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[コロラド紀行]Vol.72 ゴールドラッシュの再現なるか?

#コロラド紀行

2012-06-04 掲載

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ゴールドラッシュの再現なるか?

金の市場取引価格は2007年中旬迄は1トロイオンスの価格で800ドルから850ドルの範囲を小刻みに上下するところで取引されていましたが、アメリカでの経済不調が顕著となってからは価格上昇の一途をたどり、昨年2011年の下旬には1,897.60ドルという記録的な高値を付けた後、やや下がって現在までに1,600ドルから1,750ドルの間で上下を繰り返していました。

貴金属業者が銀行とタイアップして金の買い取り
これはデンバー地区に多くの支店を設けているUS Bankの2本の大通りIliff AvenueとParker Roadとの交差点にある一支店の交差点側から見た建物の様子です。全体的に暗い感じの建物ですが、正面のガラス扉が入り口となっています。建物の屋根の側壁に『WE BUY GOLD – NOW OPEN!』という文字が金色に光って見えます。「金を買い取ります。現在取扱中!」道路側から見ると暗い感じの建物とのコントラストが着いて大変目立つ看板となっています。このUS Bankの支店では貴金属の宝飾品業者が支店の建物内に場所を借りて一般の人から金の地金を始め各種の金貨、そしてネックレス等の宝飾品などの金を使用した所有物を、金が高値となっているので売却したいと思っている人からここで評価して買い取ります、と言う事です。この金文字の看板はたしか昨年の秋から表示されています。

そして、今年に入って4月初旬では1,628.50ドルとなり昨年の記録高値に比べると約15%も低下しましたが、それでも2009年の初旬での価格に比べると2倍以上の価格を保っていると言った状況です。

その後5月に入って更に一段下げて1,450ドルから1,550ドルと言う状況です。

こうした金の取引価格の高い状況が継続している事から、かつて1820年代にコロラドで起ったゴールドラッシュの時以来一攫千金の野望に燃えてロッキー山脈の山中に分け入って金鉱山の開発に挑戦した人々が大勢いた訳ですが、そのゴールドラッシュが収まった後も執念深く金の掘削をロッキー山脈のあちこちで継続した人達がいて、コロラド州内にはこうした人達が採掘した鉱山の跡が多数残っています。

もともとロッキー山脈は8000万年くらいの大昔に地球表面の太平洋プレートと北米プレートとが東西方向に衝突して押し上げられて形成されたとされていますが、 Western Cordilleraと呼ばれる高地が南北に長く続く地形となっており、特にロッキー山脈の西側にはロッキー山脈よりも以前に形成されたCascadeやSierra Nevada山脈が控えている事からロッキー山脈の上昇が加速されて、もとは地表から遥か深い所の地下にあった地層を表面へと押し出している、と言う事になっています。

したがって金やウラニウムといったもともと地表に現れにくい金属や元素の鉱石が表面地層に多く出て来ているのがコロラドロッキーの特徴となっています。

US BANK の野外看板
このUS Bank 支店の大きな野外看板がIliff AvenueとParker Roadの角に建てられています。US Bankはコロラド州内ではWells Fargo Bankと並んで多くの支店を開いている銀行でその本社はミネソタ州Minneapolisにあり所有資金額ではアメリカで第11位の銀行です。ちなみに駅馬車のマークでお馴染みのWells Fargo Bank は全米第4位で、1位のBank of America、2位のJ.P.Morgan Chase、3位のCitigroupに続きます。

金の採掘事業は掘り出した土砂(ore)から精製して純度の高い金鉱石になる比率があるレベル以上である事がその採算を決めますが、その後こうした金鉱山の埋蔵量や掘削効率を調べる技術が進歩し、現在では試掘を行ってかなり精度の高い予測が行える様になってきていますが、金自体の取引価格が低いうちは採掘事業の採算が取れない、と言うことで操業閉鎖となっている鉱山跡がコロラドには多数残されています。

ところが、最近の金の取引価格の高値継続は、こうした以前採掘を行っていてその後閉山となっている鉱山跡を再度開いて事業再開しても採算がとれるのではないかと思わせられる状況となっています。

新たに掘り始めるのではなくて、規模の大小は有るものの以前に実際の掘削が行われていた鉱山跡ですので、その地質学上の性質などはかなり精度高く予測が出来ることから注目されているわけです。

旧鉱山の再開発にあたっての注目点としては下記の様な項目が焦点となります。

  • 金の埋蔵量及び鉱脈の分布状況
    最近では調査分析技術が進歩してかなりの精度で予測が出来る様になって来ていますが、それを裏付ける為に試掘という方法が取られており、その試掘結果と照合して推定が行なわれます。併せて本命の金の採掘に必ず伴って採れる銅などの副産物の予測も重要な要素となります。
  • 採掘、選鉱、精製などの工程の環境汚染の可能性
    環境汚染問題は金に限らず全ての採掘事業で最も重要な問題で、採掘を始める前の認可を得る為の最重要項目です。その規模が大きくなる露天掘りの場合と鉱脈に沿って掘り進むトンネル掘削の場合とで環境汚染対策の事情はかなり異なりますが、基本的には掘り出した鉱縡(Crushed Ore)の処理と精製工程で使う汚染水の処置、処理が焦点となります。
  • 最終の商品状態になった金及び副産物の銅などの今後の市場価格推移
    市場取引価格の推移予測が最も重要で困難な課題ですが、幸い金は化学的に変化が起き難い金属であり、その取引商品形体や流通、取引環境も整っていますので、市場価格に大きな変動を与える世界経済の見通しや政治情勢の変化などがその焦点となります。

以上の様な各項目についての分析が行なわれて旧鉱山跡の再開発が決定される事になりますが、コロラドでのごく最近のこうした旧金鉱山の再開発の話として地元で話題となっている例として次の様な事が伝えられています。

US BANK の入り口のガラス扉への表示
このUS Bank 支店の入り口のガラスの表面にここで扱う金の買い取りの表示が次の様に記されています。
Golden Nugget Gold Buyers
Open 7 Days A Week
Mon – Fri 10AM – 8PM
Sat    10AM – 6PM
Sun    11AM – 6PM
303-425-4653
最初のGolden Nuggetはここで金の買い取りを行っている宝飾品業者名で、1週間フルに休み無く開いています。最後の番号はこの業者の電話番号です。

Gold Hill Minerals社は今年60才になるニューヨークのブルックリン地区生まれのDavid Bandnerさんがフロリダ州のMiami Beachにその拠点を構えている金鉱山業を主体としている個人会社で、その設立資本金170万ドルをBandnerさんと彼の仲間とで出資して開業しています。

暫く前に約80万ドルを使ってコロラドのBoulderの町から北西のロッキー山脈の山麓の村Jamestownに在るBueno鉱山、Black Rose鉱山、Emmit鉱山という3ヵ所の金鉱山跡でそれまで操業していましたが、金の市場価格が低いままで推移していた事から採算割れとなり閉山しました。そして、それぞれの鉱山の所有者達は破産となる事を避ける為に鉱山をオークションに掛けましたが、その時にこの3鉱山跡をGold Hill Minerals社が買収しています。

ここへ来て金の市場価格が大幅に上昇した事から「頃良し」と言う事でその3ヵ所の鉱山を操業再開することを決めて、まずは試掘によってこの3鉱山の金産出の実力を調べる作業に取りかかっています。

最近同社の鉱山マネージャー、地質学者、分析技師、掘削専門者などを伴って社長のBandnerさんがBueno鉱山の視察に訪れましたが、その時の状況では「かなり期待が出来そうだ。」と言っています。

この3ヵ所の金鉱山はそれぞれの1日の掘削するOreの総量は20トンから30トンという小規模なもので、掘削と精製の工程で30人から40人の作業者数で操業することになりますが、Bandner社長はこのヵカ所の鉱山から a half-billion(5億ドル)の金を掘り出すのだ、と言っています。

US BANK の看板表示
このUS Bank 支店の看板表示を正面から見てみました。屋根の側面の金文字表示と併せて窓ガラスには次の2ヵ所の表示がされていました。
WE BUY COINS WE BUY SILVER
ここでは金だけでなく銀製品も買い取ります。そして金貨、銀貨のコイン類も買い取ります、としています。

今回のBandnerさんの挑戦はかって金鉱山を手がけていた人達や現在世界の各地で金の採掘を行なっている人達は注目してその成り行きを眺めており、もしBandnerさんが予想していた以上の好結果を掘り当てると言う事になりますと、この3ヵ所の金鉱山跡の他にまだまだ沢山存在しているコロラドの金鉱山跡での一攫千金を目指す再挑戦が次々と始まる事となりそうですが、果たして金の市場取引価格は最近の様な高値を維持していてくれるでしょうか?

掘れば何か出て来る土地柄で、掘っても何も出て来ない日本の場合と比べて非常に恵まれた環境と言えますが、コロラドの静かなブームとなりそうな注目点です。

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WRITER PROFILE

萩原正喜 米国コロラド州から、米国のデジタル放送事情からコロラドの日常まで多岐に渡るコラムをお届けします。


[ Writer : 萩原正喜 ]
[ DATE : 2012-06-04 ]
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