Blackmagic Designの発表によると、アメリカの制作会社・A24の長編映画「The Green Knight(原題)」が、DaVinci Resolve Studioでグレーディングされたという。同作のグレーディングはFotoKemのカラリストであるアラスター・アーノルド氏、撮影はシネマトグラファーであるアンドリュー・ドロー・パレルモ氏が担当した。

ルックの作成について、パレルモ氏とデヴィッド・ロウリー監督は、撮影前にアーノルド氏と綿密に打ち合わせを行い、テスト映像と創造力だけでルックを作り上げたという。

パレルモ氏:いくつかのフッテージを撮影してグレーディング室に持ち込み、同作のLUTを作成しました。私は1つのルックだけで撮影することを好んでおり、それがすべて上手くいけばポストプロダクションでも同じLUTを使用します。「The Green Knight」はまさにこのパターンでしたね。

パレルモ氏は同作の撮影が厳しい要求に応じることになると認識しており、LUTは注意深く作成する必要があったと述べる。

パレルモ氏:このLUTは、色のコントラストを維持したまま露出アンダーに対応し、さらにCDLやカメラのカラーフィルターを使って広範囲に使用できることを目指しました。時々、非常にサイケデリックな色に走ることが分かっていましたからね。

アーノルド氏:アンドリューと私は、ロウリー監督と一緒にDIシアターで、ルックを模索しました。アンドリューが、希望するトーンカーブ、カラーバイアスなどを私に伝え、それから全員が納得するまで微調整を行いました。「The Green Knight」は、非常に暗くて大胆な作品です。私にとって、カラリストとして最高の作品に数えられると思います。

パレルモ氏は、DaVinci Resolve Studioを使った作業に慣れていたという。

パレルモ氏:私たちはほぼすべて、DaVinci Resolveで作業しています。DaVinci Resolveは非常にパワフルなので、他のツールを使うことは考えたことがありません。

今回の作品のように大容量フォーマットのRAWフッテージでも、安定性とスピードで、私たちの希望通りの作業ができます。アラスターとアシスタントカラリストのクレアは、撮影前にプロジェクト全体のノードツリーを作成していました。そのため、私がボトマーを追加して欲しいと伝えた場合は、アラスターはすでに構築されているノードをオンにできました。あるいは、シーン全体の輝度を調整したい場合は、クリックするだけで調整できました。

また、アーノルド氏は、DaVinci Resolveの幅広いツールを重宝しているという。

アーノルド氏:プロジェクトを基にシステムを選択することはありません。カラリストは、時にVFX、タイトル制作、編集などのカラー以外の作業を依頼されることがありますが、DaVinci Resolveではこれらの分野や、サウンドにも対応できます。

慎重にLUTを作成したものの、アーノルド氏とパレルモ氏は、ポストプロダクションにおいて多くの課題に直面したという。

パレルモ氏:この作品は、濃い青、赤、緑、アンバーなど、強い印象のルックが多いですね。

映画の終盤のシーンで、納得いくアンバーの色味を見つけるのは難しかったですね。色がすぐに不明瞭になってしまうので、何日にも渡って様々な条件の光で撮影した各シーンのショットに適した方法を見つけることは大変でした。その部分は、3回グレーディングしたと思います。

色に関してよくあることなのですが、ある道をどんどん進んでいって、最後に振り返ったときに「これはちょっと嘘っぽいな。同じゴールにたどり着くために、もっと簡単な方法はないだろうか?」と思うことがあります。そんな時、アラスターの存在がとても貴重なんです。彼は同じ課題に複数のやり方でアプローチできるので、それぞれのメリットとデメリットを比較できます。

パレルモ氏は独自のルックを撮影することを目指しているが、アーノルド氏が、DaVinci Resolveのツールセットを駆使できることに助けられているという。

パレルモ氏:現場でシーンの撮影が上手くいき、カラーグレーディングでさらに微調整してニュアンスを持たせることは、とてもクリエイティブで楽しい作業ですね。