはモーションコントローラーと兼用となり、コントローラーを振るとそれに追従してジンバルヘッドを動かす事ができるので2人でのオペレーション運用が可能となる。ちなみにBluetooth接続されたスマートフォンでもワイヤレス操作は可能だ。

モーションコントロール

スマートフォン

FAST GimBoom

ジンバル用延長ブーム(カーボン製)

今回、Manfrottoがジンバル用に提供しているガジェットがもう一つある。これは先に出ているFASTシリーズの技術を使ったいわば一脚といっても良い。JOBYのSmart Stabilizerがヘッド部分が伸びる事によって映像の変化をだせると書いたが、本格的なジンバルではどうだろうか?答えはもちろん、その手のものがあれば色々と変化できる。

この辺りのアングルは、すでに初代Roninが出た時からジンバルオペレーターの方々は創意工夫をしていると思うが、長い竿を使う=取り回しやハンドリングに難が出てしまう。そのジレンマをGimBoomはFASTシリーズの機構を使いワンタッチで伸縮できるため、今までのマイナス面を一気に解消する事ができた。

最短で約51cm、最長約118cmまでの稼働範囲があるため、自分自身の身長を加えれば地面すれすれから3mくらいまでの高さが出る事になる。つまりジンバルヘッドと組み合わせれば滑らかなクレーンアップの映像が撮れるのだ。GimBoomの後ろ側に1~2kgくらいのウェイトを付けて置けば、やじろべえのようにバランスが取れるのでさらに滑らかなワークを実現する。

参考:クレーンアクション

参考比較:左から最長・最短・ジンバルのみ・付属延長ポール

ジンバル+ブーム=多彩なワーク

ワークについて考えてみよう。ジンバルワークといえば、高さを一定にした映像を撮るガジェットという位置付けが一般的だ。ジンバルを持っている手の長さ分の上下動ができるのがスタビライザーとは違うところだろう。しかし安定度を保ちながら画角を積極的に作っていくには確実にステディカムの方が最適だ。だとすればその大きさを活かしたワークを考えた方が良いはず。

ローアングルからハイアングルまでマニュアルコントロールができる

その答えをManfrottoはジンバル+ブームという形で出してきた。簡易的なクレーンアクションはすぐに考えられるが、もう一つは長いブームを高さではなく長さで使う事だ。長さを使う事でカメラヘッドだけを被写体に近づける事ができる。例えば車の助手席からカメラを入れて運転席側から出すワークというのも考えられる。

予算があればこれらの事は専用の特機を使えば良いが、ミドルレンジ的な現場であれば今回の組み合わせで今までよりも色々なアングルでの撮影が可能となるはず。LIVE撮影でも今までの様にA-B間を移動するだけではなくさらに高さを出す演出ができる。またフェンスギリギリからカメラを突き出し低空飛行のドローンのような映像も撮影可能だろう。筆者的にはジンバル+FAST GimBoomはデフォルトな組み合わせになる。

ブームワークサンプル1(縦方向)

ブームワークサンプル2(簡易クレーン)

マイクを付けた時にジンバルのアームが当たらないようにオフセットできるステーが標準装備されている

もうひとつ、JOBY Smart Stabilizer

JOBYのSmart Stabilizerは、Manfrotto初となるスマホ用電動ジンバルだ。このクラスはやはりDJIのOsmoが群を抜いて高性能となっているが、このスマートジンバルも負けてはいない。一通りの機能(トラッキング機能等)は全て搭載されている。

スマホ用途のため、横位置だけではなく縦位置にもしっかり対応している(横から縦位置は手動)。基本的な動作はスマートフォンアプリで設定を行う。フォローモードは一般的な4種類をカバーし、それにプラスしてマニュアルでの操作は本体についているジョイスティックでもコントロールできる。もちろんズームレバーも装備されているのでマニュアルでのズームが可能となる。操作面でもアプリ面でも非常に良くまとめられており、特に構造上の欠点や使い難さというのは感じられなかった。

ボディ正面にジョイスティックコントローラー、側面にズームレバーが装備

Smart Stabilizer一番の特色はボディが「伸びる」ことだろう。自撮り棒のようにジンバルヘッド部分を三段階に伸ばす事ができ、簡単なクレーンアクション的な使い方や、Vlog的な自撮りも他のスマホ用ジンバルと比べると客観的な映像が撮れるのは面白い。

ほんの数十センチ程度の違いだが、映像には大きく影響がでる

アプリは初期設定さえ終われば、ジンバルを起動させると自動で接続される。動画モードではタイムラプス設定も可能となる。また、初期設定の中に「ビューティ」という項目があり、ここにチェックを入れるといわゆる「美肌効果」を得た映像を撮影可能だ。先程の伸びるヘッド部分も含めてVlog的に使うなら非常におすすめのガジェットだ。

総評

ドローン登場当時はなんでもかんでも高さをだす映像にドローンを使い、その結果マナーに欠けるパイロットのお陰で都市部ではほとんど飛ばす事ができなくなった。その分を補うかのように竿に映像装置を取り付けた疑似的なドローン映像をよく見たが、やはり上に載せているカメラの性能的に100%満足できるものはなかった。今回三脚メーカーであるManfrottoからジンバルが登場したのは、FASTシリーズという三脚の開発から派生した製品かもしれない。

余談だが、GimBoomは上下に1/4と3/8のハイブリットのネジがついているので、ほとんどの市販ジンバルなら取り付ける事が可能。もちろんVRカメラやその他、高さを出したいカメラなら何でも取り付ける事ができる。

WRITER PROFILE

岡英史

モータースポーツを経てビデオグラファーへと転身。ミドルレンジをキーワードに舞台撮影及びVP製作、最近ではLIVE収録やフォトグラファーの顔も持つ。