txt:林和哉 構成:編集部

いよいよ4K/8K制作環境が整う時代に

ますます4K/8Kコンテンツの制作が求められている昨今。ちょっと前まで

「4Kなんていらないよ、まして8Kなんて…」

という雰囲気もありましたけれども、そんな空気はいつのまにか霧散して、とにかく制作環境作りをしないとダメダメ!急がなきゃダメね!という状況。筆者もすでに2~3年環境作りに励んでいたわけですが、やっと、色々と面白い物が出てきて、何かとやりやすくなってきました。

そんな中、JBS(ジャパンブロードキャストソリューションズ)社ワークステーション「EXALION-J300」にHighPointのRAIDカード「SSD7101A-1」+「NVMe SSD 970 EVO」×4台を搭載したモデルを使用して、この環境でBlackmagic Pocket Cinema Camera 4K CinemaDNG RAW 3:1/4K DCI/60pの素材を快適に編集できるものか検証しました。また、最新のThunderbolt 3を搭載したサムスンのPortable SSD「X5」を使用した、データの可搬性能も併せて検証します。果たしてその結果は!

と、結果に至るその前に、機材構成についてもう少しお話しします。EXALION-J300のスペックはと言いますと。

■CPU
Intel i9 X7960Xの16コア 3.3GHz/Turbo Boost 4.3GHz/
水冷仕様。安定したパフォーマンスを手に入れたいときはこれ一択ですね。

※なお、今回はデモ機のため下位モデルEXALION-J200のCPUを搭載

■GPU
Geforce RTX2080Ti
マジですか。今一番ホットなグラフィックボードが当たり前のように刺さっていて、びっくり。

■データポート
マザーボード専用のThunderbolt 3ボードを導入済み。プロ現場の高速転送、モニタリングにおいて、Thuderboltポートは必須の環境。Thuderbolt 3になってから、Windowsマシンへの搭載も増え、とても助かりますね。

■RAID+SamsungのNVMe SSD
HighPointのRAIDカードSSD7101A-1970 EVO 1TB×4台。

このPC構成に、BlackMagicDesign UltraStudio ExtreameとPanasonicのBT-4LH310を接続して、贅沢な環境での検証です。

さて、パフォーマンスは?

Blackmagic Pocket Cinema Camera 4Kで撮影されたCinemaDNG RAW 3:1/4K DCI/60pを使用して、どこまで快適に編集ができるのか。CinemaDNG RAWはPC泣かせのコーデックとして認知されています。何せデコードに負荷がかかる上にデータ量がハンパないことは既に伝説と化しています。さぁ、どうなることやらワクワクしますね。

ちなみに、CinemaDNG RAW 3:1/4K DCI/60pの1ストリームに必要な転送レートは、約288MB/sとのこと。本来は最適化メディアを作成するのが良いのは明らかですが、敢えてネイティブファイルのままパフォーマンスをチェックしてみましょう。

試したのは下記。RAIDのスピード以外、DaVinciResolve15のパフォーマンスでベンチマークを取ります。

  • 作業RAIDのスピード
    CrystalDiskによる内蔵SSDストレージのスピードチェック
  • リアルタイム性能
    非圧縮CinemaDNG RAW 3:1/4K DCI/60pをマルチカメラクリップにして、同時リアルタイム再生出来るストリーム数

テスト結果

■作業域のスピード結果

SSDストレージのスピード

HighPoint SSD7101A-1はPCI接続で、ボードにNVMeのSSDを複数枚指すことができ、NVMeを搭載できないマザーボードにもNVMeの速度を提供してくれる、とてもありがたいRAIDカード。搭載しているNVMe SSDはサムスンの970 EVO 1TBを4枚でRAID0の構成。筆者は、以前よりサムスン製SSDをポータブルRAIDケースなどに複数さしてRAID構成を作り、編集作業用として使用してきました。

速度、耐用性で申し分なく、SSDの状態を管理モニターする専用のアプリも提供してくれていて、SSDの健康状態をしっかり把握できるので、データが危険にさらされることがなく、とても重宝致しました。さらに踏み込んだNVMeはSATA以上に人気・実力ともにトップクラスではないでしょうか。そんなNVMe SSDが4枚。期待は否が応でも高まりまくりです。

さて、定番の「CrystalDiskMark」で見てみましょう。7000MB/sの超弩級のスピード!ちょっと普通じゃない。凄すぎて笑えてきますね。これでしたらかなりのストリーム数が見込めるのではないか!

■リアルタイム性能結果

マルチカメラに寄る、同時リアルタイム再生出来るストリーム数

マルチカメラクリップを作って再生能力をチェックしました。

ネイティブフォーマット(CinemaDNG RAW 3:1/4K DCI/60p)
3ストリーム 〇
4ストリーム △(少しだけカクつく時がある)
5ストリーム ×

テスト結果から、簡単なオフライン編集でしたらネイティブフォーマットのままでも充分使用可能だと分かります。

総括

https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2018/11/vivastorage_03_MultiCam.jpg

※画像をクリックすると拡大します

RAIDのスピードは圧倒的なのに、何故かストリーム数は上がらない結果に。その原因で考えられることは、CinemaDNG RAWのデコードがCPUに取って厄介な構造をしているらしいことです。映像自体は、DaVinci ResolveではデコードにCPUを使用します。映像をコーデックからモニター表示に適するように変換するとき、この処理にはコア数よりもクロック数が物を言います。

つまり、RAIDはものすごいスピードで送り出していますが、CPU側がそれを処理しきれずに詰まっている状況が想像できます。デコードした後の加工処理はGPUが担当しますので、GPUが凄い力持ちだと最高です。

現状ではCPUのアップグレードで飛躍的に処理を向上させることは難しそうですが、この素材を中間コーデックなどに変更してRAIDスピードの恩恵を受けられるようなバランスにできれば、かなりのレスポンスが得られそうです。キャッシュファイルなどもすべてこのRAIDに当てれば、通常の作業でもキビキビとした処理を望めるでしょう。その辺りの検証はまた後日行いたいと思います。

全体として、HighPoint SSD7101A-1を使用することで、EXALION-J300の基本性能の高さをさらに向上させ、実に快適な作業が出来る印象です。筆者的に、これは手元に置いておきたいと思いました。

なお、EXALION-J300は2018年11月14日から16日の期間中に千葉・幕張メッセで開催される国際放送機器展「Inter BEE 2018」の日本サムスン/ITGマーケティングブース(ホール8/No.8209)で実機展示されるようです。その性能を見たいという方は是非足を運んでいただければと思います。

性能、デザインともに気になるSamsung Portable SSD「X5」

Samsung Portable SSD「X5」

もう一つの気になるアイテム。シングルSSDながら、Thuderbolt 3接続のX5。デザインがなかなか個性的で、私、好きです。大量なデータを急ぎで運搬したいとき、またはモバイル編集の普段使いの出し受けに、まさにうってつけの一品と思い、テストさせていただきました。

こちらは、ベンチマークでシーケンシャルリードで2800MB/sに迫る勢い。シーケンシャルライトで1800MB/s。ランダムアクセスでも1200~1100MB/s。HDのコンテンツでは、編集用途でバッチリ使えますね。運搬用としては贅沢極まりない。

サムスンは、魅力的な製品を意欲的に出してきてて何だか感心します。価格はなかなかドッキリしますが、可能性を示すパイオニア精神がすごい。これからも楽しみに見ていきたいと思います。

WRITER PROFILE

林和哉

最新技術が好物でリアルタイムエンジンにゾッコン。Unity Technologies Japanの中の人。セミナー講師経験豊富。