txt:井上晃 構成:編集部

Nikon ZシリーズをWebカメラとして活用するには?

夏はカメラメーカーにとって熱い季節だ。例年夏から秋にかけて新製品の発表が相次ぎ、各メーカーが熱くしのぎを削る。

2018年のこの時期、Zシリーズでフルサイズミラーレスに参入したニコンも、この夏「Zマウント」と「35mmフルサイズFXフォーマット対応」の新型機「Nikon Z 5」を投入(2020年8月28日発売開始)し、人気のZシリーズのラインナップを拡充してきた。

今回はZ 5を中心としたZシリーズに、8月6に公開された「Webcam Utility ベータ版」を組み合わせるという、少し変わったレビューをお届けしたい。

Nikon Z 5概要

Nikon Zシリーズは2018年9月に発売された高画素モデルの「Z 7」と、スタンダードモデルの「Z 6」を皮切りに、2019年11月にはAPS-CセンサーDXフォーマットモデル「Z 50」の発売を経て、この夏には普及モデルと言える「Z 5」がいよいよ登場した。フルサイズFXフォーマット機としては末弟とも言えるZ 5の概要であるが、

  • 大口径、ショートフランジバックのZマウント
  • 有効画素数2432万画素、35mmフルサイズFXフォーマットCMOSセンサー
  • 撮影領域を拡げる高感度画質、常用感度ISO 100-51200(増減感±1段)
  • 動画撮影 4K UHD/30p、フルHD 1080/60p
  • 連続撮影可能コマ数約100コマ
    (高速フレームキャプチャー(AF/AE追従)機能なら800万画素で最速約30コマ/秒)

という性能を凝縮したカメラボディーに、「NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3」の組み合わせが約870gと、高い携行性を実現した「日常使いに最適な本格高画質」をうたうのが本モデルである。この他の基本スペックを拾ってみると、

  • 水平、垂直約90%の広範囲を高密度にカバーする273点のフォーカスポイントを持つ、像面位相差AFとコントラストAFを自動的に切り換えるハイブリッドAFシステム
  • 構図やタイミングに集中して狙った画が撮れる、瞳AF/動物AF
  • 視野率約100%、ファインダー倍率約0.8倍、約369万ドット有機ELパネルで光学ファインダーに迫る自然な見えを実現した電子ビューファインダー
  • 5軸5段の高いブレ補正効果を発揮するボディー内センサーシフト方式手ブレ補正
  • 軽量で堅牢なマグネシウム合金を使用した上位機種同等の信頼性、高い堅牢性、防塵・防滴性能
  • Zシリーズ初、UHS-II規格対応のSDカードダブルスロット
  • 長時間安心して撮影するために、新たに採用したLi-ionリチャージャブル長寿命バッテリー
  • 電池残量を気にせず撮影できるUSB給電/充電
  • タッチパネル採用のチルト式3.2型約104万ドット画像モニター

※赤字はZ 5ならではの新機能、新採用

等々、直上の上位モデルZ 6と比べると、基本性能はほぼ同等でありながら(Z 6は動画撮影フルHD 1080/120p、高速連続撮影約12コマ/秒と上位機種ならではの強みは持つ)、記録メディアに待望のSDカードダブルスロット採用や、USB給電/充電などの新機能も搭載されながら、価格はZ 5ボディーのみで税込182,600円、「NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3」をセットにしたZ 5 24-50レンズキットが税込222,200円(いずれもニコンダイレクト直販価格)と、手頃な価格に落とし込み、Z マウントの高画質を軽快なフルサイズ機として、ユーザーに届けることを狙ったのが、新モデルZ 5といえるだろう。

Webcam Utility ベータ版

さて、2020年8月6日にはベータ版ながら、ニコンカメラをPCとUSBでつなげてWebカメラとして利用することが可能になるモジュール「Webcam Utility ベータ版」が公開された。

このモジュールが公開された意義だが、目的は明確である。この春から起きたコロナ禍によって、爆発的に広まったWEB会議などを中心としたテレワークで、WEBカメラの需要が大きく延び対応カメラが店頭から売り切れ状態になったのは眼にした方も多いことだろう。

これを受けて各カメラメーカーより発表が相次いだのは、ミラーレスカメラやコンパクトカメラをWEBカメラとして使用出来るようにするユーティリティの発表である。

従来ミラーレスカメラなどレンズ交換型のカメラを動画用として転用することは、YouTuberなどを中心に盛んであったが、HDMI接続では情報表示を消せない機種も多いという問題もあって、WEBカメラを別途購入するよりも、手持ちのデジタルカメラをPCに直接USB接続出来ればユーザーとしては万々歳である。

そんな声に各カメラメーカーも積極的に応えようという事で、今回ニコンもWebcam Utilityを用意したということだろう。このようにユーティリティを用意することで、既存ユーザーの製品利用を支援しようという動きには、ほんとうにメーカーへ感謝の気持ちを届けたいと思う。

さてこのWebcam Utility ベータ版の概要についてお伝えしよう。原稿執筆時点でもこのユーティリティはベータ版であり、対応カメラの動作確認は行っているそうだが、不具合に関する対応は致しかねる点についてはご了承頂きたい。

製品名 Webcam Utility
バージョン 0.9.0 Beta
ファイル名 S-NWU___-000900WF-ALLIN-ALL___.exe
公開日 2020/08/06
対応OS Microsoft Windows 10 Home
Microsoft Windows 10 Pro
Microsoft Windows 10 Enterprise
※各日本語版
※各プリインストールモデル
※64bit版に対応(32bit版には対応していない)
動作CPU 1GHz以上のIntel Celeron/Pentium4/Coreシリーズ
必要RAM 4GB以上実装
対応デジタルカメラ Z 7、Z 6、Z 5、Z 50、D6、D850、D780、D500、D7500、D5600
※一部の地域・国では、未発表、未発売の場合がある
注意事項 ・カメラを長時間使用すると、カメラが高温になりライブビューが使用できないことがあります。 温度が下がるまでお待ちください。
・ライブビュー使用時は、電池切れにはご注意ください。
・複数のWeb会議ソフトウェアからWebcam Utilityを使用した場合、ライブビュー表示可能なWeb会議ソフトウェアは一つのみとなります。
・カメラとパソコンを接続している間は、カメラの設定変更ができない場合があります。設定を変更する場合は、カメラの電源をオフにしてUSBケーブルを抜いてからカメラの設定を変更してください。

※ニコンホームページより転載したものを筆者が加筆した

インストールは簡単で、ハードディスク内の適当な場所に適当な名前のフォルダーを新規作成して、そこに上記の「S-NWU___-000900WF-ALLIN-ALL___.exe」をダウンロード。管理者権限でこのファイルを実行すると、モジュールがインストールされる。

なおインストール時には、ウイルスチェック用のソフトウェアやWebcam Utilityおよび他のアプリケーションソフトはすべて終了させてから、インストールすることが必要だ。インストール後の確認方法は、

  1. カメラとPCをUSB-Cケーブルで接続する
  2. カメラの電源をONする
  3. 使用するWeb会議ソフトウェアを立ち上げて、外部カメラ選択から「Webcam Utility」を選択する
  4. 使用するWeb会議ソフトウェアに画像が表示されることを確認する

という手順となる。

ZシリーズのUSB端子はUSB Type-C端子(SuperSpeed USB)

今回、今では標準的なWEB会議ソフトとなったZoomで確認してみたが、あっさりと接続が確認された。

Zoomでは設定の「カメラ」で「Nikon Webcam Utility」を選択する

接続できればニコンカメラのクオリティである。特にZ 5~7を組み合わせれば、35mmフルサイズFXフォーマットセンサーを使用した画像であり、空前絶後の高画質WEBカメラとなる。

WEBカメラにここまでのクオリティが必要か?という論議はあるかと思うが、筆者は全然ありでしょ!という感覚である。それは何回となくZoom会議などを行っていると、皆の顔が見えるビデオ会議ソフトにおいて自分の顔色は大切だ!と気付かされたからである。

人の表情を汲み取るにも高精細でキレイな画像は優位だし、何より見栄えのよさは多数の人が集まる会議において重要だ。デスクライトなどを工夫して自分の顔にライトが当たるようにすれば、もうあなたはWEB会議でのスターになれる!という実力をこのNikon Zシリーズ+Webcam Utility ベータ版は持っている。

何よりもこのユーティリティが良いのは、対応カメラを持ってさえすれば、HDMIからUSBキャプチャー機器などの追加投資せずに利用出来ることだ。また対応カメラの高画質をそのまま使えるのも素敵だと思う。

ソフトウェアでの対応状況

Webcam Utilityは対応カメラをUSBビデオクラス機器(UVC機器)へ変換するモジュールと言え、UVC機器に対応したソフトウェアで同じように使用できる可能性が高い。ということで、筆者はビデオ会議ソフト以外のソフトウェアでの動作状況を片っ端から調べてみた。

https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2020/09/ong98_Nikon_Webcam_02.jpg

Windows 10での認識は、一般的なイメージングデバイス、もしくはキャプチャーデバイスではなく、ポータブルデバイスとして認識される
※画像をクリックすると拡大します

YouTube LiveでもWebcamとして認識される

ソフトウェア 認識状況
Zoom
Skype ×
YouTube Live
Facebook Live ×

限られたソフトウェアだけの調査だが、Nikon Webcam Utilityを認識出来るか否かの対応は、ソフトウェアによって分かれるという結果であった。

現状はベータ版ということもあり、多くのソフトウェアに対応とはならなかったが、正式リリースとなった時には、さらに多くのソフトウェアに対応出来ることを期待したいところだ。

Nikon Zシリーズ + Webcam Utilityここが惜しいっ!

新登場の「Z 5」を含めてのNikon Zシリーズのカメラとしての能力はとても高く、出力される画像を一目みれば魅了される。ただ動画カメラ、Webカメラとして使うには、「ここが惜しいっ!」という点が何点が散見される。それを紹介して本稿を絞めることにしよう。

まず、チルト式の背面液晶だ。

Nikon Z 5ホームページより転載

Webカメラとして使うのであれば、当然ながら自分にレンズが向く。この場合自分の画像をZoomなどを立ち上げないとチェック出来ないところは残念だ。またバッテリーを含めて動作状況のステータス確認が出来ないところも、ちょっと惜しいっ!

また新登場のZ 5では、バッテリーの消耗を抑えながらカメラを使用できる「USB給電」という新機能を持つ。この機能は特に動画カメラとしてZ 5を使用したい場合には非常に嬉しい機能と言える。Webcam Utilityを利用するならUSB接続を必須とするので、これは一石二鳥と言えたのだが、Z 5同梱のUSBケーブル(UC-E24)ではWebcam UtilityでのUSBビデオ接続をしながらのUSB給電は、残念ながら現状では出来ない。

しかし、ニコン純正の別売りアクセサリーとなるUSBケーブル「UC-E25」(税込3,630円)であればカメラ側、接続機器側ともにType-CのUSBケーブルのため、AC給電しながらWebCam UtilityでのWebカメラ使用が可能だ。

総括

Nikon ZシリーズにWebcam Utilityを組み合わせた場合に、惜しい点を挙げたが、新登場の「Z 5」を含めてのNikon Zシリーズが出力する画像の魅力は非常に高く、特にZ 5とキットレンズNIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3の組み合わせは、軽量コンパクトでありながら現代的なフルサイズセンサーならではの高画質も得ている。

また動画カメラとしてもフォーカス性能の高さや、豊かな階調情報が得られるN-Logや、4K UHD動画、フルHD動画のRAW動画出力に対応(Z 6、Z 7)など、ポストプロダクションでも使いこなしがいのありそうな機能がてんこ盛りだ。

このハイエンドな撮影機能から、Webcam Utilityなどを含めた日常的な利用についての機能など、幅広い対応力を持つのがNikon Zシリーズの最大の魅力だ。

ぜひ今後もその能力の一つ一つを煮詰めていき、育てて頂ければ、さらに魅力的でクリエイターの心を震わすカメラとなることは間違いない。今後に期待したい。

WRITER PROFILE

井上晃

有限会社マキシメデイア代表。FacebookグループATEM Tech Labo、Grass Valley EDIUS UGで世話人をしてるでよ。